糸リフトは痛い？麻酔の種類とダウンタイム中の「痛み」を徹底解説

「糸リフトでリフトアップしたいけれど、痛いのは怖い…」そんな不安をお持ちではありませんか。

糸リフトはメスを使わない手軽な施術として人気ですが、痛みに関する心配から一歩踏み出せない方も少なくありません。

この記事では、糸リフトの施術中に感じる痛み、それを抑えるための麻酔の種類、そして施術後のダウンタイム中に生じる痛みの経過と対処法について、詳しく解説します。

糸リフトの「痛み」はいつ感じる？施術中とダウンタイムの違い

糸リフトの痛みは、大きく分けて「施術中」と「施術後のダウンタイム中」の2つのタイミングで生じます。

糸を挿入する施術中の痛みは麻酔によって最小限に抑えますが、麻酔注射の際にチクッとした感覚はあります。

施術後は、麻酔が切れると炎症によるズキズキとした痛みや、顔を動かした時の引きつれ感が出ることが一般的です。

施術中の痛み 針を刺すチクッとした感覚

糸リフトの施術では、まず糸の挿入口と出口に局所麻酔の注射を行います。この注射針が刺さる時に、チクッとした痛みを感じます。予防接種や採血の時と似た感覚です。

クリニックでは、この痛みを軽減するために極細の針を使用したり、注射の前に冷却（クーリング）を行ったりする工夫をしています。

麻酔が効き始めれば、その後の施術で強い痛みを感じることはほとんどありません。

糸を挿入する時の感覚 引っ張られる感じ

局所麻酔がしっかりと効いている状態では、糸（カニューレという管）が皮下組織を通る感覚はあっても、鋭い痛みとして感じることは通常ありません。

ただし、組織が引っ張られるような感覚や、グッと押されるような圧迫感を覚えることはあります。これを「痛い」と感じるか「違和感」と感じるかは個人差が大きい部分です。

もし施術中に痛みを感じるようであれば、すぐに医師に伝え、麻酔を追加してもらうことが重要です。

施術後のダウンタイム ズキズキ・チクチクする痛み

施術が終了し、麻酔が切れてくると、施術部位に痛みが出始めます。これは、糸という異物を挿入したことによる組織の炎症反応であり、正常な経過です。

痛み止めが処方されますので、それを服用することでコントロールできます。

ズキズキ、ジンジンとした拍動するような痛みや、時折チクッと針で刺されたような痛みが出ることがあります。

施術中の痛みを抑える麻酔の役割と種類

糸リフトの施術を快適に受けるために、麻酔は非常に重要です。痛みを完全になくすというよりは、痛みをコントロールし、不安や恐怖心を和らげる目的で使用します。

クリニックによって採用する麻酔の種類や組み合わせ方は異なりますが、一般的に局所麻酔を基本に、他の麻酔を併用することが多いです。

局所麻酔 注射時の痛みとその対策

局所麻酔は、施術する部位（糸の挿入口など）に直接注射し、その部分の神経の働きを一時的に麻痺させる方法です。施術中の痛みを抑える基本となる麻酔です。

前述の通り、注射時の「チクッ」とした痛みを伴いますが、この痛みをいかに軽減するかがクリニックの腕の見せ所でもあります。

極細の針の使用、注入速度の調整、冷却などがその対策です。

笑気麻酔 リラックスして恐怖心を和らげる

笑気麻酔は、医療用のガス（亜酸化窒素）を鼻から吸入する方法です。意識がなくなることはありませんが、お酒に酔ったようなフワフワとした心地よい感覚になり、不安や緊張が大幅に和らぎます。

局所麻酔の注射に対する恐怖心が強い方や、緊張しやすい方に適しています。

ガスの吸入をやめれば速やかに覚醒するのも特徴です。

静脈麻酔 眠っている間に施術が終わる

静脈麻酔は、点滴から麻酔薬を投与し、ウトウトと眠ったような状態（鎮静状態）にする方法です。「寝ている間に全て終わらせてほしい」という方や、挿入する糸の本数が多い場合、または他の施術と組み合わせる場合に選択されます。

