ほうれい線手術の効果は半永久的？種類別の持続期間とメリット・デメリット

ほうれい線の深さにお悩みで、「手術で改善したい」とお考えの方にとって、その効果がどれくらい続くのかは最大の関心事ではないでしょうか。

「ほうれい線手術は半永久的」と聞くこともありますが、それは本当なのでしょうか。

実際には、手術にはいくつかの種類があり、それぞれ持続期間や特徴、メリット・デメリットが異なります。

この記事では、ほうれい線手術の種類別に、効果の持続期間の目安や知っておくべき点を詳しく解説します。ご自身に合った治療法を見つけるための参考にしてください。

ほうれい線手術の効果は本当に「半永久的」か？

結論から言うと、すべてのほうれい線手術の効果が「半永久的」ではありません。

しかし、切開リフトのように、一度の手術で5年、10年と非常に長期間にわたって効果を実感できる方法は存在します。

ほうれい線の状態や原因、そして選択する手術方法によって、効果の持続性は大きく変わるのが実情です。

「半永久的」という言葉の解釈

美容医療における「半永久的」という言葉は、「永久にそのままの状態が続く」という意味とは少し異なります。

手術によって皮膚やその下の組織を引き上げたとしても、私たちの体はその後も時間をかけて自然に老化を続けます。

そのため、手術直後の状態が永遠に維持されるわけではなく、「老化のスピードを遅らせ、長期間にわたり若々しい状態を保つ」と解釈するのが適切です。

効果の持続を妨げる要因

手術の効果がどれだけ優れていても、その後の生活習慣や体質の変化が持続期間に影響を与えることがあります。

例えば、急激な体重の増減、紫外線のダメージ、喫煙習慣、あるいは顔の表情のクセなども、ほうれい線が再び目立つ原因となり得ます。

また、加齢による自然なコラーゲンの減少や筋力の低下は、誰にでも起こり得る変化です。

持続期間は手術方法によって大きく異なる

ほうれい線治療には、メスを使う本格的な手術から注射や糸による手軽なものまで、様々な選択肢があります。

一般的に、体に加える変化が大きい（組織を直接引き上げるなど）手術ほど効果の持続期間は長く、ヒアルロン酸注入のように吸収される素材を使う治療は、効果が一時的である傾向があります。

ご自身の希望やライフスタイルに合わせて、どの程度の持続期間を求めるかを考えることが大切です。

主なほうれい線手術の種類と特徴

ほうれい線を目立たなくするための主な手術・治療法には、「切開リフト」「糸リフト」「注入治療」の3つが代表的です。

皮膚を切開して引き上げるものから糸や注入物で改善するものまで、それぞれ異なる特徴を持っています。

切開リフト（フェイスリフト）

切開リフトは、一般的に「フェイスリフト」と呼ばれる手術です。

耳の前後や髪の生え際など、目立たない部分の皮膚を切開し、皮膚だけでなくその下にあるSMAS（スマス）筋膜という組織からしっかりと引き上げます。

たるみの根本的な原因にアプローチできるため、ほうれい線だけでなく、頬や首元のたるみも同時に改善する効果が期待できます。

効果の持続性が高いのが最大のメリットです。

糸リフト（スレッドリフト）

糸リフトは、コグ（トゲ）の付いた特殊な医療用の糸を皮下に挿入し、その力で皮膚組織を引っ張り上げる治療です。切開を伴わないため、ダウンタイムが比較的短いのが特徴です。

挿入する糸の種類によって、効果の持続期間や引き上げの強さが異なります。また、糸が挿入される刺激によって、自身のコラーゲン生成が促される効果も期待できます。

注入治療（ヒアルロン酸・脂肪注入）

注入治療は、ほうれい線の溝（シワ）の部分にボリュームを補うことで、シワを目立たなくする方法です。ヒアルロン酸注入は、施術時間が短く、直後から効果を実感しやすい手軽さが魅力です。

一方、脂肪注入は、ご自身の体から採取した脂肪を加工して注入するためアレルギーのリスクが低く、生着すればより自然で長期的な効果が見込めます。

ほうれい線治療の主な種類の比較

治療法	施術の概要	主な対象となる方
切開リフト	皮膚を切開し、SMAS筋膜からたるみを引き上げる	たるみが強く、根本的な改善と長期持続を望む方
糸リフト	トゲ付きの糸を挿入し、皮膚を引き上げる	切開に抵抗があり、ダウンタイムを短くしたい方
注入治療	ヒアルロン酸や脂肪で溝を埋め、ボリュームを出す	シワが主な原因で、手軽に改善したい方

