50代の顔・頬のたるみの原因と改善法|セルフケアから美容医療まで解説

50代を迎え、鏡を見るたびに深まるほうれい線やぼやけてきたフェイスラインに、ため息をついていませんか。

かつてのようなハリがなく、全体的に下がってきた印象を受ける顔のたるみは、多くの方が抱える深刻な悩みです。

このたるみは、単に年齢を重ねたからという単純な理由だけではありません。肌の内部構造や骨格、さらにはホルモンバランスの変化など、複数の要因が複雑に絡み合って生じています。

この記事では、50代の顔と頬のたるみの根本的な原因を紐解き、日々のセルフケアから美容医療に至るまで、具体的な改善方法を詳しく解説します。

この記事を書いた人

百人町アルファクリニック 院長 荻野 和仁

荻野 和仁
百人町アルファクリニック 院長
Instagram

医学博士
2014年 日本形成外科学会 専門医取得
日本美容外科学会 会員

【略歴】
獨協医科大学医学部卒業後、岩手医科大学形成外科学講座入局。岩手医科大学大学院卒業博士号取得、2014年に日本形成外科学会専門医取得。大手美容クリニックの院長を経て2017年より百人町アルファクリニックの院長を務める。

百人町アルファクリニックでは、糸を使った切らないリフトアップから、切開部分が目立たないフェイスリフトまで患者様に適した方法をご提案していますが、若返り手術は決して急ぐ必要はありません。

一人ひとりの皮下組織や表情筋の状態に合わせた方法を探し「安全性」と「自然な仕上がり」を第一に心がけているため、画一的な手術をすぐにはいどうぞ、と勧めることはしていません。

毎回手術前の診断と計画立案に時間をかけすぎるため、とにかく安く、早くこの施術をして欲しいという方には適したクリニックではありません。それでも、リフトアップの施術を年間300件行っている実績から、患者様同士の口コミや他のドクターからのご紹介を通じ、全国から多くの患者様に当院を選んでいただいています。

このサイトでは、フェイスリフトやたるみに関する情報を詳しく掲載しています。どうか焦らず、十分に勉強した上で、ご自身に合ったクリニックをお選びください。もちろん、ご質問やご相談があれば、いつでもお気軽にお問い合わせいただければ幸いです。

目次

50代で顔のたるみが深刻化する本当の理由

50代になると顔のたるみが一気に気になり始めるのは、肌の表面だけでなく、その奥深くにある組織が複合的に変化するためです。

皮膚の弾力低下、筋膜のゆるみ、脂肪の移動や減少、そして土台となる骨格の変化まで、様々な要因が重なり合ってたるみを引き起こします。

このような構造的な変化を理解することが、効果的な対策への第一歩となります。

コラーゲン・エラスチンの質の低下と量の減少

肌のハリや弾力は、真皮層に存在するコラーゲンやエラスチンといった線維状のたんぱく質によって支えられています。

しかし、50代になると、これらの生成能力が大幅に低下し、量そのものが減少します。さらに、紫外線や糖化によるダメージが蓄積し、既にあるコラーゲンやエラスチンの質も低下して硬くなります。

その結果、肌は弾力を失い、重力に逆らえずに垂れ下がってしまうのです。

肌の弾力を支える主要成分

成分名主な働き50代における変化
コラーゲン肌の構造を支える丈夫な線維量・質ともに低下し、硬くなる
エラスチン肌に弾力を与えるゴムのような線維変性し、弾力性が失われる
ヒアルロン酸水分を保持し、肌のうるおいを保つ生成量が減少し、肌が乾燥しやすくなる

SMAS(筋膜)のゆるみと皮下脂肪の変化

皮膚の下には、皮下脂肪と表情筋の間にあるSMAS(スマス)と呼ばれる薄い膜状の組織があります。

SMASは皮膚や脂肪を土台から支えるネットのような役割を担っていますが、加齢とともにこのネットもゆるんできます。

SMASがゆるむと、その上にある皮下脂肪や皮膚を支えきれなくなり、顔全体のたるみにつながります。

また、皮下脂肪も年齢とともにボリュームが減ったり、重力によって下方へ移動したりするため、頬がこけたり、逆に口元に脂肪がたまってブルドッグラインを形成したりする原因となります。

