美容医療の「リフトアップ」とは?意味や種類をやさしく解説

「最近、顔のたるみが気になる」「鏡を見るたびに、なんだか疲れた印象に見える…」そんなお悩みはありませんか?

美容医療における「リフトアップ」とは、加齢とともに現れるお顔のたるみやしわを改善し、若々しい印象を取り戻すための治療法です。

この記事では、リフトアップの基本的な意味から、さまざまな治療法の種類、それぞれの特徴、そして治療を受ける前に知っておきたいことまで、わかりやすく解説します。

ご自身に合ったリフトアップ治療を見つけるための一助となれば幸いです。

この記事を書いた人

百人町アルファクリニック 院長 荻野 和仁

荻野 和仁
百人町アルファクリニック 院長
Instagram

医学博士 日本形成外科学会 専門医
日本美容外科学会 会員

【略歴】
獨協医科大学医学部卒業後、岩手医科大学形成外科学講座入局。岩手医科大学大学院卒業博士号取得、2014年に日本形成外科学会専門医取得。大手美容クリニックの院長を経て2017年より百人町アルファクリニックの院長を務める。

百人町アルファクリニックでは、糸を使った切らないリフトアップから、切開部分が目立たないフェイスリフトまで患者様に適した方法をご提案していますが、若返り手術は決して急ぐ必要はありません。

一人ひとりの皮下組織や表情筋の状態に合わせた方法を探し「安全性」と「自然な仕上がり」を第一に心がけているため、画一的な手術をすぐにはいどうぞ、と勧めることはしていません。

毎回手術前の診断と計画立案に時間をかけすぎるため、とにかく安く、早くこの施術をして欲しいという方には適したクリニックではありません。それでも、リフトアップの施術を年間300件行っている実績から、患者様同士の口コミや他のドクターからのご紹介を通じ、全国から多くの患者様に当院を選んでいただいています。

このサイトでは、フェイスリフトやたるみに関する情報を詳しく掲載しています。どうか焦らず、十分に勉強した上で、ご自身に合ったクリニックをお選びください。もちろん、ご質問やご相談があれば、いつでもお気軽にお問い合わせいただければ幸いです。

目次

リフトアップとは?美容医療における基本的な意味

リフトアップとは、文字通り「引き上げる」という意味です。

美容医療の分野では、主に加齢やその他の要因によって下がってしまった皮膚や皮下組織を、元の位置、あるいはより若々しく見える位置へと引き上げる治療全般を指します。

この治療により、たるみやしわの改善、フェイスラインの引き締め効果などが期待できます。

加齢によるたるみの原因

お肌のたるみは、単一の原因ではなく複数の要因が絡み合って進行します。

原因内容影響
皮膚の弾力低下コラーゲンやエラスチンの減少・変性ハリ・弾力が失われ、皮膚が伸びやすくなる
皮下脂肪の変化脂肪の減少・下垂・偏在ボリュームロスや顔の凹凸、たるみが生じる
筋力の低下表情筋やSMAS筋膜の衰え皮膚や脂肪を支える力が弱まり、下垂する

紫外線、乾燥、生活習慣なども影響し、複合的にたるみを進行させます。

リフトアップ治療の目的と効果

リフトアップ治療の主な目的は、これらのたるみの原因にアプローチし、見た目の若返りを図ることです。

治療法によってアプローチする層や得られる効果の程度は異なりますが、一般的に以下のような効果を目指します。

主な目的期待できる効果代表的な悩み
たるみの改善フェイスラインの引き締まり、ほうれい線・マリオネットラインの軽減頬のたるみ、二重あご
しわの軽減目元・口元の小じわ、首のしわの改善表情じわ、乾燥じわ
肌質の向上ハリ・ツヤの改善、毛穴の引き締め肌のくすみ、キメの乱れ

美容医療におけるリフトアップの位置づけ

美容医療には、シミ取りレーザー、脱毛、注入治療などさまざまな分野があります。その中でリフトアップ治療は、特にエイジングケアの中核をなす治療の一つとして位置づけられます。