【種類別】ほうれい線手術の効果持続期間の目安

選択するほうれい線手術によって、期待できる効果の持続期間は大きく異なります。

あくまで一般的な目安であり、個人の体質や術後のケアによっても差が出ますが、治療法を選ぶ上での参考にしてください。

切開リフトの効果持続期間

切開リフトは、ほうれい線手術の中で最も効果の持続が期待できる方法の一つです。SMAS筋膜という土台からしっかりと引き上げるため、その効果は一般的に5年〜10年程度と非常に長期間続きます。

ただし、前述の通り、手術後も加齢は進行するため、永久に効果が続くわけではありません。

糸リフトの効果持続期間

糸リフトの持続期間は、使用する糸の種類（溶ける糸か溶けない糸か、トゲの形状など）によって大きく変動します。

一般的には、半年〜2年程度が目安です。溶ける糸の場合、糸自体は時間とともに吸収されますが、その間に生成が促された自己コラーゲンによって、糸が溶けた後もある程度の引き締め効果が持続すると言われています。

注入治療の効果持続期間

ヒアルロン酸注入の場合、使用する製剤の種類にもよりますが、持続期間は数ヶ月〜長くても2年程度が一般的です。

ヒアルロン酸は徐々に体内に吸収されていくため、効果を維持するためには定期的な再注入が必要です。

一方、自己脂肪注入は、注入した脂肪が生着（その場に定着）すれば、ヒアルロン酸よりも長く、数年単位での効果持続が期待できます。

各治療法の持続期間目安

治療法	効果持続の目安	効果維持の方法
切開リフト	約5年〜10年	基本的に再手術は不要だが、加齢で再度必要になる場合も
糸リフト	約半年〜2年	効果が薄れたと感じたら、追加や再施術を検討
注入治療	約数ヶ月〜2年	吸収されるため、定期的な再注入が必要（脂肪を除く）

ほうれい線手術のメリットを徹底解説

ほうれい線手術を受けることには、シワが目立たなくなること以外にも、多くのメリットがあります。

顔全体の印象が明るく若々しくなることや、セルフケアでは難しい根本的な改善が期待できる点などが挙げられます。

若々しい印象を取り戻せる

ほうれい線は、顔の印象を大きく左右する要素の一つです。この部分が深く刻まれていると、実年齢よりも疲れて見えたり、老けた印象を与えたりしがちです。

手術によってほうれい線が浅く目立たなくなることで、顔全体の印象が明るくなり、一気に若々しさを取り戻すことができます。

セルフケアでは難しい根本的な改善

高価な化粧品や美顔器を使ったセルフケアも人気ですが、それらで改善できるのは主に皮膚の表面的な乾燥やハリ不足です。

一方、ほうれい線の多くは、皮膚のたるみや皮下組織の構造的な変化が原因です。

ほうれい線手術、特に切開リフトなどは、こうしたセルフケアでは届かない深い層に直接アプローチし、たるみを根本から引き上げるため、確実な変化を期待できます。

治療法ごとの主なメリット

治療法	主なメリット	副次的な効果
切開リフト	効果の持続性が高い、根本的なたるみ改善	頬や首のたるみも同時に改善
糸リフト	ダウンタイムが短い、切開が不要	コラーゲン生成促進による肌のハリ感アップ
注入治療	施術が手軽、施術時間が短い、即効性がある	シワ以外の部分的なボリュームアップも可能

メイク時間の短縮と精神的な満足感

ほうれい線を隠すために、コンシーラーやファンデーションを厚塗りしていたという方は少なくありません。手術によってほうれい線が改善すると、こうしたメイクの手間が大幅に減り、朝の準備が楽になります。

また、「鏡を見るのが楽しくなった」「人前で自信を持って笑えるようになった」といった精神的な満足感やQOL（生活の質）の向上も、非常に大きなメリットと言えるでしょう。