骨格の変化による土台の衰え

あまり知られていませんが、顔のたるみには骨格の変化も大きく関わっています。

年齢を重ねると骨密度が低下し、顔の骨も徐々に萎縮していきます。特に頬骨や下顎の骨が縮小すると、その上の皮膚や脂肪を支える土台が小さくなるため、皮膚が余ってたるみが生じます。

例えるなら、テントの骨組みが小さくなって、シートがたるんでしまうような状態です。

この骨格の変化は、セルフケアだけで対応するのが非常に難しい要因の一つです。

女性ホルモンの減少がもたらす影響

50代は多くの女性が閉経を迎える時期であり、女性ホルモンであるエストロゲンの分泌量が急激に減少します。

エストロゲンはコラーゲンの生成を促進したり、肌の水分量を保ったりする働きがあるため、その減少は肌のハリやうるおいに直接的な打撃を与えます。

このホルモンバランスの大きな変化が肌の老化を加速させ、たるみを深刻化させる一因となるのです。

なぜあなたのセルフケアは効果が出にくいのか

高級な美容液を使い、毎日マッサージを頑張っているのにたるみが改善しない主な理由は、50代のたるみが皮膚表面だけの問題ではないためです。

多くのセルフケアは肌の最も外側にある表皮へのアプローチが中心で、たるみの根本原因である深層部には届きにくいのが実情です。

セルフケアの限界と注意点について詳しく見ていきましょう。

表皮だけのアプローチでは土台に届かない

一般的なスキンケア化粧品が浸透するのは、主に角質層までです。

保湿によって肌のキメを整えたり、乾燥による小じわを目立たなくさせたりすることはできますが、たるみの原因である真皮層のコラーゲン減少や、さらに深い層にあるSMASのゆるみ、骨格の変化に直接働きかけることはできません。

どんなに高価な成分でも、根本原因のある場所まで届かなければ、たるみに対する効果は限定的になってしまいます。

ケアの方法とアプローチできる深さ

ケアの方法主なアプローチ層期待できる効果
保湿・エイジングケア化粧品表皮(角質層)乾燥対策、キメを整える
美顔器(家庭用)表皮〜真皮浅層血行促進、一時的な引き締め
美容医療(照射治療など)真皮層〜SMAS筋膜コラーゲン生成促進、筋膜の引き締め

自己流マッサージが逆効果になる危険性

たるみを解消しようと、強い力で顔をマッサージしていませんか。実は、自己流の不適切なマッサージは、かえってたるみを悪化させる危険性があります。

強い摩擦は肌への刺激となり、シミや色素沈着の原因になるだけでなく、皮膚を支えている線維を伸ばしてしまい、ゆるみにつながる可能性があります。

特に、皮膚が薄いまぶたや首元は注意が必要です。

マッサージを行う場合は必ず滑りの良いクリームやオイルを使用し、優しくなでるように行うことが大切です。

変化した肌質に合わないスキンケア

50代の肌は、皮脂の分泌量が減って乾燥しやすくなる一方で、長年の紫外線ダメージの蓄積により敏感に傾きがちです。

若い頃と同じスキンケアを続けていると、保湿が足りなかったり、刺激が強すぎたりして肌のバリア機能をかえって低下させてしまうことがあります。

肌の状態は日々変化します。今の自分の肌質を正しく見極め、それに合った保湿力や成分を備えた製品を選ぶことが、健やかな肌を保ち、たるみの進行を緩やかにするためには重要です 。

