年齢を重ねるにつれて気になる「老け顔」。鏡を見るたびに、増えたしわや顔のたるみが気になり、ため息をついている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
老け顔は、加齢だけでなく、紫外線や生活習慣など様々な要因が絡み合って進行します。
この記事では、老け顔に見えてしまう原因を多角的に分析し、ご自身でできる対策から、美容外科・形成外科クリニックで受けられる効果的な治療法、特に根本的な改善が期待できるフェイスリフト治療まで、詳しく解説します。
老け顔の悩みを解消し、若々しい印象を取り戻すための一歩として、ぜひ参考にしてください。
医学博士 日本形成外科学会 専門医
日本美容外科学会 会員
【略歴】
獨協医科大学医学部卒業後、岩手医科大学形成外科学講座入局。岩手医科大学大学院卒業博士号取得、2014年に日本形成外科学会専門医取得。大手美容クリニックの院長を経て2017年より百人町アルファクリニックの院長を務める。
百人町アルファクリニックでは、糸を使った切らないリフトアップから、切開部分が目立たないフェイスリフトまで患者様に適した方法をご提案していますが、若返り手術は決して急ぐ必要はありません。
一人ひとりの皮下組織や表情筋の状態に合わせた方法を探し「安全性」と「自然な仕上がり」を第一に心がけているため、画一的な手術をすぐにはいどうぞ、と勧めることはしていません。
毎回手術前の診断と計画立案に時間をかけすぎるため、とにかく安く、早くこの施術をして欲しいという方には適したクリニックではありません。それでも、リフトアップの施術を年間300件行っている実績から、患者様同士の口コミや他のドクターからのご紹介を通じ、全国から多くの患者様に当院を選んでいただいています。
このサイトでは、フェイスリフトやたるみに関する情報を詳しく掲載しています。どうか焦らず、十分に勉強した上で、ご自身に合ったクリニックをお選びください。もちろん、ご質問やご相談があれば、いつでもお気軽にお問い合わせいただければ幸いです。
そもそも「老け顔」とは?見た目の印象を左右する要因
実年齢よりも上に見られてしまう「老け顔」。その印象は、顔のいくつかの特徴によって形作られます。具体的にどのような状態が老け顔という印象に繋がるのか、主な要因を見ていきましょう。
しわ(表情じわ・刻まれたしわ)
顔のしわは、老けた印象を与える代表的な要因です。
笑った時にできる目尻のしわや、怒った時に寄る眉間のしわなど、表情の変化に伴って現れる「表情じわ」は、若い頃は一時的なものですが、加齢とともに肌の弾力が失われると、表情を作っていない時でも消えずに残る「刻まれたしわ」へと変化します。
特に、ほうれい線やマリオネットラインのように深く刻まれたしわは、顔の印象を大きく左右します。
たるみ(フェイスラインの崩れとほうれい線)
加齢による皮膚や筋肉の衰えは、顔全体のたるみを引き起こします。頬の位置が下がり、フェイスラインがぼやけて二重あごになったり、口元の横にブルドッグのようなたるみが生じたりします。
また、頬のたるみはほうれい線を深くする原因にもなり、疲れた印象や不機嫌な印象を与えやすくなります。
シミ・くすみ(肌の色ムラと透明感の低下)
長年浴び続けた紫外線の影響などにより、シミやそばかすが増えると、肌の色ムラが目立ち、老けた印象を与えます。
また、加齢や血行不良、乾燥などによって肌のターンオーバーが乱れると、古い角質が溜まり、肌全体が暗くくすんで見えます。透明感のない肌は、疲れた印象や不健康な印象にも繋がります。
顔全体のボリューム減少(こけた頬や目のくぼみ)
加齢に伴い、皮下脂肪や骨が萎縮することで、顔全体のボリュームが失われていきます。
特に、頬がこけてしまったり、目の周りがくぼんで影ができたりすると骨ばった印象になり、やつれた感じや老けた印象が強まります。