知っておくべきほうれい線手術のデメリットとリスク

どのような医療行為にも、メリットだけでなく、必ずデメリットやリスクが伴います。ほうれい線手術も例外ではありません。

術後のダウンタイム（腫れや内出血）、費用の負担、そして稀ではありますが合併症の可能性について、事前に十分な説明を受け、納得した上で治療を選択することが重要です。

ダウンタイム（腫れ・内出血）の発生

手術や治療の後には、一定期間「ダウンタイム」と呼ばれる回復期間が必要です。切開リフトのように広範囲にアプローチする手術ほど、腫れや内出血、痛みが強く出る傾向があり、回復にも時間がかかります。

糸リフトや注入治療は比較的ダウンタイムが短いとされますが、個人差があり、内出血が数日間続くこともあります。

ダウンタイム中の主な症状

• 腫れ
• 内出血（青あざ）
• 痛みや違和感
• （切開した場合）傷口の赤み

費用の負担

ほうれい線手術は、基本的に健康保険が適用されない自由診療となります。そのため、治療費は全額自己負担となり、高額になるケースも少なくありません。

特に切開リフトは技術的な難易度が高く、手術時間も長くなるため、他の治療法に比べて費用が高額になる傾向があります。

予算をあらかじめ決めておくことも大切です。

起こり得る合併症や副作用

頻度は稀ですが、手術には以下のような合併症や副作用のリスクが伴います。

主なデメリットとリスク

項目	具体的な内容	治療法による違い
感染	傷口や挿入部から細菌が入り、炎症を起こす	切開や糸の挿入を伴う治療で起こり得る
左右差	仕上がりに左右で違いが出てしまう	どの治療法でも起こり得るが、特にリフト系で注意
ひきつれ・違和感	顔の表情を動かした時に、つっぱり感や違和感が出る	特に糸リフトや切開リフトの術後に一時的に出やすい

このほかにも、神経の損傷による感覚麻痺や表情の動かしにくさ（切開リフト）、注入したヒアルロン酸がしこりになる、糸が皮膚から透けたり出てきたりする（糸リフト）などのリスクもゼロではありません。

修正が難しい場合もある

特に切開リフトのように組織を大きく動かす手術は、一度行うと元の状態に戻すのが困難です。万が一、仕上がりに満足できなかった場合でも、修正には限界があることを理解しておく必要があります。

だからこそ、経験豊富な医師による慎重な診断と、術前の十分なすり合わせが重要になります。

手術だけじゃない？ほうれい線が「再び」深くなる生活習慣

せっかくほうれい線手術を受けても、その後の日常生活の過ごし方が、効果の持続性に影響を与えることがあります。

「手術をしたから安心」ではなく、日々の小さな習慣を見直すことが若々しい印象を長く保つ鍵です。

「スマホ首」がもたらす顔のたるみ

スマートフォンやPCを長時間見ていると、無意識のうちに首が前に突き出た「スマホ首」の状態になりがちです。

この姿勢は、首や肩のコリだけでなく顔の皮膚や筋肉を下に引っ張る力となり、ほうれい線やフェイスラインのたるみを助長する原因になります。

手術で引き上げた組織も常に下向きの力がかかれば、元に戻ろうとする力が働きやすくなります。

無意識の「食いしばり」と表情のクセ

ストレスや集中によって、寝ている間や日中に無意識に歯を食いしばっていませんか？

強い食いしばりは、あごから頬にかけての筋肉（咬筋）を過剰に発達させ、顔のエラが張るだけでなく、頬の筋肉の動きを硬くしてほうれい線が目立つ原因にもなります。

また、片側だけで食べ物を噛むクセや頬杖をつくクセなども、顔のゆがみやたるみにつながります。

注意したい生活習慣とその影響

注意したい習慣	顔への影響	対策の例
長時間のスマホ操作	下向きの姿勢による顔全体のたるみ	画面を目線の高さに合わせる、こまめに休憩する
食いしばり・歯ぎしり	咬筋の緊張、顔のゆがみ	マウスピースの着用、リラックスを心がける
急激なダイエット	皮膚のハリが失われ、たるみやすくなる	短期間で痩せすぎず、栄養バランスを整える

