切開リフトの手術過程と回復期間 – ダウンタイムを徹底解説

加齢とともに目立ちやすくなるたるみやほうれい線に悩む方は少なくありません。切開リフトは、皮膚だけでなく筋膜にアプローチしてフェイスラインを引き上げる手術です。

自然な若返りを期待できる一方で、「どのような手順なのか」「どのくらいのダウンタイムを見込めばいいのか」といった疑問を抱く方も多いでしょう。

ここでは切開リフトの手術過程から回復期間までを詳しく解説し、ダウンタイム中のケア方法や費用、クリニックを選ぶ際の考え方まで幅広く取り上げます。

切開リフトとは何か

顔まわりのたるみが気になってきた場合、さまざまなリフト手術を検討する方が増えています。切開リフトは、皮膚のたるみと筋膜のゆるみを同時に引き上げる施術です。

ここでは切開リフトの特徴を踏まえながら、どんな症状があると受けやすいのかを確認します。

基本的な施術概要

切開リフトは、フェイスラインや頬のたるみが顕著になってきた際に検討されることが多い手術です。髪の生え際や耳の周囲など、目立ちにくい部位を切開して皮膚とSMAS（表在性筋膜）を引き上げる点がポイントです。

加齢に伴い下がってしまった組織を物理的に持ち上げるため、クリニックによっては頬や顎まわりのラインがすっきり見えやすくなります。

切開リフトと他の施術の比較

手術名	特徴	ダウンタイムの長さ	適している年齢層
切開リフト	皮膚・筋膜を切開し、広範囲にアプローチ可能	中程度から長め	40代以降でたるみが強い
糸によるリフト	溶ける糸や特殊な糸で皮膚を引き上げる	短い場合が多い	30代～50代
レーザーによる引き締め	切開なしで皮膚を引き締めるが、筋膜へのアプローチは限定的	比較的短い	30代前後の軽度のたるみ
ヒアルロン酸注入	肌のボリュームを補い、たるみを軽減する	ほとんどない	20代～40代の軽度のたるみ

切開によるリフトは他の施術方法に比べてより大きなたるみへの対応が期待できます。ただし糸やレーザー施術に比べると回復期間が長めなので、自分の生活リズムやたるみの程度に合わせて選ぶことが大切です。

他のリフト手術との違い

切開リフトは目立ちにくい部位を切開するため、傷あとは髪や耳の裏に隠れやすいです。また皮膚だけでなく筋膜まで調整するため、効果が長持ちする傾向があります。

さらに中顔面から下顔面にかけての大幅なリフトアップが期待できる点も特徴です。一方、軽度のたるみにはオーバートリートメントになる場合があるので、適応とならない可能性もあります。

適応となりやすい症状

切開リフトを検討しやすい主な症状を挙げてみます。

• 頬のたるみがかなり目立つ
• マリオネットライン（口元のたるみ）に悩んでいる
• あご下やフェイスラインがぼやけてきた
• ほうれい線が深くなっている
• 糸やレーザーの施術では十分なリフト効果を得られなかった

こうした症状が複合的に現れていて、より大きな引き上げが必要と感じる場合には切開によるリフトを検討するとよいでしょう。

切開リフトのメリットとデメリット

切開リフトにはたるみに対する確かな引き上げが期待できますが、手術である以上、ダウンタイムやリスクも存在します。ここでは両面を正しく理解したうえで、検討材料を増やしましょう。

メリット

切開リフトによる大きな利点は、筋膜を含めて組織をしっかりとリフトアップできることです。これにより、フェイスラインが引き締まり、若々しい印象を得られる可能性が高まります。

また、そのリフト効果が比較的長く維持される場合が多い点も魅力といえます。

メリットの具体例

メリットのポイント	具体的な内容
強力なリフトアップ	皮膚とSMASをまとめて引き上げるため、高い効果が得られやすい
効果の持続が長め	糸などの治療に比べ、リフト状態が長期間維持しやすい
重度のたるみにも対応可能	頬やフェイスラインが大きく下がったケースでも効果が見込みやすい

