切開リフト後のボコボコ・凹凸|原因と落ち着く時期、修正を考える目安

切開リフト後のボコボコ・凹凸|原因と落ち着く時期、修正を考える目安

切開リフトのあとに頬や耳の前がボコボコして見えても、その多くは時間とともに平らへ近づいていきます。剥がした皮膚と深い組織が再びくっつく途中で、腫れの引き方のむらや縫い合わせた部分の引きつれが、一時的な凹凸として表に出るためです。

落ち着くまでの期間は人によって前後し、術後3か月から6か月がひとつの目安です。一方で、皮膚の下に血液や体液がたまっているときや、半年を過ぎても段差が変わらないときは、診察での処置や手直しを考えます。

凹凸が出る原因と時期ごとの見え方、様子を見てよい凹凸と受診したい症状の違い、残った凹凸の直し方まで、順に説明します。

この記事を書いた人

百人町アルファクリニック 院長 荻野 和仁

荻野 和仁
百人町アルファクリニック 院長
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医学博士
2014年 日本形成外科学会 専門医取得
日本美容外科学会 会員

【略歴】
獨協医科大学医学部卒業後、岩手医科大学形成外科学講座入局。岩手医科大学大学院卒業博士号取得、2014年に日本形成外科学会専門医取得。大手美容クリニックの院長を経て2017年より百人町アルファクリニックの院長を務める。

百人町アルファクリニックでは、糸を使った切らないリフトアップから、切開部分が目立たないフェイスリフトまで患者様に適した方法をご提案していますが、若返り手術は決して急ぐ必要はありません。

一人ひとりの皮下組織や表情筋の状態に合わせた方法を探し「安全性」と「自然な仕上がり」を第一に心がけているため、画一的な手術をすぐにはいどうぞ、と勧めることはしていません。

毎回手術前の診断と計画立案に時間をかけすぎるため、とにかく安く、早くこの施術をして欲しいという方には適したクリニックではありません。それでも、リフトアップの施術を年間300件行っている実績から、患者様同士の口コミや他のドクターからのご紹介を通じ、全国から多くの患者様に当院を選んでいただいています。

このサイトでは、フェイスリフトやたるみに関する情報を詳しく掲載しています。どうか焦らず、十分に勉強した上で、ご自身に合ったクリニックをお選びください。もちろん、ご質問やご相談があれば、いつでもお気軽にお問い合わせいただければ幸いです。

目次

切開リフト後にボコボコや凹みが現れる4つの原因

切開リフト後の肌表面に凹凸が出る原因は、大きく4つの変化に分けられます。

腫れやむくみの引き方に場所ごとの差が出るため

術後数週間で目につくボコボコの多くは、皮膚の下に残った腫れやむくみのむらが原因です。耳の前から頬まで皮膚を広く剥がすため、場所や脂肪の厚みによってむくみが引く速さに差が出ます。早く引いた場所が凹み、周囲が膨らんで見えることで表面が波打った印象になります。

また、皮下に少量の血液がたまる血腫や、体液がたまる漿液腫(しょうえきしゅ)が膨らみを作るケースもあります。2012年以降に報告されたフェイスリフトの合併症では、全体のうち血腫が27%と最も多く、漿液腫は7%でした1)。

とはいえ、合併症そのものの頻度は低いとまとめられています。小さな血の塊や体液のたまりであれば、体に吸収されるにつれて表面の膨らみも平らに近づいていきます。

組織がくっつく途中で引きつれるため

大きな腫れが引いてきたころに目立ってくる凹凸は、剥がした組織どうしが再びくっつく過程で起こります。持ち上げた皮膚と、その下のSMAS(スマス:表情筋を包む膜)が治ろうとして新しい線維を作るとき、内側へ縮む力が働くためです。

この力が強い場所では皮膚が内側へ引っ張られ、口を動かしたときにえくぼ状の凹みや筋状の段差が浮き出ることがあります。触ると皮下にコリコリした硬さがあるのが特徴で、回復の途中で多くの人に見られる変化です。

皮下の硬さがほぐれる時期や過ごし方は、切開リフト後の拘縮・つっぱり感の原因と経過で詳しく紹介しています。

皮下脂肪の厚みや境界に段差が生じるため

顔の皮下脂肪は、薄い膜で仕切られた複数の区画(脂肪区画)に分かれています。この区画の並びは、手術で皮膚をどこまで剥がすかの目安になり、加齢で頬のしぼみ方が場所ごとに違う理由も、区画の並びで説明できると考えられています。

