ほうれい線手術で失敗・後悔しないためには？名医の選び方まで解説

ほうれい線が目立つと、実年齢よりも老けて見られることがあり、多くの方が悩んでいます。

美容医療でのほうれい線治療には様々な方法がありますが、特に「手術」を考える際、失敗や後悔は絶対に避けたいものです。

この記事では、ほうれい線手術の種類から、なぜ失敗が起こるのか、そして後悔しないために最も重要な「名医」の選び方まで詳しく解説します。

ほうれい線手術とは？主な種類と特徴

ほうれい線手術は、加齢や骨格の影響で深くなった鼻から口角にかけての溝（ほうれい線）を、外科的なアプローチで目立たなくさせる治療法です。

主に皮膚や皮下組織を引き上げることで、若々しい印象を取り戻すことを目指します。

ほうれい線が深くなる主な原因

ほうれい線は、単なる「シワ」ではありません。主な原因は、加齢による頬の皮膚、皮下脂肪、筋肉といった組織の「たるみ」です。

重力によって頬全体が下がることで、境目であるほうれい線が溝のように深くなります。

また、骨格的な要因や、皮下脂肪の減少・増加によっても目立つことがあります。

切開リフト（フェイスリフト）

切開リフトは、ほうれい線治療における代表的な手術です。一般的に耳の前や髪の生え際などを切開し、皮膚だけでなく、その下にあるSMAS（スマス）と呼ばれる筋膜を引き上げ、余分な皮膚を切除します。

たるみの根本的な原因にアプローチするため、ほうれい線を含む顔全体のたるみに対して、最も強力で持続性の高い効果を期待できます。

糸リフト（スレッドリフト）

糸リフトは、特殊なトゲ（コグ）が付いた医療用の糸を皮下に挿入し、頬の組織を引き上げる治療法です。

切開を伴わないため、切開リフトに比べてダウンタイムが短いのが特徴です。

ほうれい線が目立ち始めた初期段階や、切開に抵抗がある方に選ばれることが多いですが、効果の持続期間は切開リフトに比べて短くなります。

主なほうれい線治療法の比較

治療法	主な特徴	持続期間の目安
切開リフト	皮膚と筋膜を引き上げる。効果が高い。	5年～10年程度
糸リフト	糸で組織を引き上げる。切開不要。	1年～2年程度
注入治療	ヒアルロン酸などで溝を埋める。	半年～1年程度

注入治療（ヒアルロン酸など）との違い

ヒアルロン酸注入などの治療は、深くなったほうれい線の溝そのものを埋めて浅くする方法です。手軽に行える反面、たるみ自体を改善するものではありません。

一方、手術（切開リフトや糸リフト）は、たるんだ組織を引き上げることで、ほうれい線の原因にアプローチする点が根本的に異なります。

ほうれい線手術の失敗例と後悔のパターン

ほうれい線手術の失敗には、期待した効果が得られないことから、見た目の不自然さに悩むケースまで、いくつかの典型的なパターンが存在します。

効果が感じられない・持続しない

最も多い後悔の一つが「思ったより変わらなかった」「すぐに元に戻ってしまった」というものです。

特に糸リフトでは、引き上げる力が弱かったり、挿入する糸の種類や本数が適切でなかったりすると、効果を実感しにくいことがあります。

切開リフトであっても、たるみの原因である筋膜（SMAS）へのアプローチが不十分だと、皮膚だけを引っ張る形になり、持続性が低くなることがあります。

引きつれや不自然な表情になる

手術後に顔が引きつれたり、笑った時に違和感が出たりするケースです。これは、皮膚や筋膜を引き上げる方向や強さが不適切な場合に起こりやすいです。

特に口元の動きに関わる部分の手術であるため、過度な引き上げは表情の不自然さにつながります。

経験の浅い医師が執刀した場合にリスクが高まります。

失敗と感じる主な要因

失敗のパターン	考えられる原因	起こりやすい治療
効果の実感がない	引き上げが不十分、適応の誤り	糸リフト、切開リフト（技術不足）
不自然な引きつれ	過度な引き上げ、方向の誤り	切開リフト、糸リフト
傷跡が目立つ	縫合技術、術後ケア、体質	切開リフト

傷跡が目立つ・ケロイド状になる

切開リフトでは、切開した部分の傷跡が残ります。

通常、傷跡は耳の形や髪の生え際に沿って目立たないように配慮されますが、医師の縫合技術が未熟だったり、術後の管理が悪かったりすると、傷跡が赤く盛り上がったり（肥厚性瘢痕）、ケロイド状になったりして目立ってしまうことがあります。

