輪郭整形は顔の印象を劇的に変える可能性を持つ一方で、術後に思い描いていた結果と異なると感じるケースが存在します。
特に「たるみ」や「左右差」は、骨を削る手術の特性上、一定のリスクとして認識する必要がありますが、その原因は執刀医の技術不足だけでなく、事前の計画不足や術後の過ごし方など多岐にわたります。
失敗と感じたときに焦って誤った行動をとると、状況を悪化させる可能性も否定できません。
輪郭整形の失敗とされる状態の具体的な原因を掘り下げ、現在直面しているトラブルに対してどのような修正方法や対処法が有効なのかを詳しく解説します。
医学博士
2014年 日本形成外科学会 専門医取得
日本美容外科学会 会員
【略歴】
獨協医科大学医学部卒業後、岩手医科大学形成外科学講座入局。岩手医科大学大学院卒業博士号取得、2014年に日本形成外科学会専門医取得。大手美容クリニックの院長を経て2017年より百人町アルファクリニックの院長を務める。
百人町アルファクリニックでは、糸を使った切らないリフトアップから、切開部分が目立たないフェイスリフトまで患者様に適した方法をご提案していますが、若返り手術は決して急ぐ必要はありません。
一人ひとりの皮下組織や表情筋の状態に合わせた方法を探し「安全性」と「自然な仕上がり」を第一に心がけているため、画一的な手術をすぐにはいどうぞ、と勧めることはしていません。
毎回手術前の診断と計画立案に時間をかけすぎるため、とにかく安く、早くこの施術をして欲しいという方には適したクリニックではありません。それでも、リフトアップの施術を年間300件行っている実績から、患者様同士の口コミや他のドクターからのご紹介を通じ、全国から多くの患者様に当院を選んでいただいています。
このサイトでは、フェイスリフトやたるみに関する情報を詳しく掲載しています。どうか焦らず、十分に勉強した上で、ご自身に合ったクリニックをお選びください。もちろん、ご質問やご相談があれば、いつでもお気軽にお問い合わせいただければ幸いです。
輪郭整形の失敗とされる状態の定義と現実的な判断基準
失敗かどうかの判断は、医学的な合併症の有無と、患者様自身の美的感覚との乖離という二つの側面から慎重に見極める必要があります。
術後すぐに結果が出ないことに焦りを感じる方が多いですが、ダウンタイム中の腫れや拘縮(こうしゅく)を失敗と誤認しているケースも少なくありません。
まずは、客観的にどのような状態が「失敗」と分類されるのか、その基準を明確にします。
希望した仕上がりと実際のデザインとの乖離
最も多くの患者様が悩むのが、骨を削ったにもかかわらず小顔効果を感じられない、あるいは逆に顔が四角く見えるといったデザイン上の不満です。
これは事前のカウンセリングで医師と患者様の間で完成イメージの共有が不十分だった場合に起こります。
例えば、エラを削りすぎたことで「犬顎(いぬあご)」と呼ばれる不自然なラインになったり、オトガイ(顎先)を後退させすぎて二重顎が目立ったりする事例があります。
骨格のCT画像に基づいた精密なシミュレーションを行わずに手術に踏み切った場合、皮膚や脂肪の厚みを計算に入れられず、骨は小さくなったが肉余りが生じるといった事態を招きます。
機能的な問題が発生しているケース
見た目の問題以上に深刻なのが、口が開けにくい、噛み合わせが悪くなった、唇の感覚が戻らないといった機能障害です。これらは医学的に明確な失敗あるいは合併症として扱います。
手術操作によって神経を損傷したり、顎関節に過度な負担がかかったりすることで生じます。
特に下歯槽神経(かしそうしんけい)の損傷は、下唇や顎の感覚麻痺を引き起こし、長期間の治療が必要になることがあります。
術後数ヶ月経っても口の開閉に支障がある場合は、単なるダウンタイムの症状ではなく、骨の位置異常や筋肉の癒着を疑う必要があります。
ダウンタイムと失敗の境界線
術後の腫れや内出血は誰にでも起こる生体反応であり、これを失敗と混同してはいけません。
特に輪郭手術は腫れが引くまでに長い時間を要します。大きな腫れは2週間程度で落ち着きますが、完全に組織が馴染んで完成形となるまでには半年から1年かかります。