手術後の効果を長持ちさせるセルフケア

手術の効果を最大限に引き出し、長持ちさせるためには、日々のセルフケアも大切です。

まず、紫外線対策は必須です。紫外線は肌のコラーゲンを破壊し、たるみを進行させる最大の要因の一つです。

また、保湿ケアで肌のバリア機能を保つこと、バランスの取れた食事で体の中からハリを支える栄養素を摂ることも重要です。

クリニックでの定期的なメンテナンス（HIFUやレーザー治療など）を組み合わせるのも良い方法です。

自分に合ったほうれい線手術の選び方

満足のいく結果を得るためには、数ある治療法の中から、ご自身のほうれい線の状態、ライフスタイル、そして価値観に合ったものを選ぶことが何よりも重要です。

ほうれい線の原因や深さ、許容できるダウンタイム、そして予算などを総合的に考慮して、医師と相談しながら決定します。

ほうれい線の深さや原因で選ぶ

ほうれい線と一口に言っても、その原因は人それぞれです。

皮膚のたるみが主な原因なのか、加齢による骨格の変化や脂肪の減少で溝が深くなっているのか、あるいは筋肉の動きによってシワが刻まれているのか。

たるみが強い場合は切開リフトや糸リフト、溝（シワ）が目立つ場合は注入治療が適しているなど、原因に応じた治療法の選択が必要です。

これはご自身での判断が難しいため、医師による正確な診断が欠かせません。

許容できるダウンタイムと予算

「1週間以上の休みは取れない」「人前に出る仕事なので、腫れや内出血は困る」という方もいれば、「多少ダウンタイムが長くても、根本的に治したい」という方もいるでしょう。

ご自身がどれくらいのダウンタイムなら許容できるのか、また、どれくらいの費用をかけられるのかを明確にしておくことは、治療法を絞り込む上で大切な基準となります。

治療法選びの重視するポイント

重視する点	確認すべき事項	適した治療法の例
効果の持続性	どれくらいの期間、効果を維持したいか	切開リフト、脂肪注入
ダウンタイムの短さ	仕事や私生活への影響をどれだけ避けたいか	注入治療、糸リフト（種類による）
費用の手軽さ	初期費用やメンテナンス費用をどこまで許容できるか	ヒアルロン酸注入（1回あたり）

信頼できるクリニック・医師の見極め方

最終的に手術の質を決めるのは、医師の技術と経験です。クリニックを選ぶ際は、単に費用や知名度だけでなく、担当する医師がほうれい線手術やリフトアップ治療に関して十分な経験と実績を持っているかを確認しましょう。

カウンセリングの際に、メリットだけでなくリスクやデメリットについても隠さず、丁寧に説明してくれるかどうかも重要な見極めポイントです。

クリニック選びのチェックポイント

• 医師の専門性や症例実績
• カウンセリングでの説明の丁寧さ、分かりやすさ
• アフターケアや万が一の際の保証体制

ほうれい線手術に関するよくある質問 (FAQ)

最後に、ほうれい線手術を検討されている患者様から、特によく寄せられるご質問とその回答をまとめました。他にもご不安な点があれば、カウンセリング時に遠慮なくご質問ください。

手術中に痛みはありますか？

いいえ、手術中は麻酔を使用するため、痛みを感じることはほとんどありません。

切開リフトのような本格的な手術では静脈麻酔や全身麻酔、糸リフトや注入治療では局所麻酔や笑気麻酔など、治療内容に応じた適切な麻酔を行います。

術後に麻酔が切れると痛みが出ることがありますが、処方する鎮痛剤でコントロールできる範囲がほとんどです。

傷跡は目立ちますか？

傷跡が目立たないよう、最大限配慮して手術を行います。例えば、切開リフトの場合は、髪の生え際や耳の付け根のラインに沿って切開するため、時間が経てばほとんど目立たなくなります。

糸リフトや注入治療は、メスを使わないため切開の傷跡は残りませんが、針を刺した点状の赤みや内出血が数日間出ることがあります。

手術後、いつから仕事に戻れますか？

治療の種類やお仕事の内容、そして個人差によって大きく異なります。ヒアルロン酸注入のような治療であれば、施術当日からメイクも可能で、お仕事に大きな支障はありません。

糸リフトの場合は、腫れや内出血を考慮して2〜3日、切開リフトの場合は、抜糸が必要なこともあり、1週間〜2週間程度のお休みを取る方が多いです。

他の治療と併用できますか？

はい、併用することで、より高い効果が期待できる治療も多くあります。

例えば、切開リフトでたるみを引き上げた上で、残った浅いシワにヒアルロン酸を注入したり、糸リフトとHIFU（ハイフ）を組み合わせて肌の引き締め効果を高めたりすることがあります。

ただし、治療の組み合わせや順序は、肌の状態によって慎重に判断する必要があるため、必ず医師にご相談ください。