また、患者さん自身の体質も影響します。

左右非対称になってしまった

人間の顔は元々わずかに左右非対称ですが、手術によってその差が助長されたり、新たな非対称が生じたりすることがあります。

術前のデザイン（設計）のズレや、左右で引き上げる力を均等に調整できなかった場合に起こり得ます。

術後の腫れが引く過程で一時的に左右差が出ることもありますが、それが長期間続く場合は問題です。

なぜ手術で失敗や後悔が起こるのか

手術の失敗や後悔は、医師の技術力不足、患者さんとの認識のズレ、あるいは術後の管理不足など、治療の様々な段階での問題が絡み合って発生します。

医師の技術・経験不足

ほうれい線手術、特に切開リフトは、顔の解剖学的な深い知識と高度な外科技術を要する手術です。

皮膚の下には重要な神経や血管が走行しており、それらを避けながら筋膜（SMAS）を正確に処理し、自然な表情を保ちつつ引き上げるには豊富な経験が必要です。

この技術が不足していると、前述のような失敗につながりやすくなります。

カウンセリングでの期待値のズレ

患者さんが「どの程度まで改善したいか」という期待と、医師が「手術でどの程度まで改善可能か」という見立てにズレがあると、結果に満足できず「失敗した」と感じる原因になります。

「ほうれい線を完全に消したい」という希望に対し、手術の限界やリスクを説明せずに安易に引き受けると、後悔につながりやすいです。

失敗を防ぐための確認事項

確認段階	患者さんが確認すべきこと	医師に求められること
カウンセリング時	自分の希望を正確に伝える	現実的なゴールとリスクの説明
医師選び	医師の経歴と症例	技術と経験の正確な提示
術後	医師の指示を守る	適切なアフターケアの実施

患者さんの骨格やたるみの状態の誤診

ほうれい線が目立つ原因は、人によって様々です。

皮膚のたるみが強いのか、皮下脂肪の減少が原因なのか、あるいは骨格の問題なのか。これを正確に見極めず、すべての人に同じような手術を行っても良い結果は得られません。

例えば、頬骨が張っている人に過度なリフトアップを行うと、顔が大きく見えてしまうこともあります。

ダウンタイム中の過ごし方の問題

手術がうまくいっても、術後の管理、特にダウンタイム中の過ごし方が悪いと、結果に悪影響を及ぼすことがあります。

例えば、術後早期に喫煙をすると血流が悪くなり傷の治りが遅れますし、過度な飲酒や運動は腫れを長引かせます。

医師の指示を守り、安静に過ごすことが重要です。

「ほうれい線を消す」ことだけを追う落とし穴

多くの方は「ほうれい線を消したい」という一点に集中しがちですが、顔全体のバランスを考えない局所的な治療は、かえって不自然な印象を生む原因となります。

ほうれい線は「シワ」ではなく「境界線」

そもそも、ほうれい線は解剖学的に存在する頬と口元の「境界線」です。赤ちゃんにもありますし、全くない人はいません。

問題なのは、加齢による「たるみ」によって、この境界線が「深い溝」になることです。

したがって、治療の目的は「消す」ことではなく、「目立たなくする」ことであるべきです。

顔全体の「たるみ」を改善する視点

ほうれい線が目立つのは、頬全体のたるみが原因です。ほうれい線だけをピンポイントで治療しても、その周辺のたるみ（例えばマリオネットラインやフェイスライン）が残っていると、バランスが悪くなります。

ほうれい線の改善を目指すことは、顔全体の若返りの一環であると捉える視点が必要です。

ほうれい線治療の考え方

視点	局所的な治療	全体的な治療（手術）
目的	溝を埋める（ヒアルロン酸など）	たるみを引き上げる
メリット	手軽、ダウンタイムが短い	根本的な改善、持続性が高い
注意点	入れすぎると不自然	顔全体のバランスが重要

ほうれい線だけを消すと他の部分が目立つ？

もし仮に、ほうれい線の溝だけを完全に平らにした場合、今度はその上下のたるみや、これまで気にならなかった他のシワ（マリオネットラインなど）が強調されて見えることがあります。

顔は立体的なバランスで成り立っています。

一つの悩みだけを解消しようとすると、新たな悩みが生まれる可能性があることを知っておくべきです。

あなたが目指す「自然な若々しさ」とは

美容医療で大切なのは、不自然な「作り物感」ではなく、「自然な若々しさ」を取り戻すことです。それは、年齢を重ねた自分を受け入れつつ、たるみやシワを少しだけ改善し、疲れた印象をなくすことかもしれません。