この期間中に「左右差がある」「まだ顔が大きい」と判断して再手術を急ぐことは避けるべきです。
組織が硬くなる拘縮期には一時的に皮膚が引きつれたり、凹凸が目立ったりすることもありますが、時間の経過とともに改善することが大半です。正しい経過を知ることで、不必要な不安を取り除くことが大切です。
術後の時期別に見られる一般的な症状の推移
手術直後から完成までの期間には、時期ごとに特有の症状が現れます。これらを理解しておくと、現在の自分の状態が正常な経過なのか、異常なのかを判断しやすくなります。
| 時期 | 主な症状 | 状態の解説 |
|---|---|---|
| 術後1週間まで | ピーク時の強い腫れ | 顔全体が大きく膨れ上がり、感覚も鈍い状態です。左右差も顕著に出やすい時期ですが判断はできません。 |
| 術後1ヶ月〜3ヶ月 | 拘縮(こうしゅく) | 傷口が治る過程で組織が硬くなり、皮膚が引きつれたりボコボコしたりすることがあります。 |
| 術後6ヶ月以降 | ほぼ完成 | むくみが取れ、骨のラインに合わせて皮膚がフィットしてきます。この時点で残る問題は修正の検討対象です。 |
術後に発生する「たるみ」の主要な原因と組織の変化
骨を削って土台を小さくすると、その上を覆っていた皮膚や軟部組織(脂肪や筋肉)が余ってしまい、重力に従って垂れ下がることでたるみが生じます。
これは風船の空気を抜くとゴムがしぼんでたるむ現象に似ています。
特に頬骨やエラの縮小手術において顕著に現れるリスクであり、年齢や肌の弾力、切除した骨の量によって程度が異なります。
骨と皮膚の剥離範囲による影響
手術の際には、骨を削るために骨膜や筋肉を一度骨から剥がす操作が必要です。この剥離範囲が広すぎると、術後に組織が元の位置に正しく再接着せず、下方へずり落ちてしまうことがあります。
特に頬骨弓(きょうこつきゅう)のリフトアップ効果を狙って手術を行う場合、骨を内側に移動させた分だけ皮膚が余りやすくなります。
熟練した医師は、剥離範囲を最小限に留めると同時に、骨を固定する際に筋肉や骨膜を引き上げながら縫合する工夫を行い、たるみを予防します。
この処理が甘いと、術後にブルドッグのような頬のたるみが出現します。
余剰皮膚と脂肪の量に対する誤算
若年層であれば皮膚の弾力で多少の余剰皮膚は収縮して馴染みますが、30代以降や元々皮膚が薄くて伸びやすい方は、収縮力が追いつかずにたるみとなります。
また、皮下脂肪が多い方が骨だけを大幅に小さくすると、行き場を失った脂肪が口元やフェイスラインに溜まり、マリオネットラインや二重顎を悪化させます。
骨を削る量が多いほど小顔になれると考えがちですが、皮膚の収縮率を超えた骨切除は、老け顔の原因となる「皮膚あまり」を招く大きな要因です。
骨削り部位別のたるみリスクの比較
どの部位の骨を操作するかによって、たるみの出やすさや現れる場所が異なります。それぞれの部位におけるリスクの特徴を整理します。
| 手術部位 | たるみの特徴 | リスクの高さ |
|---|---|---|
| 頬骨(アーチ・体部) | ほうれい線が深くなる、頬の位置が下がる。中顔面のたるみが顕著に出やすい。 | 高い |
| エラ(下顎角) | フェイスラインがぼやける、首との境目が不明瞭になる。マリオネットラインが悪化する。 | 中程度 |
| オトガイ(顎先) | 顎下の皮膚が余り、二重顎になる。梅干しジワができることもある。 | 中程度 |
支持靭帯の損傷と保持能力の低下
顔にはリガメントと呼ばれる支持靭帯が存在し、これが皮膚や脂肪を骨に繋ぎ止める錨(いかり)の役割を果たしています。
輪郭手術の際にこのリガメントを不用意に切断してしまうと、組織を支える力が失われ、その結果として重力に負けて顔全体が下がってしまいます。
一度切断されたリガメントは自然には元通りにならないため、手術中にいかにリガメントを温存するか、あるいは切断が必要な場合にどのように再固定するかが、術後のたるみを防ぐ鍵となります。
技術力の低い手術では、この靭帯への配慮が欠けていることが多く見受けられます。