加齢による変化は誰にでも訪れるため、幅広い年代の方が関心を持つ分野です。

近年では、メスを使わない手軽な治療から本格的な外科手術まで選択肢が広がり、より身近なものとなりつつあります。

セルフケアとの違い

化粧品やマッサージなどのセルフケアも、日々の努力として大切です。しかし、セルフケアで対応できるのは主に皮膚の表面的な部分や、一時的なむくみの改善などに限られることが多いです。

一方、美容医療のリフトアップ治療は、皮膚の深層部やSMAS筋膜、皮下脂肪といった、セルフケアでは届かない組織に直接働きかけることができます。

このことにより、より根本的で持続的な効果を期待できる点が大きな違いです。もちろん、治療後の良い状態を維持するためには、適切なセルフケアの継続が重要です。

なぜリフトアップが必要になるの?

年齢を重ねると、誰しも鏡を見るたびに「以前とは違うな」と感じる瞬間が増えてくるかもしれません。それは単にシワが増えた、たるみが出てきたという表面的な変化だけではない、もっと深い心の動きと繋がっていることがあります。

ここでは、多くの方がリフトアップ治療を考える背景にある、肌の変化と心の関係性について少し掘り下げてみます。

見た目の変化だけではない肌の悩み

「疲れて見える」「不機嫌そうに思われる」「老けて見られるのがつらい」。これらは、たるみやしわがもたらす外見上の変化から派生する、コミュニケーションにおける悩みや自己肯定感の低下に繋がることがあります。

肌の状態は、私たちが思う以上に他者に与える印象や、自分自身の気持ちに影響を与えるものです。

リフトアップ治療を希望する方の多くは、単に若返りたいというだけでなく、こうした内面的な悩みを解消したいという思いを抱えています。

年齢を重ねることで失われるもの

加齢は自然なことですが、それによって肌内部では確実に変化が起きています。特に重要なのが、肌のハリや弾力を支える成分の減少です。

肌の弾力低下のサイン

以前は気にならなかった枕の跡がなかなか消えない、ファンデーションが毛穴に落ちやすくなった、といったことはありませんか。これらは肌の弾力が低下し始めているサインかもしれません。

コラーゲンとエラスチンの減少

肌の真皮層に存在するコラーゲンは肌の構造を支える柱のような役割を、エラスチンはコラーゲン同士を結びつけ弾力を与えるゴムのような役割を担っています。

これらの成分が年齢とともに減少し質も変化することで、肌はハリを失い、重力に抗えずにたるんでいきます。

成分主な役割加齢による変化
コラーゲン肌の構造を支える、ハリを与える量・質の低下、硬化
エラスチン肌に弾力を与える量・質の低下、断裂

リフトアップで得られる自信と心の変化

リフトアップ治療によって外見が若々しくなると、多くの方が自信を取り戻し、気持ちも前向きになる傾向があります。

それは、長年抱えていたコンプレックスが解消されることによる解放感や、再びおしゃれを楽しめるようになる喜びなど、さまざまな形で現れます。

  • 人前に出るのが楽しくなる
  • 新しいことに挑戦する意欲が湧く
  • 笑顔が増える
  • 自分をもっと好きになれる

このように、リフトアップは単に見た目を変えるだけでなく、生活の質(QOL)の向上にも貢献し得る治療なのです。

自分らしい美しさを保つために

リフトアップ治療は、過去の自分に戻ることだけが目的ではありません。

年齢を重ねたからこそ生まれる魅力と、若々しい印象をバランス良く保ち、「今の自分が一番好き」と思えるような、自分らしい美しさを追求するための一つの手段です。

大切なのは、無理に若返ろうとするのではなく、ご自身の状態やライフスタイルに合った方法で、健やかに美しく年齢を重ねていくことです。

リフトアップ治療の種類と特徴

リフトアップ治療には、メスを使わない手軽なものから、本格的な外科手術までさまざまな選択肢があります。

ご自身のたるみの状態、ダウンタイムの許容範囲、期待する効果などを考慮して、適切な治療法を選ぶことが大切です。

切らないリフトアップ(非侵襲的または低侵襲的治療)