期待値と現実のギャップを理解する

セルフケアは、あくまで「たるみの進行を緩やかにする」「肌のコンディションを整える」という予防的な意味合いが強いものです。

すでに現れてしまった深いシワや、SMASのゆるみによる構造的なたるみを、セルフケアだけで劇的に改善させることは非常に困難です。

セルフケアに過度な期待を抱くと、効果が出ないことに失望し、ケア自体が続かなくなってしまうこともあります。

セルフケアでできることの範囲を正しく理解し、現実的な目標を持つことが大切です。

たるみのサインを見逃さないで 50代のチェックポイント

顔のたるみは、ほうれい線が深くなる、フェイスラインがぼやけるなど、様々なサインとして現れます。

現在のたるみの状態をチェックし、進行度を確認してみましょう。

ほうれい線が深くなった

頬の脂肪が下がることで、鼻の両脇から口角にかけての溝、いわゆるほうれい線がくっきりと深くなります。

以前はファンデーションで隠せていたのに、最近はくっきりと影ができる、笑っていなくても線が目立つ、という場合は頬全体のたるみが進行している証拠です。

手で頬を持ち上げてみてほうれい線が薄くなるなら、それは皮膚のたるみが原因です。

マリオネットラインが目立つ

口角から顎にかけて伸びる線のことをマリオネットラインと呼びます。操り人形(マリオネット)の口元に似ていることから、この名前がつきました。

この線が現れると、不機嫌そうな、あるいは老けた印象を与えやすくなります。

口周りの脂肪の下垂や、皮膚の弾力低下が主な原因です。

たるみの進行度セルフチェック

チェック項目初期サイン進行サイン
ほうれい線笑うと目立つ無表情でもくっきりしている
フェイスラインややぼやけてきた二重あごや段差ができた
毛穴鼻の横で少し目立つ頬全体で涙形に開いている

フェイスラインがぼやけてきた

頬から顎にかけての輪郭が、以前よりはっきりしなくなったと感じるのも、たるみの代表的なサインです。頬や口元の皮膚・脂肪が下垂し、顎のラインに重なることで、シャープさが失われてしまいます。

いわゆる「ブルドッグ顔」と呼ばれる状態に近づいている可能性があり、顔と首の境界線が曖昧になることもあります。

毛穴が縦長に開いている

毛穴の開きも、実はたるみと関係があります。本来は丸い形をしている毛穴が、皮膚のたるみによって重力方向に引っ張られると、涙形や楕円形のように縦長に伸びて見えます。

これを「たるみ毛穴」と呼びます。

特に頬の部分で毛穴が目立つようになったら、肌のハリが失われ始めているサインと捉えましょう。

自宅でできる たるみ改善のためのインナーケア

たるみ対策は、外側からのスキンケアだけでなく、体の中から健やかな肌を作る食生活や生活習慣が基本です。

日々の食事で摂取する栄養素が、新しい肌細胞やコラーゲンの材料となります。バランスの取れた食事を心がけ、肌の土台を内側から強化していきましょう。

たんぱく質とビタミンCを意識した食事

肌のハリを支えるコラーゲンは、たんぱく質の一種です。そのため、肉、魚、卵、大豆製品など、良質なたんぱく質を毎日の食事で十分に摂取することが大切です。

また、体内でコラーゲンを合成する際には、ビタミンCが必要です。パプリカ、ブロッコリー、キウイフルーツ、柑橘類など、ビタミンCが豊富な野菜や果物も一緒に摂ることで、効率的にコラーゲン生成をサポートできます。

たるみ改善に役立つ栄養素と食材

栄養素主な働き多く含まれる食材例
たんぱく質肌や筋肉の材料となる鶏むね肉、鮭、卵、豆腐
ビタミンCコラーゲンの生成を助ける赤パプリカ、キウイ、レモン
ビタミンA肌のターンオーバーを整えるレバー、うなぎ、緑黄色野菜

抗酸化作用のある食材を取り入れる

紫外線やストレスなどによって体内に発生する活性酸素は、コラーゲンやエラスチンを傷つけ、肌の老化を促進させる原因となります。

この活性酸素の働きを抑える「抗酸化作用」を持つ栄養素を積極的に摂りましょう。

  • ビタミンE(ナッツ類、アボカド)
  • ポリフェノール(緑茶、カカオ)
  • リコピン(トマト)

これらの成分は、たるみの原因となる酸化ダメージから肌を守る助けとなります。

質の良い睡眠で成長ホルモンを促す

睡眠中には、日中に受けた肌ダメージを修復し、細胞の再生を促す成長ホルモンが分泌されます。特に、眠り始めの深いノンレム睡眠時に最も多く分泌されるため、睡眠の「質」が重要です。

