ほうれい線手術の費用とダウンタイム｜貴族手術・脂肪注入・糸リフトの料金相場は？

深く刻まれたほうれい線は、実年齢よりも老けた印象を与えてしまう悩みの種です。

セルフケアでは改善が難しいほうれい線に対して、美容医療ではさまざまな手術が提供されています。

しかし、「どんな手術があるの？」「費用はいくらかかる？」「ダウンタイムはどれくらい？」といった疑問や不安を持つ方も多いでしょう。

この記事では、ほうれい線手術の代表的な方法である「貴族手術」「脂肪注入」「糸リフト」を中心に、それぞれの費用相場、ダウンタイム、特徴について詳しく解説します。

ほうれい線手術の主な種類とそれぞれの特徴

ほうれい線に対する手術は、主に「凹みを埋める」方法と「たるみを引き上げる」方法に分けられます。

貴族手術や脂肪注入は前者に、糸リフトは後者に分類され、それぞれ異なるアプローチでほうれい線を目立たなくします。

貴族手術（鼻翼基部プロテーゼ・自家組織移植）

貴族手術は、ほうれい線の根本的な原因である鼻翼基部（小鼻の付け根）の凹みにアプローチする手術です。

この部分が陥没していると、ほうれい線が深く見えやすくなります。主に口の中を切開し、シリコンプロテーゼやご自身の軟骨・脂肪などを挿入して凹みを持ち上げ、ほうれい線の食い込みを和らげます。

骨格レベルでの改善を目指すため、根本的な解消を望む方に向いています。

脂肪注入（自己脂肪）

ご自身の太ももやお腹などから採取した脂肪を、遠心分離などで精製し、ほうれい線の溝に注入する方法です。ヒアルロン酸注入と似ていますが、自己組織を使うためアレルギーのリスクが低い点が特徴です。

また、注入した脂肪の一部が生着（定着）すれば、その効果は半永久的に持続します。

ほうれい線の溝そのものをふっくらさせたい場合や、顔全体に丸みを持たせたい場合に適しています。

糸リフト（スレッドリフト）

糸リフトは、トゲ（コグ）の付いた特殊な医療用の糸を皮下に挿入し、頬のたるんだ皮膚や脂肪を引き上げる治療です。

「手術」と分類されますが、切開を伴わないため、他の手術に比べて体への負担が少ないのが特徴です。加齢によって頬の位置が下がり、ほうれい線が目立つようになった「たるみ型」のほうれい線に高い効果を発揮します。

また、糸が吸収される過程でコラーゲン生成を促す効果も期待できます。

主なほうれい線治療法の比較

治療法	主な目的	持続性の目安
貴族手術	鼻翼基部の凹み改善	半永久的（挿入物による）
脂肪注入	溝のボリューム補充	半永久的（生着した場合）
糸リフト	頬のたるみ引き上げ	1年〜2年程度（糸による）

ヒアルロン酸注入との違い

ヒアルロン酸注入は、ほうれい線治療で最も手軽な方法の一つです。しかし、ヒアルロン酸は時間とともに体内に吸収されるため、効果を持続させるには定期的な再注入が必要です。

一方、貴族手術や生着した脂肪は半永久的な効果が期待できます。糸リフトもヒアルロン酸よりは持続期間が長い傾向にあります。

ダウンタイムや費用の手軽さを取るか、持続性や根本改善を取るかが選択のポイントです。

ほうれい線手術の費用相場 貴族手術・脂肪注入・糸リフト

ほうれい線手術の費用は、術式、使用する材料（プロテーゼの種類、糸の本数など）、クリニックの方針によって大きく異なります。

ここで示すのはあくまで一般的な相場であり、実際の費用はカウンセリング時に必ず確認してください。

貴族手術の料金目安

貴族手術の費用相場は、約40万円〜70万円程度です。

プロテーゼを使用する場合と、ご自身の軟骨など自家組織を使用する場合とで料金が変動します。一般的に、自家組織を用いる方が採取の手間がかかるため、費用が高くなる傾向にあります。

また、静脈麻酔や全身麻酔を選択する場合は、別途麻酔費用が必要です。

貴族手術の費用構成（例）

項目	費用の目安	備考
手術費用（プロテーゼ）	約40万〜60万円	プロテーゼ代、技術料を含む
手術費用（自家組織）	約50万〜70万円	組織採取料、技術料を含む
麻酔費用	約5万〜15万円	静脈麻酔や全身麻酔の場合