皮膚を切開することなく、たるみを改善する治療法です。ダウンタイムが比較的短く、日常生活への影響が少ないため、近年人気が高まっています。

治療法主な作用特徴
HIFU(ハイフ)高密度焦点式超音波皮膚深層のSMAS筋膜に熱エネルギーを届け引き締める
糸リフト(スレッドリフト)特殊な糸を皮下に挿入糸の物理的な力で引き上げ、コラーゲン生成も促進
高周波(RF)治療高周波エネルギー真皮層に熱を加えコラーゲン生成を促し引き締める

HIFU(ハイフ)

高密度焦点式超音波(High Intensity Focused Ultrasound)の略で、超音波エネルギーを皮膚の深層部(主にSMAS筋膜)にピンポイントで照射し、熱凝固作用によって組織を引き締めます。

メスを使わずにSMAS筋膜にアプローチできるのが大きな特徴です。

糸リフト(スレッドリフト)

コグ(トゲ)のついた特殊な医療用の糸を皮下に挿入し、その力でたるんだ皮膚や組織を引き上げる治療です。

糸の刺激によりコラーゲン生成が促進される効果も期待できます。使用する糸の種類や本数によって、効果や持続期間が異なります。

高周波(RF)治療

高周波(ラジオ波)エネルギーを皮膚に照射し、真皮層のコラーゲン線維を収縮させるとともに、新たなコラーゲン生成を促すことで、肌の引き締めやハリ感アップを目指す治療です。

比較的マイルドな効果で、繰り返し受けることで効果を維持します。

切るリフトアップ(外科手術)

皮膚を切開し、たるんだ皮膚やSMAS筋膜を引き上げて余分な皮膚を切除する、より根本的なリフトアップ治療です。効果の実感が高く、持続期間も長い傾向にありますが、ダウンタイムも長くなります。

治療法主な対象特徴
フェイスリフト手術顔全体のたるみ、深いしわSMAS筋膜から引き上げ、効果の持続性が高い
ネックリフト手術首のたるみ、二重あご首の縦じわや横じわ、もたつきを改善

フェイスリフト手術

耳の前や髪の生え際などを切開し、皮膚だけでなくSMAS筋膜(表在性筋膜群)を引き上げ、余分な皮膚を切除します。顔全体のたるみや深いしわに対して高い効果が期待できます。

ネックリフト手術

首のたるみやしわ、二重あごなどを改善するための手術です。フェイスリフトと同時に行うこともあります。あご下や耳の後ろなどを切開し、たるんだ皮膚や広頚筋を引き締めます。

その他のリフトアップ関連治療

直接的な引き上げ効果とは異なりますが、リフトアップ治療と組み合わせることでより満足度の高い結果を得られる治療法もあります。

ヒアルロン酸注入

ヒアルロン酸を注入することで、くぼんだ部分のボリュームを補ったり、リフトアップ効果のあるポイントに注入して間接的にたるみを改善したりします。

手軽に行える治療ですが、効果は一時的です。

ボツリヌス毒素注射

筋肉の動きを抑制する作用を利用し、表情じわの改善や、フェイスラインを引き締める効果(広頚筋ボトックスなど)が期待できます。エラ張りの改善にも用いられます。

自分に合った治療法の選び方

どの治療法が自分に適しているかは、たるみの程度、原因、ライフスタイル、予算、ダウンタイムの許容範囲などによって異なります。

まずは専門の医師に相談し、ご自身の状態を正確に診断してもらうことが重要です。

カウンセリングでしっかりと話し合い、それぞれの治療法のメリット・デメリットを理解した上で、納得のいく治療法を選択しましょう。

切らないリフトアップ 各治療法の詳細

切らないリフトアップ治療は、ダウンタイムが比較的短く、手軽に受けられることから人気があります。ここでは代表的なHIFU、糸リフト、高周波治療について、もう少し詳しく見ていきましょう。

