深いほうれい線に悩み、「リガメント剥離」という言葉を目にしたことはありませんか?
これはフェイスリフト手術の際に、顔の皮膚を支える靭帯(リガメント)を一度剥がして移動させ、たるみを根本から引き上げる手技のことです。
強力なリフトアップ効果が期待できる一方、デメリットやリスクも存在します。
この記事では、ほうれい線に対するリガメント剥離の効果と持続期間、後悔しないために知っておくべき5つのデメリット、そして信頼できるクリニックの選び方まで、専門的な観点から詳しく解説します。
ご自身の悩みに本当にこの施術が必要なのか、判断するための参考にしてください。
医学博士
2014年 日本形成外科学会 専門医取得
日本美容外科学会 会員
【略歴】
獨協医科大学医学部卒業後、岩手医科大学形成外科学講座入局。岩手医科大学大学院卒業博士号取得、2014年に日本形成外科学会専門医取得。大手美容クリニックの院長を経て2017年より百人町アルファクリニックの院長を務める。
百人町アルファクリニックでは、糸を使った切らないリフトアップから、切開部分が目立たないフェイスリフトまで患者様に適した方法をご提案していますが、若返り手術は決して急ぐ必要はありません。
一人ひとりの皮下組織や表情筋の状態に合わせた方法を探し「安全性」と「自然な仕上がり」を第一に心がけているため、画一的な手術をすぐにはいどうぞ、と勧めることはしていません。
毎回手術前の診断と計画立案に時間をかけすぎるため、とにかく安く、早くこの施術をして欲しいという方には適したクリニックではありません。それでも、リフトアップの施術を年間300件行っている実績から、患者様同士の口コミや他のドクターからのご紹介を通じ、全国から多くの患者様に当院を選んでいただいています。
このサイトでは、フェイスリフトやたるみに関する情報を詳しく掲載しています。どうか焦らず、十分に勉強した上で、ご自身に合ったクリニックをお選びください。もちろん、ご質問やご相談があれば、いつでもお気軽にお問い合わせいただければ幸いです。
ほうれい線の「リガメント剥離」とは?基本的な仕組みを解説
リガメント剥離とは、フェイスリフト手術において、顔の骨と皮膚をつなぐ靭帯(リガメント)を一度剥がし、たるみの原因となっている組織ごと引き上げて再固定する手技です。
土台からたるみを根本的に動かすため、強力で持続性のあるリフトアップ効果が期待できます。
そもそもリガメントとは顔のどの部分にあるのか
リガメント(retaining ligament)、日本語では支持靭帯や皮膚靭帯と呼ばれ、顔の骨と皮膚を直接つなぎとめている丈夫な線維組織の束です。
顔の数カ所に存在し、皮膚や皮下組織が重力で垂れ下がらないように、まるで杭のように支える役割を担っています。
ほうれい線に直接関係するリガメントとしては、頬骨のあたりにある「頬骨リガメント(Zygomatic ligament)」が特に重要です。
顔の主なリガメントの位置
| リガメントの名称 | おおよその位置 | 関連する顔の悩み |
|---|---|---|
| 眼窩リガメント | 目の周り | 目の下のたるみ、ゴルゴライン |
| 頬骨リガメント | 頬骨の周辺 | ほうれい線、頬のたるみ |
| 下顎リガメント | フェイスライン | マリオネットライン、フェイスラインのたるみ |
なぜリガメントを「剥離」する必要があるのか
年齢とともにリガメント自体が伸びてゆるんだり、リガメント周辺の皮下脂肪が下垂したりすると、皮膚を支える力が弱まり、たるみやほうれい線が深くなります。
通常のフェイスリフトでは、このリガメントの上にある皮膚やSMASを引き上げるだけですが、リガメントが突っ張ったままだと引き上げられる範囲に限界があり、効果も長続きしにくいのです。
そこで、一度リガメントを骨から丁寧に剥離し、より自由な位置に動かせるようにしてから、SMASと一緒に引き上げて再固定します。