こめかみのくぼみも、老け顔に見える要因の一つです。
老け顔に見える主な原因
老け顔のサインが現れる背景には、避けられない加齢の影響に加え、日々の生活習慣や環境要因が複雑に関わっています。
なぜ老けて見えてしまうのか、その根本的な原因を理解することで、より効果的な老け顔対策や改善方法を見つけることができます。
加齢による自然な変化:皮膚・筋肉・骨格
年齢を重ねると、私たちの身体には様々な変化が生じますが、それは顔の組織も例外ではありません。
皮膚においては、ハリや弾力を保つコラーゲンやエラスチンが減少し、水分保持能力も低下するため、乾燥しやすく、しわやたるみが生じやすくなります。
また、顔の表情を作る筋肉(表情筋)も衰えたり、位置が変化したりすることで、たるみを助長します。
さらに、土台となる骨格も、加齢により骨密度が低下し萎縮していくため、顔全体のボリュームが減少し、皮膚が余ってたるむ原因となります。
加齢による変化
変化する組織 | 主な変化の内容 | 見た目への影響例 |
---|---|---|
皮膚 | コラーゲン・エラスチン減少、乾燥 | しわ、たるみ、ハリ低下 |
筋肉 | 表情筋の衰え、位置の変化 | たるみ、ほうれい線 |
骨格 | 骨密度の低下、骨の萎縮 | 顔全体のボリューム減少 |
紫外線の影響:光老化のメカニズム
紫外線は、肌の老化を加速させる大きな要因であり、「光老化」と呼ばれます。
紫外線、特にUV-A波は、肌の奥深く(真皮層)まで到達し、コラーゲンやエラスチンを破壊・変性させます。これにより、肌のハリや弾力が失われ、しわやたるみが引き起こされます。
また、UV-B波は表皮にダメージを与え、メラニン色素の生成を促すため、シミやくすみの原因となります。
長年にわたって紫外線を浴び続けることで、これらのダメージが蓄積し、光老化が進行します。
生活習慣の乱れ:睡眠・食事・喫煙の影響
日々の生活習慣も、肌の状態、ひいては見た目の年齢に大きく影響します。
睡眠不足は、肌のターンオーバーを促す成長ホルモンの分泌を妨げ、肌荒れやくすみの原因となります。
栄養バランスの偏った食事は、肌細胞に必要な栄養素が不足し、肌の健康を損ないます。特に、抗酸化作用のあるビタミン類やタンパク質の不足は、老化を促進させる可能性があります。
また、喫煙は血管を収縮させて血行を悪化させ、肌への栄養供給を滞らせるだけでなく、活性酸素を増やしコラーゲンを破壊する作用もあるため、しわやたるみの大きな原因となります。
生活習慣と肌への影響
悪い生活習慣 | 主な影響 | 対策例 |
---|---|---|
睡眠不足 | 成長ホルモン分泌低下、ターンオーバー乱れ | 質の高い睡眠を7時間以上確保 |
栄養偏り | 肌細胞の栄養不足、抗酸化力低下 | バランスの取れた食事 |
喫煙 | 血行不良、ビタミンC破壊、活性酸素増加 | 禁煙 |
乾燥と間違ったスキンケア
肌の乾燥は、小じわの直接的な原因となるだけでなく、肌のバリア機能を低下させ、外部刺激の影響を受けやすくします。
バリア機能が低下すると、紫外線ダメージを受けやすくなったり、ターンオーバーが乱れたりして、さらなる老化サインを招く悪循環に陥ります。
また、洗浄力の強すぎるクレンジングや洗顔料の使用、ゴシゴシこするような摩擦、保湿ケアの不足といった間違ったスキンケアも、肌の乾燥やバリア機能の低下を招き老け顔を助長する原因となります。
自分でできる老け顔対策:日々の生活習慣とスキンケア
老け顔の進行を完全に止めることはできませんが、日々のセルフケアを見直すことで、そのスピードを緩やかにし、若々しい印象を保つことは可能です。
ここでは、日常生活の中で意識したい老け顔対策についてご紹介します。今日から始められることを見つけて、実践してみましょう。