HIFU(ハイフ)の効果とダウンタイム

HIFUは、超音波エネルギーを用いて皮膚の深層にアプローチする治療法です。

HIFUの作用機序

HIFUは、虫眼鏡で太陽光を集めて紙を焦がすように、超音波を一点に集中させて高温を発生させます。この熱エネルギーをSMAS筋膜や真皮層に照射することで、タンパク質が熱変性を起こし収縮します。

この収縮作用により、即時的な引き締め効果が得られます。

さらに熱刺激を受けた組織は修復過程でコラーゲンの生成を活発化させるため、中長期的なハリ感アップやたるみ予防効果も期待できます。

項目HIFUの特徴主な効果
作用深度SMAS筋膜、真皮深層たるみ改善、引き締め
熱エネルギー約60~70℃コラーゲン変性・生成促進
皮膚表面への影響ほとんどないダウンタイムが短い

期待できる効果と持続期間

HIFU治療に期待できる主な効果は、フェイスラインの引き締め、頬のたるみ改善、ほうれい線やマリオネットラインの軽減、肌のハリ感アップなどです。

効果の現れ方には個人差がありますが、多くの場合、治療直後から引き締まりを感じ、その後1~3ヶ月かけてコラーゲン生成が進むことでさらに効果が高まります。

持続期間は、使用する機器や出力、個人の肌状態によって異なりますが、一般的には半年から1年程度とされています。

ダウンタイムと注意点

HIFUのダウンタイムは比較的短いのが特徴です。治療直後に赤みや腫れ、軽いむくみ、筋肉痛のような鈍痛が出ることがありますが、通常は数時間から数日で治まります。

メイクは当日から可能な場合が多いです。ただし、いくつかの注意点があります。

  • 治療後数日は、飲酒や激しい運動、長風呂など血行を促進する行為は控える。
  • 紫外線対策をしっかり行う。
  • 保湿を心がける。

まれに、神経に近い部位への照射で一時的なしびれ感が出ることがありますが、時間とともに軽快します。気になる症状があれば速やかにクリニックに相談しましょう。

糸リフト(スレッドリフト)の種類とメリット・デメリット

糸リフトは、特殊な糸を皮下に挿入してたるみを引き上げる治療法です。使用する糸の種類によって特徴が異なります。

糸の種類と特徴

糸リフトに使用される糸は、素材や形状(コグの付き方など)によってさまざまな種類があります。

素材は、PDO(ポリジオキサノン)、PCL(ポリカプロラクトン)、PLLA(ポリ乳酸)などが代表的で、これらは体内でゆっくりと吸収されるため安全性が高いとされています。

糸の形状も、コグが双方向についているもの、一方向についているもの、メッシュ状のものなどがあり、引き上げたい部位や目的に応じて使い分けます。

糸の素材例特徴吸収期間の目安
PDO柔軟性があり扱いやすい約6ヶ月~1年
PCL持続性が高く柔軟性もある約2年~3年
PLLAコラーゲン生成効果が高い約1年半~2年

メリットと期待できる効果

糸リフトのメリットは、メスを使わずに物理的にたるみを引き上げることができる点です。

HIFUなど他の治療では効果を感じにくかった方でも、糸による直接的なリフトアップ効果を実感しやすい傾向があります。

また、糸の刺激によってコラーゲンやエラスチンの生成が促進されるため、肌のハリ感アップや肌質改善効果も期待できます。

フェイスラインのもたつき、頬のたるみ、ほうれい線、マリオネットラインなどに効果的です。

デメリットとリスク

デメリットとしては、術後に腫れ、内出血、痛み、ひきつれ感、凹凸などが生じることがあります。これらの症状は通常1~2週間程度で落ち着きますが、個人差があります。

また、まれに糸が露出したり、感染を起こしたりするリスクもゼロではありません。

経験豊富な医師のもとで、適切な種類の糸を適切な本数、適切な層に挿入することが重要です。効果の持続期間も糸の種類や本数、個人の状態によって異なり、永久的なものではありません。