この手技によって、たるみを根本的な原因から解消し、スムーズで強力なリフトアップを実現します。
フェイスリフト手術におけるリガメント剥離の位置づけ
リガメント剥離は、すべてのフェイスリフト手術で行われるわけではありません。たるみの程度が軽度な場合や、比較的若い方の場合は、SMASを引き上げるだけでも十分な効果が得られます。
リガメント剥離は、特に中度以上のたるみが進行し、ほうれい線やマリオネットラインがくっきりと刻まれている場合に選択される、より高度で本格的な術式と位置づけられています。
医師の高度な技術と解剖学的な深い知識が求められるため、どのクリニックでも受けられる手技ではないことも特徴です。
リガメント剥離の主な効果と持続期間
リガメント剥離は、頬のたるみを土台から持ち上げることでほうれい線を根本的に改善し、その効果は一般的に5年から10年程度持続します。
これは他のほうれい線治療と比較して非常に長い期間であり、強力なリフトアップ効果をもたらします。
ほうれい線への直接的なリフトアップ効果
リガメント剥離の最大の効果は、ほうれい線へのパワフルなリフトアップです。
ほうれい線の主な原因は、頬の脂肪(メーラーファット)の下垂です。
頬骨リガメントを剥離して、このメーラーファットをSMASごと本来あった高い位置に持ち上げて固定することで、ほうれい線の溝を内側から持ち上げ、浅く目立たなくさせます。
皮膚の表面だけを引っ張るのではなく、土台から動かすため、非常に自然で根本的な改善が期待できます。
効果はいつから実感できて、どのくらい続くのか
手術直後からリフトアップ効果は実感できますが、腫れや内出血が強く出ているため、完成形のイメージとは異なります。大きな腫れが引いて、効果の全体像が見えてくるのは術後1ヶ月から3ヶ月ほど経ってからです。
そこからさらに半年から1年ほどかけて、細かいむくみが取れて組織が馴染み、仕上がりが安定していきます。
持続期間は、たるみの進行度や個人の体質、生活習慣によっても異なりますが、一般的には5年から10年程度とされています。
この持続性は、他のリフトアップ治療と比較しても非常に長い期間です。
治療法別の効果持続期間の目安
| 治療法 | 持続期間の目安 | 特徴 |
|---|---|---|
| ヒアルロン酸注入 | 半年~2年 | 手軽だが根本治療ではない |
| 糸リフト(スレッドリフト) | 1年~2年 | 切らずに引き上げるが効果は限定的 |
| リガメント剥離フェイスリフト | 5年~10年 | 根本的なたるみ改善で効果が長い |
効果の持続期間に影響を与える要因
効果の持続期間は、いくつかの要因によって左右されます。
まず、医師の技術力は非常に重要です。リガメントの処理やSMASの引き上げ方が適切でないと、早期に後戻りしてしまう可能性があります。また、患者さん自身の要因も大きく影響します。
- 皮膚の弾力性
- 骨格や脂肪のつき方
- 術後の体重の大きな変動
- 紫外線対策や保湿ケアの状況
- 喫煙習慣の有無
このような要因が複合的に絡み合うため、術後のセルフケアも効果を長持ちさせるためには大切です。
他のほうれい線治療との効果の違い
ほうれい線治療には、ヒアルロン酸注入や糸リフト、レーザー治療など様々な選択肢があります。
これらの治療は、溝を埋めたり、一時的に皮膚を引き上げたりする対症療法的な側面が強いのに対し、リガメント剥離を伴うフェイスリフトは、たるみの原因そのものにアプローチする根本治療です。
仕上がりの自然さや効果の持続性において、他の治療法とは一線を画す効果が期待できます。
主なほうれい線治療のアプローチ比較
| アプローチ | 代表的な治療法 | メリット・デメリット |
|---|---|---|
| 溝を埋める | ヒアルロン酸注入 | 手軽だが、入れすぎると不自然になる |
| 引き上げる | 糸リフト、HIFU | ダウンタイムが少ないが、効果はマイルド |
| 土台から動かす | リガメント剥離 | 効果は大きいが、ダウンタイムが長い |