顔の「左右差」が残る原因と修正の難易度
完全に左右対称な顔を持つ人間は存在しませんが、術後に明らかな左右差が生じた場合、それは手術計画の甘さや技術的なミス、あるいは元々の骨格の歪みを考慮しなかったことに起因します。
骨そのものの左右差なのか、腫れによる一時的なものなのか、あるいは筋肉や脂肪の付き方の違いなのかを正確に見極めることが、修正への第一歩です。
元々の骨格非対称の見落とし
多くの人は手術前から左右の骨格や筋肉のつき方に違いがあります。しかし、医師がそれを正確に把握せずに「左右同じ量だけ骨を削る」という手術を行うと、元々の左右差がそのまま残る、あるいは強調されてしまいます。
例えば、右側のエラが元々大きい人に左右均等に切除を行えば、右側が大きいままの仕上がりになります。
高度な技術を持つ医師は、術前のCT検査で左右の骨の厚みや形の違いをミリ単位で計測し、左右で切除量や移動量を変えることで、可能な限り対称に近づけるデザインを行います。
軟部組織の厚みと回復の不均衡
骨を左右対称に整えたとしても、その上の筋肉(咬筋など)や脂肪の厚みに左右差がある場合、外見上の左右差はなくなりません。
片側の歯でばかり噛む癖がある方は、片方の筋肉だけが発達しているため、骨を削っても筋肉の膨らみが残り、左右差を感じます。また、術後の腫れや内出血の引き方は左右で異なることが一般的です。
片側だけ強く腫れている期間に「失敗した」と判断するのは尚早です。
半年以上経過しても軟部組織による左右差が残る場合は、ボトックス注射や脂肪吸引など、骨以外へのアプローチが必要になります。
不適切な骨固定と後戻り
頬骨縮小術などで骨を切って移動させた後、プレートやワイヤーで固定を行いますが、この固定が不十分だと、噛む力(咬合力)によって骨が元の位置に戻ろうとしたり、予期せぬ方向へずれたりすることがあります。
これを「後戻り」や「偏位」と呼びます。
片側だけでこの現象が起きると、顕著な左右差が生じます。また、骨切りラインの角度や位置に左右でズレがあった場合も、直接的な左右差の原因となります。
これらは再手術による修正が必要となる難易度の高いトラブルです。
左右差の原因別修正アプローチの違い
左右差が何に由来しているかによって、選択すべき解決策は異なります。原因を特定せずに再手術を行うと、新たな左右差を生む可能性があります。
| 原因 | 状態 | 主な対処法 |
|---|---|---|
| 骨の切除量ミス | CT画像で骨の形自体が左右で異なる | 骨の再切削、またはインプラントや骨セメントによる補填 |
| 軟部組織の厚み | 骨は対称だが、肉付きが違う | 脂肪吸引、脂肪注入、咬筋ボトックス、糸リフト |
| 神経麻痺 | 表情を作った時だけ口が歪む | 神経内科的治療、リハビリ、時期を待つ |
神経損傷による感覚麻痺と表情の違和感
輪郭手術において最も避けるべき合併症の一つが神経損傷です。
顔には複雑に神経が走行しており、特に下顎角(エラ)やオトガイ(顎)の手術では、知覚神経である下歯槽神経やオトガイ神経が近くを通っています。
これらの神経が傷つくと、日常生活に支障をきたす不快な症状が続きます。
神経損傷の程度によって、自然回復が見込めるものと、永続的な障害となるものがあります。
知覚神経麻痺の症状と回復過程
知覚神経がダメージを受けると、唇、歯茎、顎先の感覚が鈍くなったり、完全に感じなくなったりします。
「触れているのはわかるが、膜が一枚張ったような感じ」「ピリピリとした痺れがある」「熱い冷たいがわからない」といった症状が代表的です。
手術中の牽引(引っ張る動作)による一時的なダメージであれば、数週間から数ヶ月かけて徐々に回復します。
ビタミンB12製剤の服用などで回復を助けますが、神経が完全に切断されている場合は感覚が戻らない可能性があります。
感覚がない状態で食事をすると、唇を噛んだり、食べこぼしに気づかなかったりするため注意が必要です。
顔面神経麻痺による表情の喪失