紫外線対策の徹底:年間を通じたケア
老け顔の最大の外的要因ともいえる紫外線から肌を守ることは、最も重要な老け顔対策の一つです。
紫外線は季節や天候に関わらず一年中降り注いでいるため、日焼け止めは夏場だけでなく、年間を通して使用することが大切です。
SPFやPAの値は、外出時間や活動内容に合わせて選びましょう。また、日焼け止めだけに頼らず、帽子、日傘、サングラスなども活用し、物理的に紫外線を遮断することも効果的です。
特に紫外線量が多い時間帯(午前10時~午後2時頃)の外出は、できるだけ避けるように心がけましょう。
保湿を中心としたスキンケア:肌のバリア機能を守る
乾燥は小じわの原因となり、肌のバリア機能を低下させるため、保湿ケアは老け顔対策の基本です。
洗顔後は、化粧水でたっぷりと水分を補給し、その後、乳液やクリームなどの油分を含むアイテムで水分が蒸発しないようにしっかりと蓋をすることが重要です。
肌質や季節に合わせて、保湿力の高い成分(セラミド、ヒアルロン酸、コラーゲンなど)が配合されたスキンケアアイテムを選びましょう。
また、洗顔の際には、肌をゴシゴシこすらず優しく丁寧に洗うことを心がけ、肌への摩擦を最小限に抑えることも大切です。
保湿ケアのポイント
ケアの種類 | ポイント | おすすめ成分例 |
---|---|---|
洗顔 | 摩擦を避け、優しく洗う。洗いすぎに注意。 | セラミド、アミノ酸 |
保湿 | 化粧水で水分補給後、乳液・クリームで蓋をする。 | ヒアルロン酸、コラーゲン |
美容液 | 悩みに合わせた成分(ハリ、美白など)を取り入れる。 | レチノール、ビタミンC誘導体 |
バランスの取れた食事と十分な睡眠
健やかな肌を育むためには、体の内側からのケアも欠かせません。タンパク質、ビタミン、ミネラルなどをバランス良く摂取できる食生活を心がけましょう。
特に、抗酸化作用のあるビタミンC、ビタミンE、β-カロテンなどを多く含む緑黄色野菜や果物、良質なタンパク質を含む肉、魚、大豆製品などを積極的に摂ることがおすすめです。
また、肌のターンオーバーを整えるためには、質の高い睡眠を十分に確保することが重要です。
寝る前のカフェイン摂取やスマートフォンの使用を控えるなど、睡眠環境を整える工夫も試してみましょう。
表情筋トレーニングとマッサージの注意点
顔の筋肉を鍛える表情筋トレーニングや、血行促進を目的としたマッサージは、たるみ予防に効果が期待できる場合があります。
しかし、やり方を間違えると逆効果になる可能性もあるため注意が必要です。過度なトレーニングや強いマッサージは、肌への摩擦や負担となり、しわやたるみを悪化させることもあります。
行う場合は、正しい方法を学び、優しく行うことを心がけましょう。自己流で行うことに不安がある場合は、専門家のアドバイスを受けることも検討してください。
美容クリニックでできること:老け顔改善の選択肢
セルフケアだけでは改善が難しいしわやたるみといった老け顔の悩みに対して、美容外科・形成外科クリニックでは、より効果的なアプローチを提供できます。
ここでは、美容クリニックでどのような治療が受けられるのか、そして治療を検討する上で大切なポイントについて解説します。
カウンセリングの重要性
美容クリニックでの治療を考える際、まず重要になるのが医師によるカウンセリングです。カウンセリングでは、ご自身の悩みや改善したい点、なりたいイメージなどを具体的に医師に伝えることが大切です。
医師は、患者様の希望を伺いながら、肌の状態や骨格、たるみの程度などを診察し、医学的な観点から適切な治療法を提案します。
治療の効果だけでなく、ダウンタイムやリスク、費用などについても詳しく説明を受け、十分に理解・納得した上で治療に進むことが満足のいく結果を得るために必要です。疑問や不安な点は、遠慮なく質問しましょう。