脂肪注入の料金目安

脂肪注入の費用相場は、約30万円〜60万円程度です。料金は、脂肪の採取量、注入量、そして脂肪の精製方法によって変わります。

採取した脂肪から不純物を取り除き、濃縮（コンデンス）したり、幹細胞の比率を高めたりする特殊な精製を行う場合、追加の費用がかかることが一般的です。

脂肪注入の料金変動要因

要因	費用への影響
脂肪の精製方法	特殊な精製（コンデンスリッチ等）は高額になる
注入範囲	ほうれい線以外（額、こめかみ等）にも注入すると高額になる
採取部位	採取の難易度により変動する場合がある

糸リフトの料金目安

糸リフトの費用は、使用する糸の種類と本数によって大きく変動します。相場としては、約10万円〜50万円程度と幅広いです。

たるみの程度が軽い場合は少ない本数で済みますが、中度以上のたるみをしっかりと引き上げたい場合は、片側4本〜6本以上の糸が必要になることもあります。

また、持続期間が長い糸や、引き上げ力が強い糸は、1本あたりの単価が高くなる傾向があります。

使用する糸の本数と費用目安（両側）

本数（両側合計）	費用の目安
4本〜6本	約10万〜20万円
8本〜12本	約20万〜40万円

手術後のダウンタイムと一般的な経過

手術を受ける上で最も気になるのがダウンタイム（回復期間）です。

術式によって、腫れや痛みのピーク、社会復帰までにかかる期間は異なります。一般的な経過を知っておくことで、スケジュール調整に役立てられます。

貴族手術のダウンタイム

貴族手術は、鼻周りの骨膜を剥離するため、術後の腫れが比較的強く出やすい手術です。大きな腫れのピークは術後3日〜1週間程度で、この期間はマスクで隠すのが賢明です。

内出血が出た場合は、黄色っぽくなりながら吸収されるまで1〜2週間かかります。口の中を切開した場合、術後1週間程度は食事に配慮が必要です。

最終的に自然な仕上がりになるまでには1〜3ヶ月程度かかります。

脂肪注入のダウンタイム

脂肪注入のダウンタイムは、注入量と脂肪を採取した部位の両方に現れます。顔（注入部位）の腫れや内出血は、1〜2週間程度で徐々に落ち着きます。

脂肪の採取部位（太ももなど）は、筋肉痛のような痛みや内出血が2週間程度続くことがあります。

脂肪が生着するまでの約1ヶ月間は、注入部位を強くマッサージしたり圧迫したりしないよう注意が必要です。

脂肪注入（顔）の経過目安

時期	主な症状
術後〜3日	腫れのピーク、内出血
術後1週間	大きな腫れの軽減、内出血が黄色くなる
術後1ヶ月	腫れがほぼ引く、脂肪の生着が安定し始める

糸リフトのダウンタイム

糸リフトは切開をしないため、ダウンタイムは比較的短い傾向にあります。

術直後から数日間は、腫れ、痛み、そして糸で引き上げることによる「ひきつれ感」を感じることがありますが、1〜2週間程度で次第になじんでいきます。

内出血が出た場合もメイクでカバーできる程度であることが多いです。

術後数日は、大きな口を開けたり、強く顔をこすったりすることは避ける必要があります。

ダウンタイム中の過ごし方

ダウンタイムを順調に乗り切るためには、安静が第一です。術後数日間は、血流が良くなると腫れが強くなるため、長時間の入浴、飲酒、激しい運動は避けてください。

また、処方された抗生剤や痛み止めは指示通りに服用し、感染予防に努めることが重要です。

腫れを早く引かせるために、術後3日程度は患部を冷やすことも有効です。

知っておきたいほうれい線手術のリスクと注意点

どのような医療行為にも、リスクや副作用の可能性は伴います。ほうれい線手術も例外ではありません。

事前にリスクを理解し、納得した上で治療を受けることが後悔しないための第一歩です。

共通するリスク

すべての手術に共通するリスクとして、感染、内出血、血腫（血液のたまり）、痛み、腫れが挙げられます。

適切な処置と術後ケアによって最小限に抑えることができますが、万が異常を感じた場合はすぐにクリニックへ連絡することが重要です。

貴族手術特有のリスク

貴族手術では、挿入したプロテーゼがずれたり、曲がったりするリスクがあります。また、プロテーゼの輪郭が浮き出て不自然に見えたり、口元の違和感が続いたりする可能性もゼロではありません。

自家組織（軟骨など）を使った場合は、時間とともに一部が吸収され、効果が弱まることもあり得ます。

脂肪注入特有のリスク

脂肪注入で最も注意すべきリスクは「しこり（石灰化）」です。一度に多くの脂肪を注入したり、血流の悪い箇所に注入したりすると、脂肪が壊死して硬いしこりになることがあります。

