こめかみリフト（側頭部リフト）とは？効果・ダウンタイム・費用を解説

「最近、目尻が下がってきた気がする」「なんだか疲れた印象に見られることが増えた」と感じていませんか。そのお悩み、もしかしたら「こめかみ」から頬にかけてのたるみが原因かもしれません。

こめかみリフト（側頭部リフト）は、髪の生え際で皮膚を切開し、たるんだ組織を引き上げることで顔の上半分の印象を効果的に若返らせるリフトアップ手術です。

この記事では、こめかみリフトの具体的な効果から、気になるダウンタイム、費用の相場まで、専門的な観点から詳しく解説します。

手術を検討している方はもちろん、たるみ治療に興味がある方もぜひ参考にしてください。

こめかみリフト（側頭部リフト）の基礎知識

顔の若返り治療の中でも、特に注目されている「こめかみリフト」。まずは、この手術がどのようなもので、どのような悩みにアプローチできるのか、基本的な情報から解説します。

こめかみリフトとは何か

こめかみリフトは側頭部リフトとも呼ばれ、こめかみの部分、具体的には髪の生え際や髪の内部を目立たないように切開し、皮膚やその下にあるSMAS（スマス）という筋膜を引き上げる手術です。

局所的ながら顔の上部から中部にかけて広範囲に影響を与え、自然なリフトアップ効果を目指します。

切開範囲が比較的小さいため、体への負担も抑えやすいという特徴があります。

どのような悩みに効果があるか

この手術は、特に顔の上半分の加齢による変化に対して高い効果を発揮します。具体的な悩みとしては、以下のようなものが挙げられます。

• 下がってきた目尻
• 眉毛の位置の低下
• 上まぶたのたるみ
• ゴルゴライン（目の下のくぼみや線）

これらの悩みが複合的に現れている場合、こめかみリフトによるリフトアップで顔全体の印象を明るく若々しく見せる効果が期待できます。

他のリフトアップ施術との違い

リフトアップ治療には様々な種類がありますが、それぞれに特徴があります。こめかみリフトと他の代表的な施術の違いを理解し、ご自身の希望に合うものを見つけることが重要です。

代表的なリフトアップ施術との比較

施術方法	主なアプローチ	特徴
こめかみリフト	側頭部の切開・SMASの引き上げ	効果の持続性が高く、顔上部のたるみに強い
糸リフト	溶ける糸を皮下に挿入	ダウンタイムが短いが、効果の持続期間が限定的
ハイフ（HIFU）	超音波による熱エネルギー照射	切らずに治療可能だが、効果は穏やかで定期的照射が必要

手術方法の概要

手術は、静脈麻酔や局所麻酔を併用して行います。

1. まず、医師がマーキングしたこめかみの髪の生え際に沿って数センチ切開します。
2. そこから皮膚を剥離し、緩んだSMAS筋膜をしっかりと引き上げて固定します。
3. 余分な皮膚を切除した後、丁寧に縫合して手術は完了です。

手術時間はクリニックの方針や状態によって異なりますが、一般的には1時間半から2時間半程度です。

こめかみリフトで得られる具体的な効果

こめかみリフトは、単に皮膚を引き上げるだけではありません。SMAS筋膜から引き上げることで、顔の構造に根本からアプローチし、様々な若返り効果をもたらします。

具体的な効果を詳しく見ていきましょう。

目尻の下がりやたるみの改善

加齢とともに下がりやすい目尻は、こめかみリフトで最も効果を実感しやすい部位の一つです。こめかみ部分の皮膚と筋膜を引き上げることで目尻が本来の位置に戻り、若々しくハリのある目元を演出します。

目の外側のたるみが解消されることで、視界が広がるように感じる方もいます。

ほうれい線へのリフトアップ効果

ほうれい線は頬のたるみが原因で深くなります。こめかみリフトは、側頭部から頬全体の皮膚や組織を斜め上方に引き上げるため、頬の位置が高くなります。

この作用により、ほうれい線の上にかぶさっていたたるみが解消され、線が浅くなる効果が期待できます。顔の中顔面（目の下から口元まで）がすっきりとした印象になります。

期待できる効果の部位別まとめ

部位	改善が期待できる悩み	得られる印象
目元	目尻の下がり、上まぶたのたるみ	明るく、はっきりとした目元
頬	頬全体のたるみ、ゴルゴライン	ハリのある、立体的な頬
口元	ほうれい線、マリオネットライン	すっきりとしたフェイスライン

頬全体の若返り効果

こめかみから引き上げる力は、頬全体に及びます。年齢とともになだらかになってしまった頬のトップ（一番高い位置）が引き上がり、若々しい立体感が生まれます。

顔全体にメリハリがつき、生き生きとした表情を取り戻すことにつながります。

将来のたるみ予防

こめかみリフトは、すでにあるたるみを改善するだけでなく、将来のたるみを予防する効果も持ち合わせています。

SMAS筋膜を正しい位置に引き上げて固定するため、加齢によるたるみの進行を遅らせることができます。5年後、10年後の自分のために行う、先行投資としての側面も持っている治療です。