高周波(RF)治療の仕組みと適応

高周波(RF)治療は、ラジオ波とも呼ばれる電気的なエネルギーを利用して肌の引き締めやたるみ改善を目指す治療法です。

高周波の皮膚への作用

高周波を皮膚に照射すると、体内の水分やイオンが振動し、ジュール熱という摩擦熱が発生します。

この熱エネルギーが真皮層に作用し、コラーゲン線維を収縮させることで即時的な引き締め効果をもたらします。

さらに、熱刺激によって線維芽細胞が活性化し、新たなコラーゲンやエラスチンの生成を促進するため、中長期的な肌のハリ感アップや弾力改善効果が期待できます。

適した症状と効果

高周波治療は、比較的マイルドな引き締め効果や肌質改善を目的とする場合に適しています。顔全体のタイトニング、小じわの改善、毛穴の引き締め、肌のハリ感アップなどに効果的です。

HIFUや糸リフトほどの強いリフトアップ効果はありませんが、ダウンタイムがほとんどなく、痛みも少ないため、手軽に受けられるエイジングケアとして人気があります。

治療間隔と回数

高周波治療は1回の治療でも効果を感じる方もいますが、多くの場合、複数回の治療を継続することでより高い効果と持続性が得られます。

治療間隔は、使用する機器や目的によって異なりますが、一般的には2週間から1ヶ月に1回程度のペースで、3~5回程度の治療を推奨されることが多いです。

その後は、効果を維持するために数ヶ月に1回のメンテナンス治療を行うのが理想的です。

注入治療(ヒアルロン酸・ボツリヌス毒素)との組み合わせ

HIFU、糸リフト、高周波治療といった引き締め治療に加えて、ヒアルロン酸注入やボツリヌス毒素注射を組み合わせることでより総合的なリフトアップ効果や若返り効果を目指すことができます。

例えば、HIFUで全体を引き締めた後にヒアルロン酸でボリュームロスを補ったり、ボツリヌス毒素で表情じわを改善したりすることで、より自然でバランスの取れた仕上がりが期待できます。

医師と相談し、最適なコンビネーション治療を検討しましょう。

切るリフトアップ(フェイスリフト手術)の実際

フェイスリフト手術は、たるみ治療の中でも特に効果が高く、持続性にも優れた方法です。しかし、外科手術であるため、ダウンタイムやリスクについても十分に理解しておく必要があります。

フェイスリフト手術の適応と効果の範囲

フェイスリフト手術は、中等度から重度のたるみ、深いしわ(ほうれい線、マリオネットライン、ゴルゴラインなど)、フェイスラインの崩れ、首のたるみなどが主な適応となります。

皮膚のたるみだけでなく、その下にあるSMAS筋膜やリガメント(靭帯)といった支持組織から引き上げるため、顔全体を効果的にリフトアップし若々しい印象を取り戻すことができます。

効果の範囲は、頬、フェイスライン、あご下、首など広範囲に及びます。

手術方法のバリエーション

フェイスリフト手術には、切開範囲や引き上げる層、処理する組織によっていくつかのバリエーションがあります。代表的なものを紹介します。

術式特徴主な適応
SMAS法SMAS筋膜をしっかりと引き上げる標準的な術式顔全体のたるみ、ほうれい線、マリオネットライン
リガメント法支持靭帯(リガメント)を処理し、より自然なリフトアップを目指す頬のたるみ、フェイスラインの崩れ
ミニリフト切開範囲が比較的小さく、負担が少ない軽度~中等度のたるみ、主に下顔面の引き締め

SMAS法

SMAS(Superficial Musculo-Aponeurotic System:表在性筋膜群)と呼ばれる皮膚の下にある薄い筋膜層を、皮膚と一緒に引き上げる方法です。