知覚神経とは異なり、顔の筋肉を動かす「顔面神経」が損傷すると、表情を作れなくなります。例えば、眉毛が上がらない、目が閉じにくい、口角が上がらず笑えないといった症状です。
これは頬骨の手術やリフトアップ手術の際にリスクがあります。
顔面神経は深い層から浅い層へと走行しており、手術操作の層を誤ると傷つけてしまいます。
部分的な麻痺であれば3ヶ月から半年程度で回復することもありますが、症状が重い場合は神経縫合などの再建手術が必要になることもあります。
拘縮による一時的な引きつれとの区別
術後の回復過程で生じる「拘縮(こうしゅく)」による引きつれを、神経麻痺と勘違いすることがあります。
拘縮は傷が治る過程で組織が収縮し硬くなる現象で、口が開けにくかったり、笑った時に皮膚が突っ張って顔が歪んだりします。これは神経の異常ではなく、皮膚や筋肉の物理的な硬さが原因です。
マッサージやストレッチ、インディバなどの温熱療法を行うことで、時間をかけて柔らかくなり、自然な表情に戻っていきます。
自己判断せずに医師の診察を受け、神経の問題なのか拘縮なのかを明確にすることが大切です。
他院修正のための外科的アプローチとリスク
一度失敗した輪郭手術を修正することは、初回の手術よりも格段に難易度が高くなります。癒着した組織を剥離し、変形した骨を整える作業は、高度な技術と経験を持つ医師にしかできません。
修正手術には大きく分けて、再度骨を触る方法と、脂肪や皮膚の調整でバランスを整える方法があります。
現状の問題点に合わせて、適切な手段を選択する必要があります。
骨の切り直しと再移動
骨の削り残しによる左右差や、角が残っていて滑らかでない場合は、再度骨を削って整えます。しかし、初回手術ですでに骨が薄くなっている場合は、それ以上削ることができないことがあります。
逆に、骨を削りすぎて窪んでしまった、ラインが不自然になったという場合は、人工骨や骨セメント、あるいは自身の骨盤などから採取した骨を移植してボリュームを回復させます。
頬骨が下がってしまった場合は、再度骨切りを行い、適切な位置に引き上げて固定し直す手術が必要です。
再手術は感染のリスクも高まるため、慎重な判断を要します。
インプラント(プロテーゼ)による形成
削りすぎた骨を補うために、シリコンプロテーゼやゴアテックス、カスタムメイドの人工骨(3Dプリンターで作製したハイドロキシアパタイトなど)を挿入する方法です。
特にオトガイ(顎先)やエラの形成不全に対して有効です。
既製品のプロテーゼではフィットしないことが多いため、修正手術では患者様の骨格に合わせてオーダーメイドで作製することが推奨されます。
異物を体内に入れることになるため、将来的なズレや感染のリスク、骨吸収(プロテーゼの圧迫で自己骨が減ること)の可能性も考慮しなければなりません。
骨修正以外の外科的選択肢
骨そのものを触るリスクが高い場合や、問題が骨ではなく軟部組織にある場合は、以下の方法で輪郭を整えます。
- 脂肪注入(脂肪移植): コケてしまった部分や、骨を削りすぎて凹んだ部分に自身の脂肪を注入し、滑らかなラインを作ります。
- 脂肪吸引: 取りきれなかった脂肪や、たるんで下がってきた脂肪を除去し、フェイスラインをスッキリさせます。
切らない修正方法によるメンテナンスと改善
再手術には身体的、精神的、金銭的に大きな負担がかかります。骨の形状自体に大きな問題がないのであれば、メスを使わない施術でたるみや左右差を目立たなくする方法が賢明な選択となる場合も多いです。
これらは「修正」というよりは「調整」や「メンテナンス」に近いアプローチですが、見た目の満足度を大きく向上させます。
スレッドリフト(糸リフト)による引き上げ
骨削り後のたるみに対して最も即効性があるのがスレッドリフトです。トゲのついた特殊な溶ける糸を皮下に挿入し、物理的に組織を引き上げます。
骨が小さくなった分だけ余った皮膚を、糸の力で元の位置、あるいはそれより高い位置に再配置します。ただし、糸はいずれ溶けて吸収されるため、効果は永久ではありません。
たるみが強い場合は、定期的に糸を追加してリフトアップ効果を維持することが求められます。