輪郭を整える基本は、深い区画にボリュームを足し、浅い脂肪をSMASで元の位置に戻すことです。ただ、剥がす深さがそろわなかったり、厚みの違う区画が隣り合っていたりすると、境目に段差が出ることがあります。とくに頬骨の下や口元の横は脂肪の厚みが切り替わり、影ができやすい場所です。

過去の糸リフトも段差の原因になります。溶ける糸リフトを2回以上受けてからフェイスリフトを受けた人では、手術中に線維化(組織が硬くなること)や組織のゆがみが見られ、10人中7人で皮膚がきれいにかぶらない状態やえくぼのような凹みが出たという報告があります2)。

糸が溶けたあとも組織の変化が残る場合があるため、過去の糸リフト歴は事前の診察で伝えておきましょう。糸リフトそのものの凹凸は、糸リフト直後のボコボコと凹みの違いで紹介しています。

縫い寄せた部分に細かな寄りが出るため

たるんだ組織を引き上げて糸で固定した直後は、縫い寄せた周囲に布を絞ったような細かな寄り(ギャザー)や盛り上がりが出やすくなります。とくに目立つのは、SMASを縫い縮める部分や、耳まわり・生え際の縫い目です。どの術式でも、周囲となじむまでには数か月を見込んでおきます。

SMASの扱い方による合併症の差を見ると、大きな血腫はディーププレーン法で1.22%、SMASを重ねて縫う方法で1.92%と、縫い縮める方法より多めでした3)。皮膚の一部が血流不足で傷む皮膚壊死が多かったのは、SMASを剥がして持ち上げる方法(1.57%)でした。

ただ、術式は合併症のわずかな差より、たるみの状態や目指す仕上がりに合わせて選ぶのが基本です。

凹凸の主な原因現れやすい場所と見た目の特徴触ったときの感触
腫れ・むくみのむら・少量の血腫や漿液腫頬全体や耳の下が波打つように膨らむ柔らかく弾力がある、または中がぷよぷよと揺れる
皮下の癒着と引きつれ頬の中央や口角の横に筋状の凹みやえくぼが出る皮膚の下にコリコリとした硬い板やしこりを感じる
皮下脂肪の厚みの差・過去の糸リフトの癒着頬の境目やこめかみ下に影のような段差が続く硬さは少ないが、指を滑らせると厚みの段差が分かる
SMASの固定や皮膚の縫い寄せによる寄り耳の前・耳たぶの下・生え際の傷まわりに小さな山ができる縫い目に沿ってプリッとした小さな盛り上がりがある

院長より:仕上がりは、皮膚と脂肪が下がっている方向を部位ごとに確かめながら引き上げて固定します。SMAS下の操作では顔面神経の損傷に非常に気を付けており、神経刺激装置で確認しながら剥離を進めます。

切開リフト後のボコボコはいつごろ落ち着き、どう変化していくのか

術後の凹凸は、時期によって目立つ原因が入れ替わりながら、少しずつなだらかになっていきます。下の時期は一般的な目安で、手術の範囲や腫れの引き方で前後するため、担当医の見立てを優先してください。

術後2週間までは腫れと縫い目が目立つ

抜糸(1週間前後)が終わり、大きな腫れが引き始める術後2週間ごろまでは、強い腫れと内出血が顔の形を左右します。時間帯や寝返りの向きでむくみが動くため、日によって膨らむ場所や左右差が変わりやすい時期です。

耳の前後の傷口は、傷あとが広がるのを防ぐために少し盛り上げて縫うことがあり、抜糸のころにポコポコしていても、多くは時間とともに平らになります。

術後3週間〜2か月は硬さと凹みが目立つ

大きな腫れが引いてくると、むくみに隠れていた皮下の硬さやボコボコがかえって目につくようになります。剥がした面どうしがくっつこうとして線維を張り巡らせ、皮膚が部分的に内側へ引っ張られるためです。

無表情では平らでも、頬が動いた瞬間に引っ張られた場所が凹んで見えるのが特徴です。多くは組織がくっついていく途中の変化なので、無理に伸ばさず、硬さが緩んでくるのを待ちます。

術後3〜6か月で表面が整っていく

術後2か月を過ぎると、皮下で硬く縮んでいた組織が少しずつ柔らかさを取り戻します。3か月目ごろにはゴツゴツした感触が和らぎ、表情を動かしたときの引きつれや浅い凹みも目立ちにくくなっていきます。