寝る前のスマートフォン操作を控え、リラックスできる環境を整えるなど、質の良い睡眠を確保する工夫をしましょう。

睡眠不足は肌の再生能力を低下させ、たるみを助長してしまいます。

毎日の習慣に たるみ対策のアウターケア

内側からのケアと合わせて、毎日のスキンケアや生活習慣を見直すことも、たるみの進行を遅らせるために重要です。

特に、肌老化の最大の原因である紫外線対策と肌の乾燥を防ぐ保湿は、年齢を問わずエイジングケアの基本となります。

保湿と紫外線対策の徹底

肌が乾燥するとバリア機能が低下して外部からの刺激を受けやすくなり、あらゆる肌トラブルの原因となります。

セラミドやヒアルロン酸など、保湿効果の高い成分が配合された化粧品で、肌に十分なうるおいを与えましょう。また、紫外線はコラーゲンやエラスチンを破壊する最大の要因です。

季節や天候に関わらず、日焼け止めを毎日使用する習慣を徹底してください。SPF・PA値を確認し、生活シーンに合わせて選びましょう。

エイジングケアに役立つ化粧品成分

成分名期待できる効果アプローチ
レチノールハリ・弾力の向上、しわ改善コラーゲン生成促進、ターンオーバー促進
ナイアシンアミドしわ改善、美白効果コラーゲン生成促進、メラニン生成抑制
ペプチドハリ・弾力の向上コラーゲンやエラスチンの働きをサポート

ハリを与えるエイジングケア成分の活用

50代の肌には、保湿に加えて、積極的にハリや弾力をサポートするエイジングケア成分を取り入れることをおすすめします。

代表的な成分には、コラーゲン生成を促進するレチノールやナイアシンアミド、ペプチドなどがあります。

これらの成分が配合された美容液やクリームをスキンケアにプラスすることで、より手応えのあるケアが期待できます。

表情筋を意識したエクササイズ

顔には多くの表情筋があり、使われないままだと衰えてたるみの原因になります。ただし、過度なエクササイズや間違った方法はしわを深くする可能性もあるため注意が必要です。

口を大きく開けて「あ・い・う・え・お」と動かしたり、頬を膨らませたり縮めたりする運動を、無理のない範囲で日常に取り入れると良いでしょう。

大切なのは、特定の筋肉を鍛えるというより、顔全体の筋肉を意識して動かすことです。

正しい姿勢と食いしばりの改善

猫背やストレートネックなど、悪い姿勢は顔のたるみと無関係ではありません。頭の重さは約5kgもあり、首や肩の筋肉に負担がかかると血行不良を招き、顔色が悪くなったり、たるみを引き起こしたりします。

また、無意識に行っている食いしばりや歯ぎしりは、エラの筋肉(咬筋)を過剰に発達させ、フェイスラインが横に張って見える原因になります。

日頃から背筋を伸ばすことを意識し、リラックスして過ごす時間を持ちましょう。

見直したい生活習慣

習慣たるみへの影響改善のポイント
長時間のスマホ操作うつむき姿勢による首のしわ・たるみ画面を目線の高さに合わせる
頬杖をつく片側の顔に圧力がかかり、ゆがみの原因に意識してやめる
片側だけで噛む顔の筋肉のバランスが崩れる左右均等に噛むことを意識する

セルフケアの限界を感じたら 美容医療という選択肢

毎日のセルフケアはたるみの予防や進行を遅らせる上でとても大切ですが、すでに深く刻まれたしわや、SMAS筋膜のゆるみといった構造的な問題を解決するには限界があります。

そのような場合には、美容医療が有効な選択肢となります。

美容医療は、セルフケアでは届かない肌の深層部に直接アプローチし、たるみの原因を根本から改善することを目指します。

注入治療(ヒアルロン酸・コラーゲンなど)