こめかみリフトのダウンタイムと経過

手術を受ける上で最も気になるのがダウンタイムではないでしょうか。こめかみリフトは切開を伴うため、一定の回復期間が必要です。

ダウンタイムの期間や症状、過ごし方について詳しく解説します。

手術直後から抜糸までの流れ

手術当日は、麻酔の影響が落ち着くまでクリニックで安静にしてから帰宅します。

傷口はガーゼなどで保護されます。通常、手術から約7日から10日後に抜糸のために再度来院が必要です。この期間が、ダウンタイムの主な期間となります。

主な症状（腫れ・内出血・痛み）

ダウンタイム中には、いくつかの症状が現れます。個人差はありますが、一般的な症状と期間の目安は以下のとおりです。

• 腫れ ピークは術後2～3日
• 内出血 1～2週間で黄色っぽく変化し吸収
• 痛み 鎮痛剤でコントロール可能な程度

これらの症状は時間の経過とともに自然に軽快していきます。特に腫れは、顔の上部に現れやすいですが、徐々に引いていきます。

ダウンタイム期間中の症状の目安

期間	主な症状	見た目の状態
術後～3日	腫れ（ピーク）、痛み、熱感	腫れが最も目立つ時期。安静が基本。
術後4日～1週間	腫れ、内出血（紫色）	大きな腫れが引き始め、内出血が目立つことがある。
術後1～2週間	軽い腫れ、内出血（黄色）	メイクでカバー可能になり、社会復帰する方が多い。

ダウンタイム中の過ごし方と注意点

ダウンタイムを順調に終え、美しい仕上がりを得るためには、術後の過ごし方が非常に重要です。

血行が良くなる行動は、腫れや内出血を長引かせる原因になるため、控える必要があります。

ダウンタイム中の主な注意点

項目	推奨される対応	理由
入浴・運動	シャワーは翌日から可能。入浴や激しい運動は抜糸後から。	血行を促進させ、腫れや痛みを増強させるため。
飲酒・喫煙	少なくとも抜糸までは控える。	飲酒は血行促進、喫煙は血流を阻害し傷の治りを遅らせる。
睡眠	枕を高くして寝る。	頭部を心臓より高く保ち、腫れの軽減を助けるため。

完成までの期間

抜糸が終わると大きな腫れは引いていますが、まだ内部の組織は回復過程にあります。

むくみや若干のつっぱり感などが完全に落ち着き、最終的な仕上がりが完成したと実感できるまでには、通常3ヶ月から6ヶ月程度の期間を見込んでおくと良いでしょう。

この期間を経て、リフトアップ効果はより自然なものになります。

手術後の傷跡は目立つ？隠せる？

「リフトアップはしたいけど、傷跡が残るのは怖い」これは、切開手術を考える誰もが抱く不安だと思います。

効果が高くても、傷跡が目立ってしまっては意味がありません。こめかみリフトは、この傷跡の問題に最大限配慮して行う手術です。

切開線の位置と特徴

こめかみリフトの切開線は、こめかみの髪の生え際に沿う形、あるいは髪の毛で完全に隠れる頭皮内に作ります。

患者様一人ひとりの生え際の形や毛量、髪の流れを考慮して、最も目立たない位置を精密にデザインします。このため、手術直後は赤みがありますが、時間が経つにつれて白く細い線になり、ほとんど分からなくなります。

傷跡が目立ちにくくなる理由

傷跡が目立ちにくいのには、複数の理由があります。

まず、髪の毛で隠れる位置に切開すること。次に、皮膚の縫合を非常に丁寧に行うこと。皮膚の表面だけではなく、中の層から丁寧に合わせることで傷にかかる張力を減らし、きれいに治癒するよう促します。

この縫合技術が医師の腕の見せ所でもあります。

ヘアスタイルで隠す工夫

ダウンタイム中や傷跡の赤みが気になる期間は、ヘアスタイルを工夫することで自然にカバーできます。こめかみの部分にかかるように前髪やサイドの髪を下ろすスタイルが有効です。

抜糸の翌日以降は傷口を避けてファンデーションなどのメイクも可能になるため、さらに目立ちにくくできます。

傷跡の経過と状態

期間	傷跡の状態	見た目の特徴
術後～1ヶ月	赤みのある細い線	傷が治癒していく過程。最も赤みが目立ちやすい。
術後1～3ヶ月	赤みが引き、硬さが出る時期	傷が成熟する過程。少し硬く感じることがある。
術後3～6ヶ月以降	白く柔らかい線に変化	肌色に馴染み、ほとんど目立たない状態になる。

傷跡のケア方法

傷跡をよりきれいに治すためには、セルフケアも大切です。紫外線は色素沈着の原因になるため、傷跡部分には日焼け止めを塗るなどしてUV対策を徹底しましょう。

また、強くこするなどの刺激を与えないことも重要です。

クリニックによっては傷跡の治癒を助ける外用薬が処方されることもありますので、医師の指示に従ってください。

こめかみリフトの費用相場と内訳

美容医療は自由診療のため、クリニックによって費用が大きく異なります。

手術費用の目安

こめかみリフトの費用相場は、一般的に50万円から100万円程度です。この価格差は、クリニックの知名度や立地、担当する医師の技術力、手術の術式（どこまで引き上げるかなど）によって生じます。