施術中の記憶はほとんど残りません。ただし、麻酔からの覚醒に時間がかかるため、施術後はしばらく院内で休んでいただく必要があります。

主な麻酔の種類と特徴

麻酔の種類	特徴	こんな方におすすめ
局所麻酔	施術部位の痛みだけをピンポイントで取る。意識ははっきりしている。	短時間・少ない本数の施術。費用を抑えたい方。
笑気麻酔	ガスを吸入し、不安や緊張を和らげる。リラックス効果が高い。	痛みが怖い方。緊張しやすい方。注射が苦手な方。
静脈麻酔	点滴で鎮静薬を投与し、眠った状態にする。施術中の記憶が残らない。	強い恐怖心がある方。本数が多い方。他の施術も同時に行う方。

ダウンタイム中の痛みはいつまで続く？ピークと経過

施術後の痛みは、施術当日を0日目として、術後1日目〜3日目がピークとなることが一般的です。

その後は1〜2週間かけて、強い痛みから鈍い痛み、そして違和感やつっぱり感へと徐々に変化していきます。

施術直後〜3日目 痛みのピークと腫れ

麻酔が切れた施術当日の夜から、ズキズキとした痛みや熱感が出やすくなります。腫れもこの時期に最も強く現れることが多いです。

処方された痛み止めを我慢せずに服用し、保冷剤などで軽く冷やす（冷やしすぎない程度に）と楽になります。

この時期は安静に過ごすことが大切です。

4日目〜1週間 鈍痛やつっぱり感への変化

ピーク時のような強いズキズキとした痛みは引き、鈍い痛み（鈍痛）や、顔を動かした時（特に笑ったり、口を大きく開けたりした時）の引きつれ感、つっぱり感がメインになってきます。

痛み止めを飲む回数も減ってくる方が多い時期です。内出血が出ている場合は、黄色っぽく変化してきます。

2週目以降 ほとんど気にならなくなる

2週間も経つと、日常生活で痛みを感じることはほとんどなくなります。ただし、引きつれ感や、施術部位を強く押した時の軽い痛み、違和感などはまだ残っている場合があります。

これらの症状も1ヶ月ほどかけて徐々に馴染み、気にならなくなっていきます。

ダウンタイム中の痛みの経過目安

時期	痛みの特徴	主な対処法
施術当日〜3日目	ズキズキ、ジンジンとした痛み（ピーク）。熱感。	痛み止めの服用。患部のクーリング。安静。
4日目〜1週間	鈍痛。表情を動かした時の引きつれ感、つっぱり感。	痛み止めの服用（痛む時のみ）。
2週目〜1ヶ月	痛みはほぼ消失。軽い違和感や引きつれ感が残る場合がある。	特になし（日常生活に戻る）。

なぜ痛む？ダウンタイム中に痛みが出る理由

施術後のダウンタイム中に生じる痛みは、身体が傷を治そうとする正常な反応の結果です。

主に、挿入された糸に対する炎症反応と、糸のコグ（トゲ）が組織を固定することによる物理的な刺激が原因です。

挿入した糸による組織の炎症反応

糸リフトでは、医療用の糸を皮下組織に挿入します。身体にとっては「異物」が入ってきたことになるため、その周囲で一時的に炎症反応が起こります。

この炎症反応が熱感や腫れ、ズキズキとした痛みを引き起こします。

この反応は、傷が治癒し、糸が組織に馴染んでいくために必要なものです。

糸のコグ（トゲ）による刺激

リフトアップ効果を高めるため、多くの糸には「コグ」と呼ばれる小さなトゲがついています。このコグが皮下組織に引っかかり、皮膚を引き上げます。

組織が安定するまでの間、表情を動かしたり、寝返りをうったりすることでコグが周囲の組織を刺激し、チクッとした痛みや引きつれ感が生じることがあります。

筋肉の動きに伴う引きつれ感

特に口元や頬周りに糸を挿入した場合、食事や会話、笑うといった表情筋の動きによって、挿入した糸が引っ張られます。糸がまだ組織に完全に馴染んでいないダウンタイム初期は、この動きが痛みや強い引きつれ感として感じられます。