老け顔治療の主なカテゴリー
美容クリニックで行われる老け顔改善治療は、大きく分けていくつかのカテゴリーに分類できます。
まず、ヒアルロン酸やボツリヌストキシンなどを注入することで、しわを目立たなくしたり、失われたボリュームを補ったりする「注入治療」があります。
次に、レーザーや光、高周波、超音波(HIFU)などのエネルギーを用いて、肌の引き締めやコラーゲン生成促進、シミ・くすみ改善などを目指す「照射治療」。
特殊な糸を皮下に挿入してたるみを引き上げる「糸リフト」も選択肢の一つです。そして、より根本的なたるみ改善を目的とする「外科手術」があり、その代表例がフェイスリフトです。
美容医療によるアプローチ分類
アプローチ分類 | 主な治療法例 | 期待できる効果例 |
---|---|---|
注入治療 | ヒアルロン酸、ボツリヌストキシン | しわ改善、ボリュームアップ |
照射治療 | レーザー、光治療(IPL)、高周波(RF)、HIFU | たるみ改善、シミ・くすみ改善 |
糸リフト | 溶ける糸、溶けない糸 | たるみ引き上げ、リフトアップ |
外科手術 | フェイスリフト、目の下のたるみ取り、脂肪注入など | 根本的なたるみ・しわ改善 |
自分に合った治療法の選び方
どの治療法が自分に適しているかは、悩みの内容や程度、期待する効果、許容できるダウンタイム、予算などによって異なります。
例えば、比較的浅いしわや部分的なボリュームアップには注入治療、肌全体のハリやたるみの軽度な改善には照射治療、メスを使わずにリフトアップしたい場合は糸リフト、といった選択が考えられます。
深いしわや顔全体のたるみを根本的に改善したい場合には、フェイスリフトなどの外科手術が適応となることがあります。
それぞれの治療法にはメリット・デメリットがあるため、カウンセリングで医師とよく相談し、ご自身の希望に合った治療法を選ぶことが重要です。
代表的な美容医療:注入治療・照射治療・糸リフト
美容クリニックで提供される老け顔改善治療の中から、比較的ポピュラーな「注入治療」「照射治療」「糸リフト」について、それぞれの特徴や効果、注意点などを詳しく見ていきましょう。
フェイスリフトのような外科手術に比べてダウンタイムが短いなどのメリットがあり、多くの方に選ばれています。
手軽さが魅力の注入治療:ヒアルロン酸とボツリヌストキシン
注入治療は、注射によって薬剤を注入し、しわやたるみを改善する治療法です。代表的なものにヒアルロン酸注入とボツリヌストキシン注入があります。
ヒアルロン酸注入は、ほうれい線やマリオネットラインなどのしわの溝を埋めたり、こけた頬や額などに注入してボリュームを出したりするのに用いられます。
効果がすぐに現れやすいのが特徴ですが、時間とともに体内に吸収されるため、効果を持続させるには定期的な注入が必要です。
一方、ボツリヌストキシン注入は、筋肉の動きを一時的に抑制することで、眉間や額、目尻などの表情じわの改善に効果を発揮します。こちらも効果は一時的です。
注入治療の比較
治療法 | 主な効果 | メリット例 | デメリット例 |
---|---|---|---|
ヒアルロン酸注入 | しわ埋め、ボリュームアップ | 即効性、ダウンタイム短い | 効果は一時的 |
ボツリヌストキシン注入 | 表情じわの改善 | しわ予防効果、手軽さ | 表情が硬くなる可能性 |
肌質改善も期待できる照射治療:HIFU・高周波・レーザー
照射治療は、様々な種類のエネルギー(光、レーザー、高周波、超音波など)を肌に照射することで、たるみの引き締めや肌質の改善を目指す治療法です。
高密度焦点式超音波(HIFU)は、皮膚の深い層(SMAS筋膜)に熱エネルギーを与えて引き締めることで、リフトアップ効果が期待できます。