6か月がたつころには、SMASを縫い寄せた部分の盛り上がりや皮膚の寄りも周囲になじんでくるのが目安です。半年を過ぎても明らかな段差やえくぼが変わらずに残るなら、手直しを考える段階です。

術後の経過時期肌表面の見え方と変化この時期の過ごし方の目安
手術当日〜2週間全体のむくみと、耳まわり・生え際の縫い目に沿った盛り上がりが目立つ圧迫バンドの装着を守り、頭を少し高くして休む
術後3週間〜2か月大きな腫れが引く一方で、皮下の硬さやえくぼ状の凹みが浮き出やすい硬い部分を強く揉まず、自然にほぐれるのを待つ
術後3か月〜6か月内側の硬さが徐々にほどけ、引きつれや小さな段差が平らになじんでいく半年時点で残る段差があれば担当医と診察で相談する

当院では、抜糸のあと1〜2か月後と、できれば6か月後に検診に来ていただき、左右差や凹凸は最短1か月で、軽快の傾向がなければ修正を考えます。

顔の場所によって違う凹凸の出方と見え方の特徴

同じボコボコでも、頬の中央・耳のまわり・あご下では皮膚の厚みや動き方が違うため、出方も落ち着き方も変わります。

頬の中央や口元に出るえくぼのような凹み

頬の高い位置から口角の横は、笑う・話すといった動きで皮膚と表情筋が絶えず動く場所です。SMASを糸で留めた箇所や皮膚を剥がした端のラインに沿って、口角を上げたときにえくぼのような凹みや線が出ることがあります。

皮膚が薄い人や頬の脂肪が少ない人ほど、内側の糸の引き込みが表面へ伝わりやすい傾向にあります。時間とともに浅くなることが多いものの、糸が皮膚に近い浅い層にかかっているときは、その糸を緩める処置で引き込みが取れることがあります。

耳の前や耳たぶの下にできる皮膚の盛り上がり

耳の前や耳たぶの下、耳の後ろの生え際は、引き上げた皮膚の余りを切り取って縫い合わせる終着点です。長い皮膚を短い傷口へ縫い縮めるため、傷の端やカーブに「ドッグイヤー」と呼ばれる小さな皮膚の立ち上がりができることがあります。

小さな盛り上がりなら、皮膚がなじむにつれて数か月かけて平らになっていくことが多いです。半年を過ぎてもつまめるほどの余りが残るときは、局所麻酔で余分な皮膚を整える処置で直せることがあるので、検診で診てもらいましょう。

あご下から首すじにかけて現れる筋状のボコボコ

あご下や首のたるみを同時に引き上げた場合、あご裏から首すじに横の段差や縦の筋が目立つことがあります。首の皮膚は薄く、すぐ下に広頸筋(こうけいきん)が広がるため、筋肉の縫い寄せや皮下の癒着が表面に浮き出やすい構造です。

上を向いたときに突っ張る凹凸の多くは、皮膚と広頸筋がくっつく途中の反応で、重力でむくみが残りやすいあご下では、頬より遅れてゆっくり平らになっていくことがあります。

様子を見てよい凹凸と早めに診察を受けたい症状の境目

術後のボコボコの大半は時間とともに落ち着きます。ただ、皮下での出血や感染のサインを見逃さないことが、きれいな仕上がりを守るうえで重要です。

痛みや熱がなく少しずつ変わる凹凸

触ってコリコリした硬さがあっても、次のような状態なら治る途中の反応と考えられます。

  • 強い痛みや熱っぽさがなく、1週間前より膨らみが小さくなっている
  • 皮膚の色が周囲と同じ肌色を保っている
  • 朝は目立っても、昼から夜にかけて体を動かすと目立たなくなる

この場合は押しつぶそうとせず、指示された内服や圧迫ケアを続けながら次の検診まで見守ります。

急な膨らみや痛みは血腫・漿液腫を疑う

術後数日以内に片側の頬や首が急にパンパンに膨らみ、脈打つような強い痛みや赤黒い変色が現れたときは、皮下で出血が続く血腫のサインです。また、腫れが引き始めたころに水が揺れるような柔らかい膨らみが出てきたときは、体液がたまる漿液腫が疑われます。