たるみの根本原因の一つであるSMAS筋膜のゆるみを改善するため、効果の持続性が高いとされています。多くのフェイスリフト手術で基本となる手技です。

リガメント法

顔の皮膚や皮下組織を骨に固定しているリガメント(支持靭帯)に着目した術式です。

加齢とともにゆるんだリガメントを処理し、適切な位置に再固定することで、より自然で効果的なリフトアップを目指します。SMAS法と組み合わせて行うこともあります。

ミニリフト

切開範囲を限定し、主にフェイスラインや口元のたるみを改善する手術です。

SMAS法などに比べて体への負担が少なく、ダウンタイムも比較的短い傾向にありますが、効果の範囲や程度は限定的です。軽度から中等度のたるみの方に適しています。

ダウンタイムと術後の経過

フェイスリフト手術後のダウンタイムには個人差がありますが、一般的に大きな腫れや内出血は術後1~2週間程度で徐々に引いていきます。

痛みは鎮痛剤でコントロールできる範囲です。

術後数日はドレーン(血液や浸出液を排出する管)を留置することがあります。抜糸は術後1週間から10日程度で行います。

完全に自然な状態になるまでには数ヶ月かかることもありますが、多くの場合、術後2~4週間程度でメイクをすれば外出が可能になります。

傷跡は、髪の生え際や耳の形に沿って目立たないように切開しますが、完全に消えるわけではありません。時間とともに赤みが薄れ、白っぽい線状になっていきます。

手術を受ける前に知っておくべきこと

フェイスリフト手術は効果の高い治療ですが、受ける前には以下の点を十分に理解し、納得した上で決断することが大切です。

  • 手術のリスク(感染、血腫、神経損傷、傷跡の問題など)
  • ダウンタイムの期間と過ごし方
  • 期待できる効果と限界
  • 費用

カウンセリングで医師から詳しい説明を受け、疑問点や不安な点はすべて解消しておきましょう。また、持病がある方や服用中の薬がある方は、必ず事前に医師に申告してください。

リフトアップ治療を受ける前に考慮すべきこと

リフトアップ治療は、種類も豊富でそれぞれにメリット・デメリットがあります。満足のいく結果を得るためには、治療を受ける前にいくつかの点をしっかりと考慮することが重要です。

クリニック選びのポイント

リフトアップ治療の成否は、クリニック選びにかかっていると言っても過言ではありません。以下のポイントを参考に、信頼できるクリニックを選びましょう。

チェックポイント確認事項重要性
医師の経験と実績専門医資格、症例数、得意な施術技術力と安全性を判断する上で非常に重要
カウンセリングの丁寧さ悩みや希望をしっかり聞いてくれるか、説明がわかりやすいか医師との信頼関係構築、納得のいく治療選択に必要
アフターケア体制術後の検診、トラブル時の対応万が一の場合の安心感、長期的な満足度に影響

医師の経験と実績

リフトアップ治療は、医師の技術や美的センスが結果を大きく左右します。担当医師が形成外科専門医や美容外科専門医などの資格を持っているか、リフトアップ治療の経験が豊富か、症例写真などを確認しましょう。

特にフェイスリフト手術のような外科的治療では、解剖学的知識と高度な技術が求められます。

カウンセリングの丁寧さ

カウンセリングではご自身の悩みや希望をしっかりと伝え、医師から治療法について詳しい説明を受けることが大切です。

メリットだけでなく、デメリットやリスク、ダウンタイム、費用などについても十分に説明してくれるか、質問しやすい雰囲気かなどを確認しましょう。

時間をかけて丁寧にカウンセリングを行ってくれるクリニックは、患者さん一人ひとりに向き合っている証拠と言えます。

アフターケア体制

治療後の経過観察や、万が一トラブルが起きた場合の対応などアフターケア体制が整っているかも重要なポイントです。

術後の定期的な検診の有無や、緊急時の連絡先、保証制度などを確認しておくと安心です。

費用と支払い方法

リフトアップ治療は自由診療のため、クリニックや治療法によって費用が大きく異なります。カウンセリングの際に、治療費総額(診察料、検査料、麻酔料、薬代、アフターケア費用などを含む)を明確に提示してもらいましょう。