後悔しないための5つのデメリットとリスクの理解
リガメント剥離の主なデメリットは、「ダウンタイムが長い」「表情のひきつれ」「神経損傷のリスク」「不自然な仕上がりになる可能性」「費用が高額」の5点です。
デメリット1 ダウンタイムが長く、症状が強く出やすい
リガメント剥離は皮膚の深い層まで操作するため、身体への負担が大きくなります。そのため、術後のダウンタイムが他の施術に比べて長く、症状も強く出る傾向があります。
主な症状は、強い腫れ、内出血、痛み、むくみなどです。
特に術後1週間は見た目にも分かりやすく症状が現れるため、仕事や外出の予定を調整する必要があります。
ダウンタイムの主な症状と期間の目安
| 症状 | ピーク | 落ち着くまでの期間 |
|---|---|---|
| 腫れ・むくみ | 術後2~3日 | 大きな腫れは2週間~1ヶ月 |
| 内出血 | 術後1~2週間 | 2~4週間で黄色っぽくなり消える |
| 痛み | 術後2~3日 | 1週間程度で鎮痛剤が不要になることが多い |
デメリット2 表情のひきつれや違和感が生じる可能性
リガメントを剥離してSMASを大きく引き上げるため、術後しばらくは皮膚の感覚が鈍くなったり、表情を動かした際にひきつれ感や違和感を覚えたりすることがあります。
多くの場合、これらの症状は時間とともに組織が馴染むことで、数ヶ月から半年ほどで改善していきます。しかし、引き上げる方向や強さが不適切だと、ひきつれが長期間残ってしまう可能性もゼロではありません。
特に笑った時などに不自然さが出ないよう、繊細な技術が求められます。
デメリット3 神経損傷によるしびれや麻痺のリスク
顔には、表情を作るための顔面神経や、感覚を司る三叉神経など、多くの重要な神経が走行しています。リガメントの近くにもこれらの神経が通っているため、剥離操作の際に神経を傷つけてしまうリスクがごく稀にあります。
万が一、神経が損傷されると、口角が上がりにくくなる、眉が動かしにくくなるなどの顔面神経麻痺や、頬のしびれが残るといった後遺症につながる可能性があります。
こうしたリスクを避けるためには、顔の解剖構造を熟知した経験豊富な医師による手術が絶対条件です。
デメリット4 効果が感じられない、または不自然な仕上がりになる
期待していたほどの効果が得られなかったり、逆に引き上げすぎて不自然な「仮面のような」顔貌になったりするケースも、残念ながら存在します。
効果不足の原因としては、リガメントの剥離が不十分であったり、SMASの引き上げが甘かったりすることが考えられます。
一方、過度な引き上げは、皮膚だけを強く引っ張りすぎた場合に起こりがちです。患者さんの骨格やたるみの状態を見極め、適切なリフトアップのデザインができる医師の美的センスも、満足のいく結果を得るためには重要です。
デメリット5 費用が高額になる傾向
リガメント剥離を伴うフェイスリフトは、高度な技術を要する長時間の手術となるため、費用は高額になるのが一般的です。
クリニックによって差はありますが、100万円から300万円程度が相場となります。この費用には、手術料のほか、麻酔代、術後の検診や薬代などが含まれているかを確認する必要があります。
安さだけでクリニックを選ぶと、医師の技術が未熟であったり、アフターケアが不十分であったりする可能性もあるため、費用の内訳と質をしっかりと見極めることが大切です。
「私のほうれい線はリガメント剥離が必要?」セルフチェックと施術の適応
リガメント剥離は、指で頬を引き上げるとほうれい線が著しく改善するような、頬全体のたるみが原因の場合に特に有効です。
一方で、皮膚表面の小じわが原因であったり、顔の脂肪が極端に少なかったりする場合には、他の治療法が適している可能性があります。
リガメント剥離が特に効果的なほうれい線のタイプ
リガメント剥離が真価を発揮するのは、皮膚の表面的なシワではなく、顔全体の構造的なたるみによって深くなったほうれい線です。