カウンセリングでは、ほうれい線をどうしたいかだけでなく、手術によって「どんな印象の顔になりたいか」を医師と共有することが後悔しない結果への第一歩です。

失敗・後悔を避けるためのクリニック選び

納得のいく手術結果を得るためには、手術を受けるクリニックを慎重に選ぶことが非常に重要です。価格の安さや知名度だけで選ぶのは危険です。

症例写真の「質」と「量」を確認する

そのクリニックが、ほうれい線手術、特にあなたが希望する切開リフトなどの症例をどれだけ経験しているかを確認します。

症例写真の数が多いことはもちろんですが、「質」も重要です。

単に手術直後の写真だけでなく、数ヶ月後の経過や、様々な角度から撮影した写真、笑顔などの表情を作った時の写真が公開されているかを確認しましょう。

症例写真で確認すべき点

• 術前と術後の変化が明確か
• 様々な角度からの写真があるか
• 傷跡の経過がわかる写真があるか
• 自分と似た年代・悩みの症例があるか

リスクやデメリットを隠さず説明する

良いクリニックは、手術のメリットや効果だけでなく、起こり得るリスク、副作用、ダウンタイムの辛さなどを包み隠さず具体的に説明します。

「絶対に安全」「全く腫れない」といった説明しかしないクリニックは信用できません。

患者さんが不安に思う点を丁寧にヒアリングし、それに誠実に答えてくれる姿勢があるかを見極めてください。

アフターケアと保証制度の充実度

手術は終わったら完了ではありません。術後の経過観察（検診）や、万が一トラブルが起きた際の対応など、アフターケア体制が整っているかは非常に重要です。

どのようなケアが含まれているのか、追加費用は発生するのか、万が一の際の保証制度（再手術の基準など）が明確になっているかを契約前に必ず確認してください。

クリニック選びのチェックポイント

項目	良いクリニックの例	注意が必要なクリニックの例
カウンセリング	時間をかけ丁寧。リスクも説明。	短時間。メリットばかり強調。
症例写真	豊富で経過がわかる。	少ない。修正が疑われる。
アフターケア	術後検診が充実。緊急連絡先あり。	術後のフォローが不明確。

費用の内訳が明確であるか

提示された費用に、何が含まれていて、何が含まれていないのか（手術代、麻酔代、薬代、術後検診代など）を明確に確認します。

「総額〇〇円」と安価に見せかけて、後から様々な追加費用を請求されるケースもあります。

見積書を書面で受け取り、内訳をしっかり確認することが大切です。

ほうれい線手術における「名医」の選び方

「名医」とは、単に手術が上手いだけでなく、患者さん一人ひとりの悩みと真摯に向き合い、その人にとって最良の治療を提案し、実行できる医師を指します。

形成外科専門医などの資格の有無

美容外科医を名乗るのに特定の資格は必須ではありませんが、一つの目安として「日本形成外科学会認定 形成外科専門医」の資格があります。

これは形成外科領域で長年の研修と厳しい試験をクリアした医師の証です。

顔面の解剖を熟知していることが、安全で質の高いフェイスリフト手術には必要です。

確認すべき医師の経歴・資格

• 日本形成外科学会 形成外科専門医
• 日本美容外科学会（JSAPSまたはJSAS）専門医
• フェイスリフト手術の執刀経験年数

フェイスリフト手術の経験年数と実績

ほうれい線手術、特に切開リフトは医師の経験が結果を大きく左右します。その医師がどれくらいの期間、フェイスリフト手術を執刀してきたか、年間どれくらいの症例数をこなしているかを確認しましょう。

症例写真と同様に、数だけでなく、どのような手術を得意としているか（例えば、SMAS法、リガメント法など）も確認できると尚良いでしょう。

カウンセリングの丁寧さと相性

名医は、カウンセリングを非常に重視します。患者さんの悩みや希望を時間をかけて丁寧に聞き出し、それに対して専門家としてできること、できないこと、代替案などを分かりやすく説明します。

医師が一方的に話すのではなく、あなたの話をしっかり聞いてくれるか、質問しやすい雰囲気か、そして何より「この先生になら任せられる」と信頼できるか、という「相性」も大切にしてください。

カウンセリングでの質問例

カテゴリ	具体的な質問	確認する意図
手術方法	私のたるみに最も適した術式はどれですか？	原因を正確に診断できているか
リスク	起こり得るリスクの中で最も重いものは何ですか？	デメリット説明の誠実さ
仕上がり	傷跡はどの位置にどれくらいの長さで残りますか？	術後のイメージ共有