たるみ予防として、骨切り手術と同時に糸リフトを行うクリニックも増えています。
照射系治療(HIFU・RF)での引き締め
ハイフ(HIFU)や高周波(RF)などの熱エネルギーを皮膚や筋膜(SMAS)に照射し、熱収縮によって組織を引き締める方法です。
ダウンタイムがほとんどなく、手軽に受けられるのが利点です。
骨切り術後のメンテナンスとして非常に有効で、皮膚と皮下組織を深部から引き締めることで、たるみの悪化を防ぎ、フェイスラインをタイトにします。
術後1ヶ月以降、腫れが引いてから開始するのが一般的で、定期的に継続することで効果を発揮します。
ヒアルロン酸・ボトックスによる微調整
軽度の左右差や凹みであれば、注入治療でバランスを整えることが可能です。
ヒアルロン酸は、骨を削りすぎて段差ができた部分や、ボリュームが足りない部分に注入してカモフラージュします。硬めのヒアルロン酸を使用することで、骨のようなシャープなラインを作ることもできます。
ボトックスは、咬筋(エラの筋肉)の左右差を調整したり、顎の梅干しジワを消したりするのに有効です。
また、ボトックスリフトとして広頸筋などに打つことで、下に引っ張る力を弱め、フェイスラインをリフトアップさせる手技も用いられます。
非外科的アプローチのメリット比較
切らない施術にはそれぞれ得意分野があります。自分の悩みが「皮膚の余り」なのか「脂肪の厚み」なのか「凹み」なのかによって使い分けます。
| 施術名 | 主な効果 | 持続期間の目安 |
|---|---|---|
| スレッドリフト | 物理的な位置の引き上げ、たるみ改善 | 1年〜1年半 |
| 医療ハイフ(HIFU) | 皮膚と筋膜の引き締め、コラーゲン生成 | 3ヶ月〜半年 |
| ヒアルロン酸注入 | 凹みの充填、輪郭形成、段差修正 | 半年〜1年半 |
修正手術を依頼するクリニック選びの重要ポイント
輪郭整形の修正は、初回の手術よりもはるかに高度な知識と技術を要します。解剖学的な構造が変化しており、癒着も存在するため、血管や神経を損傷するリスクが高まるからです。
そのため、クリニック選びは慎重に行わなければなりません。「有名だから」「安いから」という理由で選ぶと、再度の失敗(二次被害)を招く恐れがあります。
修正手術を成功させるために確認すべき具体的なポイントを挙げます。
修正手術の経験と実績の豊富さ
「輪郭整形ができる医師」と「輪郭の修正手術ができる医師」はイコールではありません。修正手術はイレギュラーな対応の連続であり、引き出しの多さが求められます。
ホームページやSNSで、初回手術の症例だけでなく、他院修正の症例を多く掲載しているかを確認します。特に、自分と同じような失敗状態から改善した症例があるかは重要な判断材料です。
修正手術を専門的に扱っている、あるいは形成外科専門医としてのキャリアが長く、骨格の再建手術に精通している医師を探すことが重要です。
CT検査と詳細なシミュレーションの有無
失敗の原因を正確に把握せずに再手術を行うことは不可能です。必ず術前にCT撮影を行い、現在の骨の状態、神経の位置、左右差の程度を3次元で可視化してくれるクリニックを選びます。
その上で、なぜ失敗したのか、今回の手術でどこまで改善できるのか、逆にリスクとして何が残るのかを論理的に説明してくれることが必須です。
感覚だけで手術を行う医師ではなく、データに基づいた科学的なアプローチをとる医師を信頼すべきです。
リスクと限界を正直に伝える姿勢
修正手術には限界があります。一度失われた組織を完全に元通りにすることは難しく、「100点満点」を目指すよりも「現状より良くする」「マイナスをゼロに近づける」ことが目標になる場合もあります。
良いことばかりを言う医師よりも、「ここは治せるが、ここは残る」「神経麻痺のリスクがこれくらいある」といったネガティブな情報も含めて誠実に伝えてくれる医師の方が信頼できます。
セカンドオピニオンを積極的に推奨し、患者様が納得するまで時間をかけて説明してくれるクリニックを選んでください。
輪郭整形の失敗と修正に関するよくある質問
- 修正手術はいつから可能ですか?