以下の特徴に当てはまる場合、リガメント剥離の良い適応である可能性が高いと考えられます。
- 仰向けに寝るとほうれい線が薄くなる、または消える
- 指で頬の皮膚を斜め上に引き上げると、ほうれい線が劇的に改善する
- ほうれい線の上(頬の部分)に、脂肪の盛り上がりがある
これらは、頬の脂肪が下垂しているサインであり、リガメントのゆるみが原因となっている典型的なケースです。
施術の適応を判断する年齢や皮膚の状態
一般的に、リガメント剥離を伴うフェイスリフトの適応年齢は、たるみが本格化する40代後半から60代の方が多いです。
しかし、年齢だけで一概に決まるものではありません。骨格や肌質によっては30代後半でも強いて適応となる場合もありますし、70代以上の方でも健康状態に問題がなければ手術は可能です。
大切なのは、皮膚の弾力がどの程度残っているか、そしてSMASを含めた皮下組織に十分な厚みがあるかです。
皮膚が薄すぎたり、弾力が失われすぎていたりすると、満足のいく結果が得にくい場合があります。
逆にリガメント剥離が向いていないケースとは
一方で、リガメント剥離が必ずしも最善の選択とはならないケースもあります。例えば、以下のような場合は、他の治療法を検討した方が良いかもしれません。
リガメント剥離の適応が低いケース
| ケース | 理由 | 推奨される他の治療法 |
|---|---|---|
| 皮膚の乾燥による小じわが主体のほうれい線 | リガメントは関係ないため | 保湿ケア、レーザー治療 |
| 顔の脂肪が極端に少ない | 引き上げる組織が少なく効果が出にくい | ヒアルロン酸、脂肪注入 |
| たるみが非常に軽度 | 身体への負担が効果に見合わない | 糸リフト、HIFU |
ご自身の状態がどのケースに当てはまるか、最終的には医師の診察のもとで正しく判断してもらうことが重要です。
リガメント剥離だけでは不十分?たるみの根本原因と複合治療の重要性
たるみの原因はリガメントのゆるみだけでなく、骨の萎縮や脂肪の減少・下垂も複合的に関わっているため、リガメント剥離だけでは理想的な若返りが難しい場合があります。
失われたボリュームを補う脂肪注入などを組み合わせることで、より自然で美しい仕上がりが期待できます。
ほうれい線の原因はリガメントのゆるみだけではない
確かにリガメントのゆるみは、たるみの大きな原因の一つです。しかし、それはいわば「建物を支える杭」がゆるんだ状態にすぎません。
考えてみてください。建物そのものの柱が細くなったり、壁が痩せてきたりすれば、たとえ杭を打ち直しても、建物全体の傾きは完全には治りません。
顔の老化もこれと同じで、リガメント以外の組織にも変化が生じているのです。
骨の萎縮と脂肪の下垂がもたらす影響
年齢を重ねると、顔の土台である骨、特に頬骨や顎の骨が萎縮して痩せてきます。土台が小さくなることで、その上の皮膚や脂肪は余ってしまい、たるみとして現れます。
さらに、顔の脂肪は若い頃のように一体化しているのではなく、いくつかの区画(ファットコンパートメント)に分かれています。
加齢によりこれらの脂肪がしぼんだり、重力で下の方へ移動(下垂)したりすることで、頬がこけたり、逆にほうれい線の上が盛り上がったりと、顔に凹凸が生まれてしまうのです。
リガメント剥離は脂肪の下垂には有効ですが、骨の萎縮や脂肪自体のボリューム減少を補うことはできません。
加齢による顔の構造的変化
| 組織 | 主な変化 | 見た目への影響 |
|---|---|---|
| 骨 | 萎縮してボリュームが減少する | 土台が減り、皮膚が余る原因になる |
| 脂肪 | 萎縮や下垂が起こる | 頬のこけ、ほうれい線、ゴルゴライン |
| リガメント | 伸びてゆるむ | 皮膚や脂肪を支えきれなくなる |
なぜ複合的なアプローチが自然な若返りにつながるのか
リガメント剥離でたるんだ組織を元の位置に戻す「引き算」の治療に加え、骨の萎縮や脂肪の減少で失われたボリュームを補う「足し算」の治療を組み合わせる。