高周波(RF)治療も、真皮層に熱を加えてコラーゲン生成を促し、たるみやしわの改善を目指します。
レーザー治療には様々な種類があり、シミやそばかすの除去、毛穴の引き締め、肌の若返り(リジュビネーション)など、目的に応じて使い分けられます。
照射治療は、ダウンタイムが比較的短いものが多いですが、複数回の治療が必要な場合もあります。
切らずにリフトアップを目指す糸リフト
糸リフト(スレッドリフト)は、特殊な糸を皮下に挿入し、その糸の力でたるんだ皮膚や組織を引き上げる治療法です。メスを使わずにリフトアップ効果が得られる点が特徴です。
使用される糸には、時間とともに体内に吸収される「溶ける糸」と、吸収されない「溶けない糸」があります。
溶ける糸の中には、糸が吸収される過程でコラーゲン生成を促進し、肌のハリ感を高める効果が期待できるものもあります。
糸の種類や挿入する本数、部位によって、効果の程度や持続期間、ダウンタイムは異なります。手軽さが魅力ですが、引き上げ効果には限界があり、持続期間もフェイスリフトに比べると短くなります。

根本的な改善を目指すフェイスリフト治療とは?
様々な老け顔改善治療がある中で、特に顔全体のたるみや深いしわに対して、より長期的で根本的な改善を求める場合に有力な選択肢となるのが「フェイスリフト」です。
外科的なアプローチによって、たるみの原因に直接働きかけ、若々しい印象を取り戻すことを目指します。
フェイスリフトで期待できる効果
フェイスリフトは、単に皮膚表面を引き上げるだけでなく、その下にあるSMAS(スマス)と呼ばれる筋膜や、場合によってはリガメント(靭帯)といった、たるみの根本原因となる組織から引き上げる手術です。
これにより、加齢によって下がってしまった頬の位置を元に戻し、ぼやけたフェイスラインをシャープに整え、ほうれい線やマリオネットラインなどの深いしわを目立たなくさせる効果が期待できます。
首のたるみやしわにも同時にアプローチできる場合が多く、顔全体から首にかけて、総合的な若返り効果を目指すことが可能です。
フェイスリフトの種類
フェイスリフトには、切開する範囲や引き上げる層、ターゲットとする部位によっていくつかの種類があります。代表的なものとしては、「ミニリフト」と「フルフェイスリフト」が挙げられます。
「ミニリフト」は、耳の前など、比較的小さな切開で行われ、主に頬や口元のたるみが気になる方、軽度から中程度のたるみの方に適しています。
一方、「フルフェイスリフト」は、こめかみから耳の周り、場合によっては襟足近くまで切開し、顔全体の広範囲なたるみをSMAS筋膜からしっかりと引き上げる方法で、中程度から重度のたるみがある方に適しています。
その他、首のたるみに特化した「ネックリフト」などもあります。どの方法が適しているかは、たるみの状態や希望する効果によって異なります。
フェイスリフトの主な種類
種類 | 切開範囲の目安 | 主なターゲット層 |
---|---|---|
ミニリフト | 耳周りの一部 | 軽度~中程度のたるみ、頬や口元 |
フルフェイスリフト | こめかみ~耳周り~襟足 | 中程度~重度のたるみ、顔全体 |
ネックリフト | 耳周り~顎下 | 首のたるみ、二重あご |
フェイスリフトのメリットとデメリット
フェイスリフトの最大のメリットは、他の治療法に比べてたるみやしわに対する改善効果が高く、その効果が長期間持続する点です。根本的な原因にアプローチするため、見た目の変化が大きく、満足度が高い傾向にあります。
また、一度の手術で顔全体の印象を大きく若返らせることが可能です。
一方で、デメリットとしては、外科手術であるため、他の治療法に比べてダウンタイム(腫れや内出血などが落ち着くまでの期間)が長くなる傾向があること、傷跡が残ること(通常は髪の生え際や耳の前後など目立ちにくい場所を選びますが)、そして他の治療に比べて費用が高くなることが挙げられます。