安さだけで選ぶのではなく、費用と提供される医療の質とのバランスを考えることが大切です。

費用に含まれるもの・含まれないもの

提示される手術費用に何が含まれているのかを確認することは非常に重要です。後から追加費用が発生して、想定よりも高額になってしまうケースを避けるためです。

カウンセリングの際に、費用の内訳を必ず確認しましょう。

一般的な費用内訳の例

項目	含まれることが多いもの	別途費用の場合があるもの
手術関連	手術費、麻酔代	術前血液検査代
術後ケア	抜糸、術後検診	処方薬（痛み止め・抗生剤）
その他	–	保証制度の加入費

クリニック選びと費用の関係

費用はクリニックを選ぶ上での一つの指標ですが、全てではありません。

経験豊富な医師が在籍しているか、カウンセリングは丁寧か、アフターフォロー体制は整っているかなど、総合的に判断する必要があります。

信頼できる医師による適切な手術は、満足のいく結果と長期的な安心につながります。この観点から見れば、適正な費用は、安全と結果に対する投資と考えることができます。

こめかみリフトを受ける前に知っておきたいこと

手術を決断する前に、メリットだけでなく、起こりうるリスクや注意点についても正しく理解しておく必要があります。

安全に手術を受け、満足のいく結果を得るための最終確認事項です。

考えられるリスクと副作用

どのような医療行為にも、リスクや副作用の可能性はゼロではありません。こめかみリフトの場合、以下のようなものが考えられます。

経験豊富な医師のもとで手術を受けることで、その発生頻度を最小限に抑えることができます。

考えられる主なリスクと副作用

リスク・副作用	内容	対応
感染	傷口から細菌が入り、炎症を起こす状態。	抗生剤の服用で予防・治療する。
左右差	仕上がりにわずかな左右差が生じる可能性。	術前のデザインと術中の調整で最小化を図る。
感覚の鈍化	切開部周辺の皮膚の感覚が一時的に鈍くなる。	通常は数ヶ月から1年程度で自然に回復する。

手術を受けられない人の条件

安全を第一に考えるため、健康状態によっては手術を受けられない場合があります。持病がある方や、服用中のお薬がある方は、カウンセリングの際に必ず医師に申し出てください。

• 重度の心臓病や糖尿病の方
• 血液をサラサラにする薬を服用中の方
• 妊娠中または授乳中の方
• ケロイド体質の方

医師とのカウンセリングの重要性

最終的に最も重要なのは、信頼できる医師と出会い、納得のいくまで話をすることです。

カウンセリングではご自身の希望を具体的に伝えるとともに、医師からの説明をよく聞き、疑問や不安な点はすべて解消しておきましょう。

シミュレーションなどを用いて仕上がりのイメージを共有することも、ミスマッチを防ぐ上で効果的です。

こめかみリフトに関するよくある質問

最後に、カウンセリングの場で患者様からよくいただく質問とその回答をまとめました。

効果はどのくらい持続しますか？

こめかみリフトはSMAS筋膜から引き上げるため、効果の持続性は高いとされています。一般的には5年から10年程度と言われていますが、効果が完全になくなるわけではありません。

手術を受けた時点から、たるみの進行を遅らせる「貯金」ができるようなイメージです。術後の生活習慣やケアによっても持続期間は変わってきます。

手術中の痛みはありますか？

手術は静脈麻酔や局所麻酔をしっかりと効かせた状態で行いますので、手術中に痛みを感じることはほとんどありません。

術後は、ジンジンとした痛みを感じることがありますが、処方される痛み止めを服用することで十分にコントロールできる範囲です。

仕事は何日くらい休む必要がありますか？

デスクワークなど、体をあまり動かさないお仕事であれば、抜糸までの7日から10日程度のお休みを取る方が多いです。腫れや内出血が気になる場合は、2週間程度あるとより安心でしょう。

接客業など人と顔を合わせる機会が多いお仕事の場合は、ご自身の判断で少し長めにお休みを検討するのも良いかもしれません。

職種別・仕事復帰の目安

職種	推奨される休暇期間	ポイント
デスクワーク・在宅勤務	5日～10日	体への負担は少ないが、腫れが気になる場合がある。
接客・営業職	10日～14日	メイクでカバーできる程度に落ち着いてからが安心。
身体を使う仕事	14日以降	力仕事など、体に負担がかかる作業は避ける必要がある。

他の施術と同時に受けられますか？

はい、可能です。例えば、よりシャープなフェイスラインを求める場合は、こめかみリフトと同時に頬や顎の脂肪吸引を行うことがあります。

また、目元の印象をさらに華やかにするために、二重整形や目の下のたるみ取りを組み合わせることも効果的です。組み合わせることで、ダウンタイムを一度で済ませられるという利点もあります。

どのような組み合わせが最適か、カウンセリングで医師にご相談ください。