この複合的なアプローチこそが、不自然なひきつれのない、若々しい顔立ちを取り戻すための秘訣です。
例えば、フェイスリフトでたるみを引き上げつつ、こけてしまった頬やこめかみに脂肪注入やヒアルロン酸注入を行うことで、より立体的で自然な仕上がりを目指せます。
単一の治療法に固執せず、顔全体のバランスを整える視点が大切なのです。
あなたに合った治療計画の立て方
まずは、カウンセリングでご自身の顔がどのような状態にあるのかを正確に診断してもらうことがスタートラインです。
リガメントのゆるみ、骨の萎縮、脂肪の分布など、どの要素がほうれい線の主な原因になっているのかを医師と共有しましょう。
その上で、リガメント剥離フェイスリフトを軸としながら、必要に応じて脂肪注入やヒアルロン酸注入、あるいは肌の質感を改善するレーザー治療などを組み合わせた、あなただけのオーダーメイドの治療計画を立てることが、満足のいく結果への最短距離となります。
リガメント剥離を受けるクリニック選びで失敗しないための7つのポイント
失敗しないクリニック選びでは、「医師の経歴と症例数」「リスク説明の丁寧さ」「料金体系の明確さ」「アフターケアの充実度」などを総合的に確認することが重要です。
特に、顔の解剖を熟知し、高難易度のフェイスリフト経験が豊富な医師を選ぶことが成功の鍵となります。
ポイント1 医師の経歴とフェイスリフトの症例数を確認する
まず最も重要なのが、執刀する医師のスキルと経験です。形成外科専門医や美容外科専門医といった資格の有無はもちろん、特にフェイスリフト、中でもリガメント処理を含む難易度の高い手術をどれだけ手掛けてきたかを確認しましょう。
クリニックのウェブサイトに掲載されている症例写真も参考にしますが、写真の加工や撮影角度に惑わされず、様々な角度からの写真や、動画で表情の動きを確認できるとより信頼できます。
ポイント2 カウンセリングでリスクやデメリットを十分に説明してくれるか
カウンセリングの際に、効果やメリットばかりを強調し、デメリットやリスクについて詳しく説明しないクリニックは要注意です。
良い医師ほど、起こりうる合併症(神経損傷、血腫、感染など)やダウンタイムの辛さ、仕上がりの限界について、包み隠さず誠実に説明してくれます。
患者の不安や疑問に丁寧に耳を傾け、納得できるまで対話してくれる姿勢があるかを見極めましょう。
ポイント3 料金体系が明確で、追加費用の説明があるか
提示された見積もりに、手術費用以外に何が含まれているのかを細かく確認することが大切です。
- 麻酔費用(静脈麻酔か全身麻酔か)
- 術前の血液検査代
- 術後に処方される薬(抗生剤、鎮痛剤など)代
- 術後の検診費用
これらの費用がすべて含まれているのか、あるいは別途必要になるのかを事前に確認し、後から予期せぬ追加料金を請求されることのないようにしましょう。
ポイント4 アフターケアや保証制度が充実しているか
手術が終わればそれで終わり、ではありません。
ダウンタイム中に不安なことがあった際の相談窓口や、24時間対応の緊急連絡先があるかなど、術後のサポート体制は必ず確認してください。
また、万が一、結果に問題があった場合や、明らかな左右差が生じた場合などに、どのような修正対応をしてもらえるのか、保証制度の有無とその内容についても書面で確認しておくと安心です。
ポイント5 SMAS処理など、リガメント剥離以外の術式にも対応できるか
優れたフェイスリフトの専門医は、リガメント剥離という一つの手技に固執しません。
患者さんのたるみの状態や希望に応じて、SMASを折りたたむ方法(SMASplication)や、SMASの一部を切除する方法(SMASectomy)など、様々な術式を使い分けることができます。
複数の選択肢の中から、あなたにとって最も適した方法を提案してくれる医師こそ、信頼できる専門家と言えるでしょう。