また、全ての手術と同様に、感染や血腫、神経損傷などのリスクもゼロではありません。
フェイスリフト治療を受ける前に知っておきたいこと
フェイスリフトは、老け顔の悩みを根本的に改善する効果が期待できる魅力的な治療法ですが、外科手術である以上、事前に理解しておくべき重要な点がいくつかあります。
後悔のない選択をするために、ダウンタイム、リスク、費用、そして信頼できるクリニック選びについて、しっかりと情報を得ておきましょう。
ダウンタイム期間と主な症状
フェイスリフト手術後には、一定期間のダウンタイムが必要です。主な症状としては、腫れ、内出血、痛みなどが現れます。
腫れや内出血のピークは術後数日から1週間程度で、大きな腫れは1~2週間ほどで徐々に引いていきますが、むくみのような軽い腫れが完全に落ち着くまでには数ヶ月かかることもあります。
内出血は、最初は紫色っぽく現れますが、1~2週間程度で黄色っぽく変化しながら吸収されていきます。
痛みは術後数日から1週間程度続くことがありますが、処方される痛み止めでコントロールできる場合がほとんどです。手術方法や個人差によってダウンタイムの期間や程度は異なりますので、術前に医師から詳しい説明を受けてください。
フェイスリフトのダウンタイム目安
症状 | 目安期間 | 注意点 |
---|---|---|
腫れ | 1~2週間で大きく引く | 個人差あり、完全に引くまで数ヶ月 |
内出血 | 1~2週間程度 | 徐々に黄色っぽくなり消える |
痛み | 数日~1週間程度 | 処方される痛み止めで対応可能 |
考えられるリスクと合併症
フェイスリフトは安全に配慮して行われる手術ですが、他の外科手術と同様に、リスクや合併症の可能性がゼロではありません。考えられるものとしては、まず感染が挙げられます。
術後の傷口から細菌が侵入し、赤み、腫れ、痛み、発熱などを引き起こす可能性があります。
次に、血腫(術後に皮下に血液が溜まること)のリスクがあります。血腫が大きくなると、再手術が必要になることもあります。
また、顔面には多くの神経が走行しているため、手術操作によって一時的または稀に永続的な顔面神経麻痺(表情の動かしにくさなど)や、皮膚の感覚鈍麻などが起こる可能性も否定できません。
その他、傷跡が目立ってしまう、左右差が生じる、皮膚の壊死といったリスクも考えられます。これらのリスクについて、事前に医師から十分な説明を受け、理解しておくことが大切です。
費用の目安と内訳
フェイスリフトの費用は、手術の種類(ミニリフトかフルフェイスリフトかなど)、手術範囲、クリニックの方針、麻酔の種類などによって大きく異なります。
一般的に、自由診療であるため保険適用はなく、比較的高額になる傾向があります。費用には、手術料、麻酔料、術前の検査料、術後の薬代や検診料などが含まれることが多いですが、クリニックによって内訳は異なります。
カウンセリングの際に、総額でどのくらいの費用がかかるのか、追加費用が発生する可能性はあるのかなどを明確に確認しておくことが重要です。
複数のクリニックでカウンセリングを受け、費用と内容を比較検討することも有効です。
フェイスリフト費用の一般的な目安(自由診療)
- ミニリフト: 50万円~150万円程度
- フルフェイスリフト: 100万円~300万円程度
- ネックリフト: 50万円~150万円程度 ※上記はあくまで目安であり、クリニックや手術内容により大きく変動します。
信頼できるクリニック・医師選びのポイント
フェイスリフトの成功は、執刀する医師の技術と経験に大きく左右されます。そのため、クリニックや医師選びは非常に重要です。
まず、日本形成外科学会認定の形成外科専門医など、顔面解剖や手術手技に関する専門知識と経験が豊富な医師が在籍しているかを確認しましょう。