複数のクリニックで費用を比較検討することも有効です。また、支払い方法(現金、クレジットカード、医療ローンなど)についても確認しておくと良いでしょう。

リスクと副作用の理解

どのような医療行為にも、リスクや副作用が伴う可能性があります。リフトアップ治療も例外ではありません。

治療法によってリスクや副作用の内容は異なりますが、腫れ、内出血、痛み、感染、神経損傷、左右差、ひきつれ、効果が期待通りでない、などがあり得ます。

カウンセリングで起こりうるリスクや副作用について十分に説明を受け、理解しておくことが大切です。不安な点は遠慮なく質問しましょう。

治療後の生活とセルフケア

治療効果を最大限に引き出し、長持ちさせるためには、治療後の生活習慣やセルフケアも重要です。医師の指示に従い、ダウンタイム中は安静に過ごしましょう。

また、紫外線対策や保湿ケア、バランスの取れた食事、十分な睡眠など、日頃からのエイジングケアを心がけることが美しい状態を維持するために役立ちます。

リフトアップ治療後の注意点と持続性を高めるために

リフトアップ治療を受けたら、それで終わりではありません。治療後の適切なケアと生活習慣が、効果の持続性や満足度を大きく左右します。

術後の一般的な経過

治療法によって異なりますが、術後には腫れ、内出血、痛み、赤みなどが出ることが一般的です。これらの症状は、時間の経過とともに徐々に軽快していきます。

医師の指示に従い、処方された薬を服用したり、適切な冷却を行ったりすることが大切です。無理をせず、安静に過ごす期間も必要です。

日常生活での注意点

治療効果を長持ちさせ、肌を健やかに保つためには、日常生活での注意点も守りましょう。

  • 紫外線対策(日焼け止めの使用、帽子や日傘の活用)
  • 保湿ケア(肌のバリア機能を高める)
  • バランスの取れた食事(抗酸化作用のある食品を摂取)
  • 十分な睡眠(肌のターンオーバーを整える)
  • 禁煙(喫煙は肌老化を加速させる)

紫外線対策の重要性

紫外線は、肌のコラーゲンやエラスチンを破壊し、たるみやしわ、シミなど、あらゆる肌老化の原因となります。リフトアップ治療後は特に肌がデリケートになっているため、徹底した紫外線対策が必要です。

季節や天候に関わらず、日焼け止めをこまめに塗り直し、帽子や日傘なども活用しましょう。

保湿ケア

乾燥は肌のバリア機能を低下させ、外部からの刺激を受けやすくします。また、乾燥によって小じわが目立ちやすくなることもあります。

化粧水、美容液、乳液、クリームなどを使って、しっかりと保湿ケアを行い、肌の水分量を保つことが大切です。

バランスの取れた食事と睡眠

肌の健康は、内側からのケアも重要です。ビタミンCやビタミンEなどの抗酸化物質を多く含む野菜や果物、良質なたんぱく質などをバランス良く摂取しましょう。

また、質の高い睡眠は、肌のターンオーバーを促し、ダメージを受けた細胞の修復を助けます。

効果を長持ちさせるためのメンテナンス治療

リフトアップ治療の効果は永久ではありません。効果をできるだけ長持ちさせるためには、定期的なメンテナンス治療を検討することも有効です。

例えば、HIFUや高周波治療を定期的に受けたり、ヒアルロン酸注入やボツリヌス毒素注射を組み合わせたりすることで、良い状態を維持しやすくなります。

医師と相談し、ご自身の状態に合ったメンテナンスプランを立てましょう。

定期的な診察のすすめ

治療後も、定期的に医師の診察を受けることをお勧めします。肌の状態をチェックしてもらい、適切なアドバイスを受けることでより効果的にエイジングケアを進めることができます。

また、万が一、何か気になる症状が現れた場合でも、早期発見・早期対応につながります。

よくある質問

リフトアップ治療に関して、患者様からよくいただくご質問とその回答をまとめました。

リフトアップ治療は痛いですか?

治療法によって痛みの程度は異なります。HIFUや高周波治療では、チクチクとした熱感や軽い痛みを感じることがあります。

糸リフトやフェイスリフト手術では、局所麻酔や静脈麻酔などを使用するため、手術中の痛みはほとんどありません。

術後には、鎮痛剤でコントロールできる程度の痛みが出ることがあります。痛みに不安がある場合は、カウンセリング時に医師にご相談ください。麻酔方法の調整や、痛みを軽減するための工夫について説明します。

効果はどのくらい持続しますか?