複数の選択肢を提案できるか

ほうれい線治療には、切開リフト、糸リフト、注入治療、HIFU（ハイフ）などの照射治療まで、多くの選択肢があります。

優れた医師は、一つの方法を押し付けるのではなく、患者さんのたるみの状態、ライフスタイル（ダウンタイムが取れるかなど）、予算などを総合的に考慮し、複数の選択肢それぞれのメリット・デメリットを提示した上で治療プランを一緒に考えてくれます。

手術前に知っておきたいダウンタイムと術後ケア

手術の成功は、術後の過ごし方にも大きく左右されます。

ダウンタイムの症状や期間をあらかじめ正しく理解し、適切にケアすることが美しい仕上がりへの近道です。

主なダウンタイムの症状（腫れ・内出血）

手術後、最も顕著な症状は「腫れ」と「内出血」です。

切開リフトの場合、顔全体が腫れぼったくなり、内出血によって皮膚が黄色や紫色に変色することがあります。また、切開部分の痛みや、皮膚の感覚が鈍くなる「知覚鈍麻」が一時的に生じることもあります。

これらは手術による正常な反応であり、時間経過とともに改善します。

症状のピークと回復までの期間

腫れや内出血のピークは、術後2～3日から1週間程度です。この期間は、顔を圧迫するフェイスバンドを着用したり、枕を高くして寝るなど、腫れを最小限に抑える工夫が必要です。

大きな腫れが引き、人前に出ても違和感が少なくなるまでには、個人差もありますが、切開リフトで約2週間～1ヶ月程度を見込むとよいでしょう。

ダウンタイムの目安

時期	主な症状	推奨される過ごし方
術後～3日	腫れ・痛みのピーク	安静、患部の冷却、フェイスバンド着用
術後～1週間	強い腫れ、内出血	抜糸（術式による）、自宅療養推奨
術後2～4週間	腫れ・内出血の改善、むくみ	軽いメイク可能、社会復帰目安

術後に気をつけるべき生活上の注意点

術後の回復を妨げないために、日常生活でいくつかの注意点があります。

まず、血行が良くなる行為（長時間の入浴、サウナ、激しい運動、飲酒）は、腫れが引くまでの間（少なくとも1ヶ月程度）は避けてください。

また、喫煙は傷の治りを遅らせる最大の要因の一つですので、術前から術後にかけて禁煙することが強く推奨されます。

トラブル発生時の対処法

術後に「予想していたよりも痛みが強い」「腫れが異常に引かない」「傷口から出血がある」など、不安な症状が出た場合は、自己判断せず、すぐに手術を受けたクリニックに連絡してください。

信頼できるクリニックであれば24時間対応の緊急連絡先を設けているか、時間外でも迅速に対応してくれるはずです。

ほうれい線手術に関するよくある質問

ほうれい線手術に関して、患者さんから寄せられることの多い疑問点にお答えします。

手術中の痛みはどの程度ですか？

手術中は、麻酔を使用するため、痛みを感じることはありません。

クリニックによって静脈麻酔（眠った状態になる）か局所麻酔（意識はあるが痛みは感じない）かが異なりますが、切開リフトのような比較的時間がかかる手術では、患者さんの負担を考慮し、静脈麻酔を選択することが多いです。

術後に麻酔が切れると痛みが出ますが、処方される鎮痛剤でコントロールできる範囲がほとんどです。

傷跡はどれくらいで目立たなくなりますか？

傷跡が完全に消えることはありませんが、時間とともに目立たなくなります。

切開リフトの傷跡は、術後1ヶ月程度は赤みがありますが、3ヶ月～半年ほどかけて徐々に白く細い線になり、髪の毛や耳の形で隠れるため、最終的にはほとんど気にならなくなることが多いです。

傷の治り方には個人差（体質）も影響します。

効果はどのくらい持続しますか？

持続期間は、手術の方法や個人の体質、術後のケアによって異なります。

一般的に、ヒアルロン酸注入が半年～1年、糸リフトが1年～2年程度であるのに対し、切開リフト（特にSMAS法）は、たるみの根本を改善するため、5年～10年程度と長期的な効果を期待できます。

ただし、手術後も加齢は続くため、効果が永久に続くわけではありません。

手術後にすぐ仕事復帰できますか？

ダウンタイムの取り方によります。切開リフトの場合、術後1週間程度で抜糸を行うことが多く、その時点ではまだ大きな腫れや内出血が残っています。

デスクワークであれば1週間程度で復帰する方もいますが、人と会う仕事の場合は、腫れが目立たなくなるまで2週間～1ヶ月程度のお休みを取ることを推奨します。

糸リフトの場合は腫れが比較的少ないため、数日～1週間程度で復帰する方が多いです。