また、注入した脂肪が思ったよりも生着せず、効果が十分に得られない、あるいは左右差が生じるといったリスクもあります。

脂肪注入で考慮すべき点

• しこり（石灰化）
• 生着率の個人差
• 左右差の発生
• 感染

糸リフト特有のリスク

糸リフトでは、術後の「ひきつれ感」が代表的なものです。多くは時間とともになじみますが、稀に長引くことがあります。

また、挿入した糸が皮膚の浅い層にあると、触れた時に糸の感触が分かったり、皮膚表面から透けて見えたり、場合によっては糸が露出したりするリスクがあります。

これらは医師の技術力によって大きく左右されます。

そのほうれい線「たるみ」ですか？「凹み」ですか？

ほうれい線と一口に言っても、その主な原因は人によって異なります。原因を見誤った治療を選択すると、期待した効果が得られないばかりか、かえって不自然な印象になることもあります。

あなたのほうれい線がどのタイプかを知ることが、適切な手術選びの第一歩です。

「たるみ」が原因のほうれい線

加齢とともに頬の皮膚や皮下脂肪、筋肉を支える組織（リガメント）が緩むと、頬全体のボリュームが下垂します。

この下がってきた頬のふくらみが、ほうれい線の上に乗っかることで溝が深く見えるのが「たるみ型」です。

このタイプの方が、ほうれい線の溝だけにヒアルロン酸や脂肪を注入すると、かえって口元が膨らんで不自然になることがあります。

たるみ型の方には、糸リフトやフェイスリフトで、まず頬の位置を元に戻す（引き上げる）治療が適しています。

「たるみ型」の特徴と対策

特徴	主な原因	推奨される治療法（例）
頬全体が下がっている	加齢による組織の緩み	糸リフト、HIFU（ハイフ）
夕方になると目立つ	皮膚の弾力低下	フェイスリフト（重度の場合）

「骨格的な凹み」が原因のほうれい線

アジア人の骨格の特徴として、鼻翼基部（小鼻の付け根）が元々低い、あるいは後退している場合があります。これが「凹み型」です。

このタイプは、若い頃からほうれい線が目立つ傾向にあります。たるみは少ないのにほうれい線が深い場合、この骨格的な凹みが原因である可能性が高いです。

凹み型の方には、糸リフトで引き上げても効果は限定的です。凹んでいる土台そのものを持ち上げる、貴族手術や脂肪注入、ヒアルロン酸注入が適しています。

「凹み型」の特徴と対策

特徴	主な原因	推奨される治療法（例）
若い頃から目立つ	骨格（鼻翼基部）の低さ	貴族手術
口元が突出して見える	相対的な凹み	脂肪注入、ヒアルロン酸注入

「混合型」のほうれい線

年齢を重ねると、多くの場合「凹み」と「たるみ」の両方の要素が混在してきます。骨格的な凹みがある上に、加齢によるたるみが加わって、ほうれい線がさらに深くなる状態です。

この「混合型」の場合、一つの治療だけでは満足のいく結果が得にくいため、貴族手術で土台を整えつつ、糸リフトでたるみを引き上げるなど、複数の治療を組み合わせる（コンビネーション治療）ことを検討します。

自分でできる簡易チェック方法

鏡を持って仰向けに寝てみてください。もし仰向けになった時にほうれい線が薄くなる、あるいは消えるようであれば、それは「たるみ」が主な原因である可能性が高いです。

逆に、仰向けになってもほうれい線の食い込みがあまり変わらない場合は、「凹み（骨格）」が主な原因と考えられます。これは簡易的な目安ですが、治療法選択の参考になります。

手術の効果はどのくらい持続するのか

手術の効果がどれくらい続くのかは、費用対効果を考える上で非常に重要です。術式によって持続期間の考え方は大きく異なります。

貴族手術の持続性

シリコンプロテーゼや自家軟骨を挿入した場合、それ自体が変質したり吸収されたりすることはほとんどないため、土台を持ち上げる効果は「半永久的」と考えてよいでしょう。

ただし、手術をしても加齢による「たるみ」は進行します。そのため、将来的にたるみによるほうれい線が新たに出てくる可能性はあります。

脂肪注入の持続性

注入した脂肪がすべて生着するわけではなく、一部は吸収されます。生着率は注入技術や個人の体質によりますが、一般的に40%〜60%程度とされます。

一度生着した脂肪は自己組織としてその場にとどまるため、その効果は「半永久的」です。ただし、生着率には個人差があるため、場合によっては複数回の注入が必要になることもあります。