効果の持続期間も治療法や個人差によって大きく異なります。一般的に、HIFUや高周波治療は半年~1年程度、糸リフトは糸の種類によりますが1年~2年程度、フェイスリフト手術は5年~10年程度と言われています。

ただしこれらはあくまで目安であり、術後のケアや生活習慣、加齢の進み具合によって変わってきます。定期的なメンテナンス治療を行うことで、より長く効果を維持することが期待できます。

ダウンタイムはどのくらいですか?

ダウンタイムも治療法によって大きく異なります。HIFUや高周波治療は、赤みや軽い腫れが数時間~数日程度で、ほとんどダウンタイムがないと言えます。

糸リフトは、腫れや内出血、ひきつれ感などが1~2週間程度続くことがあります。フェイスリフト手術の場合は、大きな腫れや内出血が2週間程度、完全に落ち着くまでには数ヶ月かかることもあります。

カウンセリング時に各治療法の詳しいダウンタイムについて説明しますので、ご自身のライフスタイルに合わせて治療法を選択してください。

治療を受けられない場合はありますか?

以下のような場合は治療を受けられないことがあります。

  • 妊娠中、授乳中の方
  • 重度の皮膚疾患がある方(治療部位に活動性の感染や炎症がある場合など)
  • ケロイド体質の方
  • 金属アレルギーの方(使用する機器や糸による)
  • 特定の持病をお持ちの方(心疾患、糖尿病、自己免疫疾患などコントロール不良の場合)
  • 血液をサラサラにする薬を服用中の方(治療法によっては休薬が必要な場合があります)

上記以外にも、医師が不適応と判断した場合は治療をお断りすることがあります。安全に治療を受けていただくために、カウンセリング時に既往歴や服用中のお薬について正確にお伝えください。

参考文献

KIM, Byung Jun; CHOI, Jun Ho; LEE, Yoonho. Development of facial rejuvenation procedures: thirty years of clinical experience with face lifts. Archives of plastic surgery, 2015, 42.05: 521-531.

ROHRICH, Rod J., et al. The individualized component face lift: developing a systematic approach to facial rejuvenation. Plastic and reconstructive surgery, 2009, 123.3: 1050-1063.

WEI, Boxuan, et al. Advances in face-lift surgical techniques: 2016–2021. Aesthetic plastic surgery, 2023, 47.2: 622-630.

SINNO, Sammy, et al. Current trends in facial rejuvenation: an assessment of ASPS members’ use of fat grafting during face lifting. Plastic and Reconstructive Surgery, 2015, 136.1: 20e-30e.

BELLITY, Philippe, et al. The Facial Rejuvenation Enhancing Cheek Lift (FRENCH LIFT), a Facelift Technique that Treats Sagging of the Anterior Column of the Face: A Single Surgeon’s 10-year Experience with 1100 Operated Patients. Aesthetic Plastic Surgery, 2024, 1-10.

RAMIREZ, Oscar M. Full Face Rejuvenation in Three Dimensions: A TargetType=” OnlinePDFTargetType=” OnlinePDFFace-Lifting”for the New Millennium. Aesthetic plastic surgery, 2001, 25: 152-164.

KAYA, Kerem Sami; CAKMAK, Ozcan. Facelift techniques: an overview. Facial Plastic Surgery, 2022, 38.06: 540-545.

TARALLO, Mauro, et al. New lift: the art of facial rejuvenation with minimal incisions rhytidectomy. European Review for Medical & Pharmacological Sciences, 2016, 20.21.

CARNIOL, Paul J.; BAKER, Sterling. Combining techniques to optimize upper facial rejuvenation. Facial Plastic Surgery Clinics, 2006, 14.3: 247-251.

LEE, Sung Ha, et al. An Approach to Selection of Face-Lift Techniques for Different Types of Faces: An Analysis of 1000 Asian Patients Over 9 Years. Annals of Plastic Surgery, 2024, 93.2: 153-162.

目次