ポイント6 クリニックの衛生管理と緊急時の対応体制
外科手術である以上、感染症のリスクは常に伴います。手術室の清潔さや、使用する器具の滅菌管理が徹底されているかは、安全な手術の基本です。
また、手術中に予期せぬ事態が発生した場合に備え、麻酔科医が常駐しているか、近隣の高度医療機関と連携が取れているかなど、緊急時の対応体制が整っているかも重要なチェックポイントです。
ポイント7 医師やスタッフとの相性も大切
最終的には、医師やカウンセラー、看護師といったクリニックのスタッフと、ご自身との相性も無視できません。
どれだけ技術が高くても、高圧的な態度であったり、質問しにくい雰囲気であったりすると、安心して体を任せることはできません。
カウンセリングを通して信頼関係を築けると感じたクリニックを選ぶことが、精神的な満足度にもつながります。
クリニック選びのチェックリスト
| チェック項目 | 確認するポイント | 重要度 |
|---|---|---|
| 医師の経験・技術 | 専門医資格、症例数、症例写真 | ★★★ |
| 説明の丁寧さ | リスク説明の有無、質問への対応 | ★★★ |
| 料金の透明性 | 見積もりの詳細、追加費用の有無 | ★★☆ |
施術の流れとダウンタイムの過ごし方
施術は、カウンセリングと術前検査を経て、手術当日は麻酔下で4時間から6時間かけて行います。術後は強い腫れや内出血を伴うダウンタイムがあり、社会復帰までには1週間から1ヶ月程度を見込む必要があります。
この期間は安静を心がけ、回復を促す過ごし方が大切です。
カウンセリングから手術当日までの準備
最初のステップは、医師によるカウンセリングです。
ここでほうれい線の状態を診察し、手術の適応を判断します。手術が決まったら、日程を調整し、術前検査(血液検査、心電図など)を受けて、全身状態に問題がないかを確認します。
手術の約2週間前から、血液をサラサラにする薬やサプリメント(ビタミンE、EPAなど)の服用を中止するよう指示されることがあります。
また、喫煙は血行を悪くし、傷の治りを遅らせる原因となるため禁煙を強く推奨します。
手術当日の具体的な流れ
手術当日は、まず最終的なデザインの確認を医師と行います。その後、洗顔をして手術室に入り、麻酔を開始します。
リガメント剥離を伴うフェイスリフトは、通常、静脈麻酔や全身麻酔で行うため、眠っている間に手術は終わります。手術時間は、剥離する範囲や同時に行う施術にもよりますが、おおよそ4時間から6時間程度です。
手術終了後はリカバリールームで麻酔が覚めるまで安静にし、状態が安定したら、顔にフェイスバンドを巻いた状態で帰宅となります。
クリニックによっては、1泊の入院を勧めるところもあります。
ダウンタイム中の症状と期間
帰宅後から本格的なダウンタイムが始まります。術後2~3日が腫れと痛みのピークで、その後徐々に落ち着いていきます。
内出血は、最初は紫色ですが、1~2週間かけて黄色っぽく変化し、やがて消えていきます。術後1週間前後で抜糸を行います。
この頃には大きな腫れは引いてきますが、まだむくみや顔の突っ張り感は残っています。
社会復帰のタイミングは仕事内容にもよりますが、デスクワークであれば術後1週間から10日、人と会う仕事であれば2週間から1ヶ月程度の休みを確保しておくと安心です。
術後の注意点と早く回復するためのコツ
ダウンタイムを順調に乗り切るためには、いくつかの注意点があります。術後3日間ほどは、枕を高くして寝ることで、顔の腫れを軽減できます。
血行が良くなりすぎると腫れが長引くため、長時間の入浴や激しい運動、飲酒は、術後1ヶ月程度は控えましょう。
また、傷跡をきれいに治すためには、紫外線対策が非常に重要です。
食事は、塩分の多いものを避け、タンパク質やビタミンを多く含む、栄養バランスの取れたものを心がけると、回復を早める助けになります。
ほうれい線のリガメント剥離に関するよくある質問
- 施術中の痛みはどの程度ですか?