次に、カウンセリングが丁寧で、メリットだけでなくリスクやデメリットについても時間をかけてしっかりと説明してくれるかどうかも大切なポイントです。
患者様の希望を丁寧に聞き取り、実現可能なことと難しいことを明確に伝えてくれる医師は信頼できます。
また、手術後のアフターケア体制が整っており、万が一のトラブルにも迅速に対応してくれるかどうかも確認しましょう。
クリニックのウェブサイトやSNSなどで、医師の経歴や症例写真(術前・術後)を参考にし、ご自身の希望する仕上がりに近い症例があるかを確認するのも良い方法です。
焦らず複数のクリニックで相談し、納得できるクリニック・医師を選びましょう。
老け顔改善に関するよくある質問
ここでは、老け顔の改善やフェイスリフト治療に関して、患者様から寄せられることの多い質問とその回答をご紹介します。治療を検討する上での疑問や不安の解消にお役立てください。
- フェイスリフトは何歳から受けられますか?
-
フェイスリフトに適した年齢に明確な決まりはありません。年齢そのものよりも、たるみの程度や状態によって適応が決まります。
一般的には、たるみが気になり始める40代後半から60代の方に多く選ばれる傾向がありますが、30代後半や70代以上の方でも、たるみの状態によっては良い適応となる場合があります。
逆に、まだたるみが軽度な若い方の場合は、他の治療法(注入治療や照射治療、糸リフトなど)が適していることもあります。まずはカウンセリングでご自身の状態を診察してもらい、医師と相談することが大切です。
- 傷跡は目立ちますか?
-
フェイスリフトでは皮膚を切開するため、傷跡が全く残らないわけではありません。
しかし、経験豊富な医師は、傷跡ができるだけ目立たないように、髪の生え際、耳の前面や後面、もみあげの中など、しわや影に隠れやすい部位を選んで切開を行います。
縫合も丁寧に行われ、術後のケアを適切に行えば、時間の経過とともに傷跡は徐々に白っぽく細い線状になり、目立ちにくくなっていきます。
ただし、傷跡の治り方には個人差(体質など)もあります。カウンセリング時に、傷跡がどの位置にどの程度の長さで残るのか、術後の経過についても詳しく確認しておきましょう。
- 効果はどのくらい持続しますか?
-
フェイスリフトの効果の持続期間は、手術方法、たるみの程度、個人の体質や術後のケア、生活習慣などによって異なりますが、一般的には他のリフトアップ治療(糸リフトなど)に比べて長く、5年から10年程度、あるいはそれ以上効果を実感できることが多いと言われています。
SMAS筋膜からしっかりと引き上げる方法ほど、効果の持続期間は長くなる傾向があります。ただし、フェイスリフトを受けても、加齢による自然な老化のプロセスが完全に止まるわけではありません。
術後も紫外線対策や適切なスキンケア、健康的な生活習慣を心がけることが、効果を長持ちさせるために重要です。
- フェイスリフト以外の治療と組み合わせることはできますか?
-
はい、可能です。フェイスリフトはたるみを引き上げる効果が高い治療ですが、シミやくすみ、肌質そのものの改善、あるいは細かいしわの改善には、他の治療法が適している場合があります。
例えば、フェイスリフトで全体的なたるみを改善した上で、シミに対してレーザー治療を行ったり、額や目尻の表情じわに対してボツリヌストキシン注入を行ったり、肌のハリ感をさらに高めるために照射治療を組み合わせたりすることがあります。
また、脂肪注入を併用して、加齢で失われた顔のボリュームを補うことも効果的です。どのような治療を組み合わせるのが最適かは、個々の状態や希望によって異なりますので、カウンセリングで医師にご相談ください。
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