米国でフェイスリフトを受けた11,300人のデータでは、術後30日以内に救急受診や再手術が必要になった大きな合併症は1.8%で、最も多いのは血腫(1.1%)、次いで感染(0.3%)でした4)。ほかの手術と同時に受けた場合は最大3.7%と、フェイスリフトだけ(1.5%)より多く、男性は血腫、BMI25以上の人は感染が起こりやすい傾向でした。

ディーププレーン法だけを集めた分析でも、血腫は全体で2.7%、処置が必要な大きな血腫は0.97%でした5)。血腫を放置すると皮膚の血流が悪くなったり、しこりが残ったりするため、気づいた時点で執刀医へ連絡してください。

当院では、夜間や休診日(水曜)のご連絡はメールで受けており、手術当日は深夜帯までメールを確認しています。

赤みや熱、傷口からの液が続くとき

術後数日たっても腫れが大きくなっていき、熱感や赤みが広がる場合は、細菌感染や皮膚の血流不足の恐れがあります。傷口から濁った液が出たり、皮膚が白っぽく、あるいは紫色っぽく変わったりしているときも早めの診察が欠かせません。

早めに受診したい症状皮膚の下で疑われる変化受診時の主な対応
数時間のうちに片側の頬や首が急に膨らみ、強い痛みや皮膚の張りを感じる血腫(皮下での持続的な出血)溜まった血液を取り除き、出血部位の止血を行う
膨らんでいる部分を押すと、中で液体がタプタプと動くような感触がある漿液腫(体液のたまり)細い針などで溜まった体液を吸引し、圧迫を調整する
術後数日たってから赤みや熱っぽさが増し、傷口から膿や濁った液がにじみ出る傷口や皮下の細菌感染洗浄や抗菌薬の処方・点滴などで感染を抑える
耳の前の皮膚の色が白っぽく抜ける、または黒ずんで硬いかさぶたのようになる皮膚の血流不足圧迫を緩め、血流を助ける外用薬や傷口の保護を行う

表の変化が1つでもあれば、次の検診を待たずに手術を受けた医療機関へ相談してください。

凹凸の治りを妨げないために自宅でのケアと過ごし方を見直す

自己流のマッサージや強すぎる圧迫が、かえって切開リフト後の凹凸を長引かせてしまうことがあります。回復を妨げない日常のポイントを押さえておきましょう。

強いマッサージや押しつぶしは控える

マッサージを始めてよいと医師から言われるまでは、膨らみを強く揉んだり、美顔器やローラーで押し流したりするのは控えてください。皮下では剥がした組織が血管をつなぎ直しながらくっついている最中で、強い力を加えると再び剥がれるおそれがあります。

剥がれた隙間に血液や体液がたまると、周りに膜ができて消えにくいボコボコに変わったり、内側の糸が緩んで新しい段差ができたりすることがあります。

圧迫の強さが凹凸の出方に関わる

術後の圧迫は、剥がした皮膚と下の組織を密着させ、血液や体液がたまるのを防ぐ大切なケアです。ただ、きつく締めすぎると圧迫の縁や折れ目が食い込み、頬やあご下に深い溝やむくみの段差ができることがあります。

さらに、強い圧迫で皮膚の血流が妨げられると、傷の治りが遅れて皮下の硬さも長引きます。バンドがよじれたり折れたりしていないかを確かめ、案内された強さと期間で均一に圧迫を続けるのが、滑らかに落ち着かせる近道です。

当院では、ドレーン(管)を術後3日目まで入れ、フェイスバンドは1か月、着けられる時間だけでかまいません。

長湯・激しい運動・喫煙が治りを遅らせる

体が温まって血流が急に増えると、治りかけの細い血管から水分がにじみ出てむくみがぶり返します。少なくとも抜糸までは長湯や激しい運動、飲酒を控え、ぬるめのシャワーで済ませるのが一般的な目安です。

とくに注意したいのがタバコ(加熱式やニコチン入り電子タバコを含む)です。ニコチンで細い血管が縮むと皮膚に届く酸素や栄養が減り、傷の治りが遅れたり、皮膚の一部が傷んだりしやすくなります。禁煙は受動喫煙も含めて続け、その期間は担当医に確かめておきます。

毎日の過ごし方で気をつけたいのは、次の点です。

  • 洗顔やスキンケアのときは、肌をこすらず泡や手のひらで優しく押さえるように触れる
  • 眠るときは枕を普段より少し高くし、片側の頬だけが下にならないよう仰向けを心がける
  • 硬さや凹凸が気になり始めたら、手でほぐすケアを始める時期を執刀医に確認する