-
一般的に、前回の手術から最低でも6ヶ月、できれば1年以上の期間を空けることが推奨されます。
術後数ヶ月は組織が修復過程にあり、まだ腫れや硬さ(拘縮)が残っているため、正確な形状の判断ができません。また、組織が硬い状態で無理に手術を行うと、出血量が増えたり、正確な剥離ができずに新たなトラブルを招いたりするリスクが高まります。
ただし、感染症を起こしている場合や、明らかな位置異常で機能障害がある緊急のケースでは、早期の介入が必要になることもあります。
- 修正手術を行えば必ず左右対称になりますか?
-
残念ながら、完全に左右対称な顔を作ることは現代の医療でも困難です。人間の顔は元々、骨格だけでなく、筋肉の動き、脂肪の付き方、皮膚の質感すべてにおいて左右差を持っています。
修正手術では、これらを可能な限り調整して「パッと見た時に違和感がないレベル」を目指します。ミリ単位の完全な対称性を求めすぎると、過剰な手術を繰り返す「整形依存」の状態に陥る危険性があります。
現実的なゴールを医師と共有することが大切です。
- 修正手術のダウンタイムは初回よりも長いですか?
-
修正手術のダウンタイムは、初回手術よりも長く、症状が強く出る傾向があります。一度手術を受けた組織は瘢痕化(はんこんか)して硬くなっており、剥離操作に時間がかかるため、出血や腫れが強くなりやすいからです。
また、リンパや血管の流れも初回手術の影響で変化しているため、むくみが引くのにも時間を要します。社会復帰までの期間には十分な余裕を持ち、精神的にもゆとりを持って臨む準備が必要です。
- 骨を削りすぎた場合、元に戻すことはできますか?
-
削ってしまった自身の骨を元通りに戻すことはできませんが、失われたボリュームを補うことは可能です。
人工骨(ハイドロキシアパタイトなど)やシリコンプロテーゼを使用したり、自分の骨盤などの骨を移植したりして形態を再建します。
最近では3Dプリンターを用いて欠損部にぴったりフィットする人工骨を作製する技術も普及しており、より自然な修正が可能になっています。
ただし、異物を入れるリスクも伴うため、メリットとデメリットを慎重に比較する必要があります。
- たるみ修正のための糸リフトはいつからできますか?
-
骨切りの術後の腫れが概ね引いた段階、具体的には術後3ヶ月以降から可能な場合が多いですが、クリニックの方針により異なります。
骨と皮膚の癒着が完了していない時期に強力なリフトアップを行うと、予期せぬ癒着や変形を引き起こす可能性があるため、組織が安定するのを待つのが基本です。
ただし、たるみ予防として骨切り手術と同時に糸リフトを行うセットプランを提供しているクリニックもあります。主治医と相談し、組織の状態を見ながら適切な時期を決定します。
参考文献
LEE, Sang Woo; JEONG, Yeon Woo; MYUNG, Yujin. Revision surgery for zygoma reduction: causes, indications, solutions, and results from a 5-year review of 341 cases. Aesthetic plastic surgery, 2017, 41.1: 161-170.
LIAO, Lijun, et al. Correction of asymmetric facial deformity by contouring: indications and outcomes. Journal of Craniofacial Surgery, 2015, 26.2: e94-e98.
CHOI, Bong-Kyoon, et al. Analysis and guidelines for revisional malarplasty; most common facial skeletal contouring surgery. Journal of Craniofacial Surgery, 2022, 33.6: 1674-1678.
BAEK, Rong-Min; KIM, Jino; LEE, Sang Woo. Revision reduction malarplasty with coronal approach. Journal of plastic, reconstructive & aesthetic surgery, 2010, 63.12: 2018-2024.
HWANG, Chang Heon; LEE, Myung Chul. Revision malarplasty guided by strategic categorization. Journal of Plastic, Reconstructive & Aesthetic Surgery, 2019, 72.2: 322-334.
KIM, Jae-Hee, et al. Radiologic analysis of malar arch movement in reduction malarplasty without bony resection. Journal of Craniofacial Surgery, 2021, 32.4: 1307-1310.
DE SOUSA, Andrea Meneses Soares, et al. Imaging features and complications of facial cosmetic procedures. Radiographics, 2023, 43.12: e230060.