-
手術中は静脈麻酔や全身麻酔を使用するため、痛みを感じることはありません。術後に麻酔が切れると、ジンジンとした痛みや鈍痛を感じることがありますが、処方される鎮痛剤を服用すればコントロールできる範囲です。
痛みのピークは術後2~3日で、その後は徐々に和らいでいきます。
- 傷跡は目立ちますか?どこに残りますか?
-
傷跡が目立たないように配慮して切開します。一般的には、髪の生え際の中や耳の前、耳たぶの後ろから襟足の生え際にかけて切開します。そのため、正面から見たときには傷跡はほとんど分かりません。
術後しばらくは赤みがありますが、3ヶ月から半年ほどで徐々に白く細い線になり、最終的にはほとんど目立たなくなります。
- 効果が全く感じられなかった場合、どうなりますか?
-
リガメント剥離を伴うフェイスリフトで効果が全く感じられないというケースは、適切に手術が行われれば考えにくいです。
しかし、もし仕上がりに不満がある場合や、明らかな左右差など客観的な問題がある場合は、まず手術を受けたクリニックに相談することが重要です。
多くのクリニックでは保証制度を設けており、医師の判断で必要と認められれば、修正手術などの対応を受けられる場合があります。
カウンセリングの段階で、そうした保証の内容をしっかり確認しておくことが大切です。
- 術後、いつから仕事や運動を再開できますか?
-
仕事復帰の目安は、職種によって異なります。在宅勤務やデスクワークであれば、大きな腫れが引く術後1週間程度から可能です。
接客業など、人と対面する仕事の場合は、内出血や腫れがある程度落ち着く2週間から1ヶ月後が目安となります。
軽い運動(ウォーキングなど)は術後2週間後から、ランニングや筋力トレーニングといった激しい運動は、組織が安定する術後1ヶ月後からを目安に、様子を見ながら再開してください。
参考文献
CAKMAK, Ozcan; EMRE, Ismet Emrah; ÖZÜCER, Berke. Surgical Approach to the Thick Nasolabial Folds, Jowls and Heavy Neck—How to Approach and Suspend the Facial Ligaments. Facial Plastic Surgery, 2018, 34.01: 059-065.
HONG, Gi-Woong, et al. Why do nasolabial folds appear? Exploring the anatomical perspectives and the role of thread-based interventions. Diagnostics, 2024, 14.7: 716.
BARTON JR, Fritz E.; GYIMESI, Ildiko M. Anatomy of the nasolabial fold. Plastic and reconstructive surgery, 1997, 100.5: 1276-1280.
KIM, Min Ji; OH, Tae Suk. A nasolabial fold reset technique for enhancing midface lifts in facial reanimation: three-dimensional volumetric analysis. Journal of Cranio-Maxillofacial Surgery, 2020, 48.2: 162-169.
YOUSIF, N. John, et al. The nasolabial fold: an anatomic and histologic reappraisal. Plastic and reconstructive surgery, 1994, 93.1: 60-69.
LEE, Sang Yeul. Prominent Nasolabial Fold: An Overview of Treatments. Archives of Aesthetic Plastic Surgery, 2011, 17.3: 143-152.
ALGHOUL, Mohammed; CODNER, Mark A. Retaining ligaments of the face: review of anatomy and clinical applications. Aesthetic surgery journal, 2013, 33.6: 769-782.