当院の再開の目安は、翌日に首から下のシャワー、ドレーンを抜いた翌日に洗髪と湯船、抜糸の翌日に軽い運動、2週間後に激しい運動・飲酒・喫煙です。傷のケアは保湿と紫外線対策で、2か月は保湿を続けていただきます。

半年を過ぎても残る切開リフトの凹みや段差を直す方法

術後6か月を過ぎて腫れや硬さが落ち着いたあとも凹みや段差が残る場合は、凹凸が「盛り上がり」「くぼみ」「内側の引きつれ」のどれにあたるかを見極めて処置を選びます。

盛り上がりは注射や吸引で減らす

皮下の傷あと組織(瘢痕:はんこん)が分厚く残って盛り上がっている場合は、線維を柔らかくして小さくするステロイド局所注射などが使われます。引き上げで皮下脂肪の厚みが目立つなら、脂肪を減らす注射や細い管での吸引も選択肢の一つです。

ただし、量や深さが合わないと逆に凹みすぎたり皮膚が薄くなったりするリスクを伴います。そのため、1回で大きく減らさず、間隔をあけて少量ずつ調整していくのが基本です。

凹みは脂肪注入やヒアルロン酸で補う

脂肪の境目などがへこんで影になっている場合は、ヒアルロン酸や自分の脂肪で補います。フェイスリフトに脂肪注入を組み合わせた15研究をまとめた分析では、頬やこめかみ、ほうれい線などに脂肪を足すと、顔のボリュームと見た目の評価が良くなったとされています6)。

一方で、顔への脂肪注入で報告された有害事象298件の内訳では、長引く腫れが24.5%、しこりや段差などの凹凸が19.1%を占め、脂肪が血管に入ってしまう重いもの(13.4%)も含まれていました7)。

入れた脂肪のふくらみすぎ(肥大)や凹凸は、追加の修正が必要になることもあります。そのため1か所にまとめて多く入れず、溶かせるヒアルロン酸で浅く整えたり、脂肪を細かくして複数の深さに少しずつ分けて入れたりするのが一般的なやり方です。

強い癒着や引きつれは剥がして直す

皮膚の裏側が深い組織と強く癒着してえくぼになっているときや糸の引き込みがあるときは、針や細い器具で癒着を切り離す処置(サブシジョンなど)や、皮膚を剥がして敷き直す修正手術を行います。再びくっつくのを防ぐため、隙間に少量のヒアルロン酸や脂肪を挟む方法もあります。

耳の前のドッグイヤーや傷あとの段差なら、その部分の皮膚だけを縫い直す小さな処置で済むこともあります。どこまで手を加えるかは、凹みが「表情を動かしたときだけ出るのか」「無表情でも常にあるのか」を診察で確かめたうえでの判断です。

残っている凹凸の状態主な修正アプローチ処置の特徴と注意点
傷あと組織(瘢痕)や脂肪による部分的な盛り上がり組織を柔らかくする注射・部分的な脂肪調整凹みすぎを防ぐため、様子を見ながら少量ずつ行う
脂肪の境目の段差・頬やこめかみのくぼみヒアルロン酸注入・マイクロ脂肪注入入れすぎによる新しいしこりを避け、薄く広げて補う
内側の強い癒着・糸の引き込み・傷端の皮膚余り癒着の剥離・糸の調整・部分的な再縫合や再リフト根本の引きつれを解除できるが、再びダウンタイムを伴う

修正手術や他院での手直しを検討するときの判断基準

切開リフト後の凹凸の手直しは、いつ、どの医師に相談するかで、体への負担も仕上がりも変わります。

手直しは術後6か月以降が目安

血腫などの急ぎの処置を除けば、凹凸を整える修正手術は、前回の手術から半年〜1年ほど待つのが一般的な目安です。組織がまだ硬い時期は出血しやすく、自然に消える凹凸と残る段差の見分けもつきにくいためです。

硬い時期に無理に剥がすと、かえって強い引きつれを招くこともあるため、焦らずに検診で経過を確かめながら待ちます。

2回目以降の手術が難しくなる理由

2回目以降のフェイスリフトでは、SMASが薄くもろくなっている、組織が硬くなっている(線維化)、前回の傷あとで層の深さが分かりにくい、といった変化がよく見られます。SMASの下の層で再手術を行った70件では、82.9%でSMASと広頸筋に線維化や厚さの変化、癒着の増加などが見られました8)。