無理に大きく口を開けたり、硬いものを食べたりしないよう注意が必要です。

ダウンタイム中の痛みの主な原因

原因	特徴	痛みが出やすい時期
炎症反応	ズキズキとした痛み、熱感、腫れ。	施術直後〜3日目
コグの刺激	チクチクする痛み、表情を動かした時の痛み。	施術直後〜2週間
組織の引きつれ	つっぱり感、口の開けにくさ。	施術直後〜1ヶ月

痛みの感じ方は人それぞれ。あなたが痛みを感じやすい理由とは？

「自分は痛みに弱いから…」と施術をためらう方は少なくありません。実は、痛みの感じ方は体質やその日のコンディション、さらには心理状態によっても大きく変わります。

痛みの「閾値（いきち）」と個人差

痛みを感じるボーダーラインを「痛みの閾値」と呼びます。この閾値には個人差があり、閾値が低い人は、他の人が「違和感」程度にしか感じない刺激を「痛み」として認識しやすい傾向があります。

これは優劣の問題ではなく、単なる体質的な特徴です。

不安や緊張が痛みを増幅させる

「痛かったらどうしよう」という強い不安や緊張は、自律神経のうち交感神経を優位にします。交感神経が活発になると、身体は戦闘モードに入り、神経が過敏になって痛みを感じやすくなることが知られています。

逆に、リラックスした状態（副交感神経が優位な状態）では、痛みを感じにくくなります。

麻酔そのものだけでなく、いかにリラックスして施術を受けられるかが重要です。

過去の経験と睡眠不足の影響

過去に受けた治療（例えば歯科治療など）で強い痛みを経験したことがあると、「治療＝痛い」という記憶が残り、今回の施術に対しても無意識に身構えてしまいがちです。

また、施術前の睡眠不足や疲労の蓄積も、自律神経のバランスを乱し、痛みに敏感になる原因となります。

痛みの感じやすさに影響する要因

• 睡眠不足や疲労の蓄積
• 精神的なストレスや不安感
• 過去の痛みの経験（トラウマ）
• ホルモンバランスの変動（例：生理前）

痛みが不安な方へのサポート体制

当院では、痛みに敏感な方や不安が強い方でもリラックスして施術を受けていただけるよう、カウンセリングからアフターケアまで、きめ細やかなサポート体制を整えています。

サポート内容	具体的な取り組み
丁寧なカウンセリング	痛みの不安を詳しく伺い、麻酔計画や施術の流れを丁寧に説明します。
選べる麻酔	笑気麻酔や静脈麻酔など、不安を和らげる選択肢を積極的に提案します。
施術中の配慮	極細針の使用、優しい声かけ、リラックスできる音楽など、環境づくりに努めます。

ダウンタイム中の痛みを和らげるセルフケアと注意点

ダウンタイム中の痛みを上手にコントロールすることは、快適に過ごすためだけでなく、仕上がりにも良い影響を与えます。

処方された痛み止めの服用と、適切なクーリング（冷却）が基本となります。

処方された痛み止めの正しい服用タイミング

クリニックからは、痛み止め（主に非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)など）が処方されます。「痛くなったら飲む」のではなく、痛みのピークである施術後1〜3日は「痛くなる前に飲む」のが効果的です。

我慢して痛みが強くなってから飲むと、薬が効き始めるまでに時間がかかり辛い時間を過ごすことになります。

決められた用法・用量を守り、定期的に服用することをお勧めします。

患部のクーリング（冷やし方）のコツ

炎症による痛みや腫れには、クーリングが有効です。ただし、冷やしすぎは血行不良を招き、かえって治りを遅らせる原因にもなります。

保冷剤を直接肌に当てるのではなく、タオルやガーゼで包み、1回10分〜15分程度を目安に、痛みや熱感が強い部分を優しく冷やしてください。

これを1日に数回繰り返します。

セルフケアのポイント

ケア方法	目的	注意点
痛み止めの服用	炎症を抑え、痛みを軽減する	痛む前に定期的に服用する（特に術後3日間）。
クーリング（冷却）	炎症、腫れ、熱感を抑える	冷やしすぎない（1回10〜15分）。保冷剤を直接当てない。
安静	糸の定着を助け、炎症を悪化させない	頭を心臓より高くして寝る（枕を高くする）。