ヒアルロン酸などを注入する治療は、加齢によって減少したボリュームを補い、しわや溝を目立たなくさせる方法です。

例えば、深くなったほうれい線やこけた頬に注入することで、ふっくらとした若々しい印象を取り戻すことができます。施術時間が短く、ダウンタイムもほとんどないため、手軽に受けやすい治療の一つです。

照射治療(HIFU・高周波など)

HIFU(高密度焦点式超音波)や高周波(RF)といった特殊なエネルギーを肌に照射する治療法です。肌の深層部にある真皮層やSMAS筋膜に熱エネルギーを加え、組織を収縮させることでリフトアップ効果をもたらします。

また、熱刺激によってコラーゲンの生成が促進されるため、肌の内側からハリと弾力を高める効果も期待できます。

メスを使わずにたるみを引き締めたい方に適しています。

糸リフト(スレッドリフト)

医療用の特殊な糸を皮下に挿入し、物理的にたるみを引き上げる治療です。糸にはコグ(とげ)がついており、それが皮下組織に引っかかることで、たるんだ皮膚や脂肪を持ち上げます。

フェイスラインのもたつきやマリオネットラインの改善に効果的です。また、挿入した糸の周りではコラーゲン生成が促進されるため、肌のハリ感アップにもつながります。

代表的な美容医療によるたるみ治療

治療法特徴適した悩み
注入治療ボリュームを補い、しわを埋めるほうれい線、頬のこけ
照射治療熱エネルギーで内部から引き締める顔全体のゆるみ、肌のハリ低下
糸リフト糸で物理的に引き上げるフェイスラインのもたつき

外科手術(フェイスリフト)

フェイスリフトは、たるみの根本原因であるゆるんだSMAS筋膜を引き上げ、余分な皮膚を切除する外科手術です。他の治療法と比べて効果が大きく、持続期間が長いのが最大の特徴です。

頬や首の深刻なたるみを根本から改善したいと考える方にとって、最も確実な方法と言えるでしょう。

ダウンタイムは必要になりますが、その分、満足度の高い結果が期待できます。

フェイスリフト手術で得られること 知っておくべきこと

フェイスリフト手術は、たるみ治療における最終的な選択肢の一つであり、最も効果的な方法です。

皮膚の表面だけでなく、たるみの根源であるSMAS筋膜からしっかりと引き上げるため、見た目の印象を大きく若返らせることが可能です。

手術を検討するにあたっては、その効果と、ダウンタイムや傷跡といった知っておくべき点について正しく理解することが重要です。

SMASから引き上げる根本的な改善

フェイスリフト手術の核心は、SMAS筋膜の処理にあります。皮膚だけを引っ張り上げても、すぐに後戻りしてしまいますが、SMASごと引き上げて固定することで、たるみを土台から力強くリフトアップできます。

この手技により、ほうれい線やマリオネットライン、フェイスラインのもたつき、首のたるみまで、顔全体の悩みを総合的に改善することが可能です。

その効果は長期間持続します。

ダウンタイムと経過について

手術である以上、一定のダウンタイムは避けられません。術後は、腫れや内出血が見られますが、通常は1〜2週間で大きなものは落ち着き、1ヶ月ほどでかなり自然な状態になります。

この期間は、外出時にマスクや髪型でカバーするなどの工夫が必要です。

痛みに対しては鎮痛剤を処方しますので、コントロール可能です。最終的な仕上がりには数ヶ月を要しますが、その間の経過もしっかりとサポートします。

傷跡はどこにできるのか

切開は、髪の生え際や耳の前、耳の後ろのラインに沿って行います。傷跡が将来的にできるだけ目立たなくなるよう、しわの走行や毛包の向きなどを精密に計算して切開・縫合を行います。

術後しばらくは赤みがありますが、時間とともに白く細い線状になり、最終的にはほとんど分からなくなります。

髪で隠れる部分なので、日常生活で他人に気づかれる心配は少ないでしょう。

フェイスリフト手術の概要

項目内容備考
効果の持続期間5年〜10年程度個人差や生活習慣による
主なダウンタイム大きな腫れ・内出血は1〜2週間デスクワークは数日後から可能な場合も
傷跡髪の生え際や耳の周り時間経過とともに目立ちにくくなる