脂肪の生着に関わる要素

• 注入技術（細かく少量ずつ注入する）
• 脂肪の精製度（不純物の除去）
• 術後のケア（圧迫しない）
• 体質（喫煙者などは生着率が低い傾向）

糸リフトの持続性

糸リフトの効果の持続期間は、使用する糸の種類（溶ける糸か溶けない糸か、トゲの形状など）によって異なりますが、一般的に「1年〜2年程度」とされています。

糸が溶けて吸収された後も、挿入による刺激でコラーゲンやエラスチンの生成が促進されるため、肌のハリを維持する効果は一定期間続くと考えられています。

ほうれい線手術で後悔しないクリニック選び

ほうれい線手術の満足度は、どのクリニックで誰に手術を任せるかに大きく左右されます。費用だけでなく、医師の技術力や信頼性を見極めることが重要です。

医師の経験と症例数の確認

ほうれい線手術は、医師の解剖学的知識とデザインセンスが問われる治療です。特に貴族手術や脂肪注入は、入れすぎると不自然になり、修正が難しい場合があります。

希望する術式において、その医師がどれくらいの経験を持ち、どのような症例を手がけてきたかをカウンセリングやクリニックのウェブサイトで確認しましょう。

カウンセリングの丁寧さ

あなたの悩みを親身に聞き、ほうれい線の原因（たるみ型か、凹み型か）を正確に診断してくれる医師を選びましょう。

メリットだけでなく、先に述べたようなリスクやダウンタイムについてもしっかりと説明し、あなたに合った治療法を複数提案してくれるかどうかが判断基準です。

一方的に高額な治療を勧めるクリニックは注意が必要です。

カウンセリングでの確認項目

確認項目	質問の例
医師の診断	「私のほうれい線の主な原因は何ですか？」
リスク説明	「この手術で起こりうるデメリットを全て教えてください」
費用総額	「見積もり以外に、麻酔代や薬代で追加費用はかかりますか？」

アフターケア体制の充実

手術は終わってからが本当のスタートです。術後に不安な点が出た時や、万が一トラブルが起きた時に、迅速かつ誠実に対応してくれるアフターケア体制が整っているかどうかも重要です。

術後の検診が定期的に行われるか、24時間連絡が取れる窓口があるかなどを確認しておくと安心です。

ほうれい線手術に関するよくある質問

ほうれい線手術の傷跡は目立ちますか？

術式によりますが、目立たないように最大限配慮されています。貴族手術は、主に口の中（歯茎の上）や鼻の穴の中から切開するため、外見上の傷跡は分かりません。

脂肪注入は極細の注射針（カニューレ）を使用し、糸リフトも髪の生え際や耳の前など、目立たない箇所にごく小さな針穴が開くだけです。

手術後、いつから仕事に復帰できますか？

術式と個人差、職種によって異なります。糸リフトや脂肪注入（少量）の場合、大きな腫れが引く3日〜1週間程度で、メイクでカバーして復帰する方が多いです。

貴族手術は腫れがやや強めに出るため、1週間〜10日程度のお休みを取る方が安心です。接客業など人前に出るお仕事の場合は、余裕を持ったスケジュールを組むことをお勧めします。

ほうれい線手術を受けたら、フェイスリフトは必要なくなりますか？

治療の目的が異なるため、一概には言えません。ほうれい線手術（特に貴族手術や脂肪注入）は、主にほうれい線の「凹み」や「食い込み」を改善する治療です。

一方、フェイスリフトは頬全体や首元の広範囲な「たるみ」を引き上げる治療です。

ほうれい線の原因がたるみ主体であればフェイスリフトが適していることもありますし、両方の要素がある場合は併用を検討することもあります。

脂肪注入の定着率はどれくらいですか？

一概に何%とは言えませんが、一般的に40%〜60%程度とされています。定着率は、採取した脂肪の質、遠心分離などの精製技術、医師の注入技術、そして術後のご自身のケア（強く圧迫しないなど）によって変動します。

定着しなかった脂肪は徐々に吸収されます。

糸リフトで「ひきつれ」が起こると聞きましたが、治りますか？

術後一時的にひきつれ感（皮膚が引っ張られる感覚）が出ることがありますが、通常は時間経過とともになじんでいきます。多くの場合、数週間から1ヶ月程度で違和感は消失します。

もし長期間ひきつれが続く場合は、糸の挿入位置や深さに問題がある可能性も考えられるため、施術したクリニックに相談することが重要です。