痛みを悪化させるNG行動

ダウンタイム中に良かれと思ってやったことが、かえって痛みを強めたり、ダウンタイムを長引かせたりすることがあります。

特に施術後1週間は、血行が良くなりすぎる行動は避ける必要があります。

ダウンタイム中のNG行動例

NG行動	理由	推奨される行動
長時間の入浴・サウナ	血行が促進され、腫れや痛みが強くなる。	当日はシャワー（顔を濡らさない）。翌日以降も短時間のシャワーにする。
飲酒	アルコールにより血管が拡張し、炎症が悪化する。	少なくとも3日〜1週間は控える。
激しい運動	血圧が上がり、腫れや痛みを引き起こす。	ウォーキングなどの軽い運動も1週間程度は控える。
顔のマッサージ	挿入した糸がずれたり、炎症が強まったりする。	最低1ヶ月は顔を強くこすったり押したりしない。

こんな痛みは要注意！すぐにクリニックに相談すべきサイン

ダウンタイム中の痛みは通常の経過ですが、万が一、通常とは異なる強い痛みや症状が出た場合は、合併症の可能性もゼロではありません。

我慢せず、すぐに施術を受けたクリニックへ連絡してください。

日に日に痛みが強くなる

通常の痛みは、施術後3日目ごろをピークに徐々に軽減していきます。もし、4日目、5日目と日が経つにつれて痛みが和らぐどころか、むしろ強くなっていく場合は注意が必要です。

炎症が強く起きすぎているか、他の問題が生じている可能性があります。

処方された痛み止めが全く効かない

処方された痛み止めを飲んでも、痛みが全く軽減されない、または一瞬しか効かない状態が続く場合も相談のサインです。

「耐えられないほどの激痛」が続くのは正常ではありません。

痛み以外の症状（高熱、強い腫れ、皮膚の色の変化）

痛みに加えて、38度以上の高熱が出る、片側だけが異常に腫れあがる、施術部位の皮膚が赤黒く変色したり、水ぶくれができたりした場合、感染や血流障害などの重大な合併症が疑われます。

夜間や早朝であっても、すぐにクリニックの緊急連絡先に連絡するか、救急外来を受診する必要があります。

クリニックへの相談が必要な症状

症状	疑われる状態	緊急度
痛みが日に日に増強する	過度の炎症、感染の初期	高
痛み止めが全く効かない激痛	感染、神経の刺激	高
高熱、皮膚の色の異常	重度の感染、血流障害	最優先（緊急）

糸リフトの痛みに関するよくある質問（FAQ）

糸リフトの痛みに関して、患者様から特によく寄せられる質問とその回答をまとめました。他にも不安な点があれば、カウンセリングで遠慮なくご質問ください。

麻酔の注射はどれくらい痛いですか？

チクッとした痛みを感じます。痛みの感じ方には個人差がありますが、一般的には予防接種や採血と同程度か、それより軽いと感じる方が多いです。

当院では痛みを最小限にするため、極細の針を使用し、ゆっくりと注入します。痛みが心配な方には、笑気麻酔を併用してリラックスした状態で行うことも可能です。

ダウンタイム中、口を開けたり笑ったりすると痛いのはなぜですか？

挿入した糸が皮下組織に定着しようとする過程で、表情筋の動きに連動して引きつれ感や痛みが生じるためです。これは糸がしっかりと組織を掴んでいる証拠でもあり、正常な反応です。

通常、1〜2週間ほどで組織が馴染み、動かした時の痛みや違和感は徐々に軽減していきます。

糸の種類によって痛みの強さは変わりますか？

変わる可能性があります。一般的に、コグ（トゲ）が大きく、しっかりと組織を引き上げる力が強い糸の方が、術後の引きつれ感や痛みをやや感じやすい傾向があります。

ただし、その分リフトアップ効果も高くなることが期待できます。どの糸が適しているか、痛みの出方も含めてカウンセリングで詳しくご説明します。

痛みが怖いです。施術を断念した方がよいでしょうか？

痛みが不安な方こそ、まずはご相談ください。痛みを理由に施術を諦める必要はありません。

当院では、痛みを最大限に抑える麻酔方法（局所麻酔、笑気麻酔、静脈麻酔）を複数用意しており、患者様の不安の度合いに合わせて提案します。

お話をお伺いした上で、無理に施術をお勧めすることは決してありませんので、ご安心ください。