医師選びの重要性

フェイスリフト手術の結果は、執刀する医師の技術と経験に大きく左右されます。

顔の解剖学的な構造を熟知し、SMASの処理を的確に行える技術力はもちろん、患者様一人ひとりの骨格やたるみの状態を見極め、最も自然で美しい結果をデザインする美的センスも求められます。

カウンセリングで十分に話し合い、自分の希望を正確に理解し、信頼できる医師を見つけることが手術の成功にとって何よりも大切です。

50代の顔・頬のたるみに関するよくある質問

50代の顔や頬のたるみ、特にフェイスリフト手術に関して、患者様からよくいただくご質問とその回答をまとめました。

セルフケアを続ければ、たるみは改善しますか?

毎日のセルフケアは、肌の健康を保ち、たるみの進行を緩やかにするために非常に重要です。特に保湿や紫外線対策は、肌のハリを保つ上で基本となります。

しかし、セルフケアでアプローチできるのは主に肌の表面(表皮)です。すでに進行してしまったSMAS筋膜のゆるみや皮下脂肪の下垂といった構造的な問題を、セルフケアだけで元に戻すことは困難です。

あくまで「予防」と「現状維持」が主な目的と考えるのが良いでしょう。

美容医療を考え始めるのは、どのタイミングが良いですか?

「セルフケアだけでは物足りなさを感じるようになった」「鏡を見るたびに、ほうれい線やフェイスラインのもたつきが気になる」など、ご自身がたるみを深刻な悩みとして意識し始めた時が一つのタイミングです。特定の年齢はありません。

まずはカウンセリングで専門医に相談し、ご自身のたるみの状態や原因を正確に診断してもらうことが適切な治療法を見つけるための第一歩になります。

HIFUや糸リフトとフェイスリフト手術は、どう違いますか?

アプローチ方法と効果、ダウンタイムが異なります。HIFU(ハイフ)などの照射治療は、肌の内部に熱を加えて引き締める治療で、ダウンタイムがほとんどないのが特徴です。

糸リフトは、特殊な糸で物理的に組織を引き上げます。これらは比較的軽度から中等度のたるみに適しています。

一方、フェイスリフト手術は、たるみの根本原因であるSMAS筋膜から引き上げる外科手術で、効果が最も高く長期間持続しますが、一定のダウンタイムが必要です。

たるみの程度やライフスタイルに合わせて選択することが大切です。

たるみ治療の費用はどれくらいかかりますか?

治療費用は、選択する施術によって大きく異なります。一般的に、注入治療や照射治療は数万円から数十万円、糸リフトは数十万円、フェイスリフト手術は百万円以上と、効果の高さや持続期間に比例して高額になる傾向があります。

また、同じ施術でもクリニックや使用する機器、糸の本数などによって料金は変動します。カウンセリングの際に、費用総額についてもしっかりと確認しましょう。

参考文献

FRIEDMAN, Oren. Changes associated with the aging face. Facial Plastic Surgery Clinics, 2005, 13.3: 371-380.

OKUDA, Itsuko, et al. Basic analysis of facial ageing: the relationship between the superficial musculoaponeurotic system and age. Experimental dermatology, 2019, 28: 38-42.

ZINS, James E.; MOREIRA-GONZALEZ, Andrea. Cosmetic procedures for the aging face. Clinics in geriatric medicine, 2006, 22.3: 709-728.

WOLLINA, Uwe; PAYNE, Christopher Rowland. Aging well–the role of minimally invasive aesthetic dermatological procedures in women over 65. Journal of cosmetic dermatology, 2010, 9.1: 50-58.

NARINS, David J.; NARINS, Rhoda S. Non-surgical radiofrequency facelift. Journal of drugs in dermatology: jdd, 2003, 2.5: 495-500.

ALEXIADES-ARMENAKAS, Macrene, et al. Blinded, randomized, quantitative grading comparison of minimally invasive, fractional radiofrequency and surgical face-lift to treat skin laxity. Archives of dermatology, 2010, 146.4: 396-405.

目次