この70件では、顔の神経の一時的な麻痺が7.1%と初回の手術(2.2%)より多く、再手術から18か月以内にさらに手直しをした人も11.4%いました8)。

2回目以降の手術の合併症の割合は、研究によって2.0〜21.1%と幅があり、全体としては初回と同じくらいでした9)。ただ、硬くなった組織の中で顔の神経を守りながら剥がす手術になるため、再手術の経験がある医師に相談するほうが安心です。

他院の手術後の相談で伝えたいこと

手術を受けた院とは別の医療機関で修正やセカンドオピニオンを受けるときは、これまでの経過を伝えると診察が進めやすくなります。前回どこまで剥がしたか、SMASをどう処理したかで、癒着ができる位置が変わるためです。

診察で伝えたい項目具体的な内容の例診察で確かめるポイント
前回の切開リフトの時期と術式手術を受けた年月、切開した範囲(耳前のみ・首まで等)、SMAS処理の有無組織の硬さが落ち着く時期に達しているか、どの深さに癒着があるか
同時に受けた施術や過去の施術歴頬やあご下の脂肪吸引、脂肪注入、過去の糸リフトやハイフの回数凹凸の原因がリフトの引きつれか、脂肪の増減や糸の跡か
術後から現在までの変化の経過いつごろからボコボコに気づいたか、血腫を抜く処置や注射を受けたか今後さらに自然になじむ余地があるか、手直しが向く状態か

術前や術後1か月・3か月ごろの写真があれば、凹凸がまだ良くなっている途中か、段差として残っているかを医師が見比べられます。写真がなくても、傷あとの状態や触診で癒着の位置は確かめられるので、気になっていることをそのまま伝えてください。

当院でも他院の切開リフト後の修正や相談を受けています。前の院の情報が得られないこともあるため、状況を甘く見ず、慎重に計画して執刀します。

よくある質問

切開リフト後のボコボコや凹みは何か月くらいで目立たなくなりますか?

多くは術後3〜6か月ごろにかけて目立たなくなっていくのが目安です。皮下の硬さとともに凹凸が目立ちやすいのは、術後3週間〜2か月ごろです。

むくみは比較的早く引きますが、癒着や縫い目の盛り上がりがなじむには半年ほど見込んでおくと安心です。回復の速さには個人差があるので、担当医の見立てを優先してください。

切開リフト後のボコボコを早く治すために温めたりマッサージしたりしてもよいですか?

担当医から許可が出るまでは、自己判断で温めたり強く揉んだりするのは控えてください。皮膚がくっつく途中で強い刺激が加わると、出血や体液がたまって硬いしこりになる恐れがあります。ほぐすケアを始めてよい時期は、検診で確かめておくと安心です。

切開リフト後の凹みが笑ったときだけえくぼのように出るのは失敗ですか?

笑ったときだけ出るえくぼのような凹みの多くは、失敗ではなく、SMASの固定糸や皮下の癒着が皮膚を引っ張る一時的な反応です。時間とともに浅くなっていきます。

半年を過ぎても変わらずに続くときは、糸を緩めたり癒着を切り離したりする処置で直せることがあります。

切開リフト後のボコボコは顔の脂肪吸引を同時に受けた場合でも同じように落ち着きますか?

脂肪吸引を同時に受けた場合は、リフトだけのときより皮下の硬さやつっぱりが強めに出ることがあり、落ち着くまでの期間も長めに見ておくのが無難です。半年たっても残る場合は、引きつれか脂肪の厚みの差かを診察で確かめましょう。

他院で受けた切開リフト後のボコボコや凹みでも修正の相談はできますか?

手術を受けた院とは別の医療機関でも、セカンドオピニオンや修正の相談はできます。術後半年たっていなければ、まず自然になじむ見込みがあるかを診てもらい、半年以上たって残る段差なら、注入や癒着の剥離、再リフトなどから合う方法を考えます。

前回の手術の時期や術式、術後の写真があれば持参すると、診察が進めやすくなります。

参考文献

1) Fang AH, de la Torre J. (2025). A Systematic Review of Rhytidectomy Complications and Prevention Methods: Evaluating the Trends. Annals of plastic surgery, 94(6S Suppl 4), S502-S516. https://doi.org/10.1097/SAP.0000000000004272

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3) Jacono AA, Alemi AS, Russell JL. (2019). A Meta-Analysis of Complication Rates Among Different SMAS Facelift Techniques. Aesthetic surgery journal, 39(9), 927-942. https://doi.org/10.1093/asj/sjz045

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