デメリット

デメリットとして挙げられるのは、やはり術後の回復期間です。切開部位があるため、腫れや内出血、痛みが一定期間続くケースが多くなります。

さらに、傷あとの経過には個人差があるため、体質によっては傷が目立つリスクも否定できません。

• 回復に時間がかかりやすい
• コストが高額になりやすい
• 傷あとのケアが必要になる
• 麻酔や痛みに対する不安を感じる方も多い

比較的ダウンタイムが長いのは切開リフトならではの特徴でもあるため、仕事や家庭のスケジュールを考慮して慎重に検討することをおすすめします。

向いている方・向いていない方

切開リフトが特に向いている方は、頬やあご下のたるみが顕著になっている方です。

一方、まだ軽度のたるみしかない段階で切開手術を行うと、ダウンタイムや費用が大きくなるだけでなく、必要以上に皮膚を引っ張り上げてしまうリスクも考えられます。

年齢や生活環境を踏まえ、医師と相談しながら適切な時期を決めることが大切です。

向いている方

• 強いたるみに悩んでいる
• 糸や注入などの軽めの施術では満足できなかった
• フェイスライン全体をしっかり引き上げたい

向いていない方

• 軽度のたるみしかない
• 長期のダウンタイムをとれない
• 小規模な改善で十分と感じる

カウンセリングから手術当日までの流れ

切開リフトを受けると決めたら、まずはカウンセリングの予約をとります。その後、手術までの準備や注意点を把握しておくことで、術後のダウンタイムもスムーズに乗り越えやすくなります。

カウンセリング時に確認すべきこと

カウンセリングでは、たるみの程度や皮膚の状態をチェックしたうえで、切開リフトが妥当かどうかを医師と相談します。

ダウンタイムの長さや痛みへの対策、傷あとのケア方法についても具体的に尋ねると安心です。過去に美容医療を受けた経験がある場合や、持病・服薬状況なども正直に伝えることが重要です。

手術前の準備

カウンセリングが終わると、手術当日までに必要な検査や事前準備に取りかかります。血液検査や心電図、既往症がある方は担当医師や麻酔科医との面談が必要になることもあります。

サプリメントや服用薬などは、手術の前後で制限が生じる場合があるため、必ず事前に相談してください。

手術前の準備のポイント

準備項目	注意点
血液検査・心電図など	全身麻酔や局所麻酔の安全性を確かめるために行う
サプリメントの確認	ビタミン系や漢方薬なども含め、医師に相談する
服用中の薬の調整	血液をサラサラにする薬を服用中の場合は要相談
禁煙・禁酒の期間	血行状態を考慮して手術前後の喫煙・飲酒は控えたほうが良い

前日の注意点と当日の流れ

手術の前日は体を清潔にして十分な睡眠をとることが大切です。入院が必要なケースは少ないものの、麻酔の種類によっては家族や友人の付き添いが必要になることもあります。

身分証明書や支払いに必要なものなど、当日持参するものを事前に確認しておきましょう。

• 手術前日はアルコールを控える
• 当日はメイクを最小限にするか、ノーメイクで行く
• 顔や頭皮を清潔にしておく
• 付き添いが必要かどうかを事前に確認する

切開リフトの施術手順

ここでは、切開リフトの具体的な施術の流れ（手術台に入ってから終わるまで）を紹介します。

麻酔方法と切開部位

切開リフトでは、局所麻酔と静脈麻酔を組み合わせる方法や全身麻酔を用いる方法があります。

大きく切開する手術の場合、少しでも痛みや恐怖感を和らげるために静脈麻酔や全身麻酔を選ぶことが多いです。切開部位は多くの場合、耳の周囲や髪の生え際で、傷が目立ちにくい場所を選びます。

麻酔と切開範囲

麻酔の種類	特徴	適している症例
局所麻酔のみ	施術部位のみ麻酔し、患者は意識がある	小規模な切開リフトなど
局所＋静脈麻酔	意識は朦朧とする程度、痛みや恐怖心を和らげる効果がある	中程度の施術
全身麻酔	完全に眠っている状態で行う	広範囲の切開や長時間の施術

皮膚・筋膜の調整

医師は切開した部位から皮膚をめくり、たるみの原因となっているSMASと呼ばれる筋膜層を引き上げます。

SMASをしっかりと処理することで、単に皮膚を引っ張るだけではなく、奥の組織から根本的にリフトアップすることができます。余分な皮膚は必要に応じて切除し、たるみを解消します。

• SMASを立体的に引き上げる
• たるみが強い箇所はしっかりと固定する
• 皮膚に負担をかけない張力に調整する

縫合のポイントと皮膚の保護

切開部分を縫合する際には、皮膚の負担を最小限に抑えるため、糸や針の種類、縫合の方法が工夫されます。傷あとは髪の生え際や耳の後ろなどに隠れるようにして、術後の見た目に配慮します。

縫合後は消毒や保護テープの貼付などを行い、感染やむくみが広がらないようにケアします。

縫合時に考慮する要素

要素	配慮される理由
縫合糸の素材	副作用を抑えるため、吸収糸やナイロン糸などを使い分ける
縫合の方向	傷あとが目立ちにくくなるように工夫
テープの使用	傷口の保護とむくみ防止
消毒	感染リスクを軽減し、術後の回復を促す

術後のダウンタイムと経過

切開リフトには、必ずある程度のダウンタイムが生じます。術後の状態や回復のプロセスを事前に知っておくと、適切な準備ができるでしょう。

術後すぐの状態

術後は麻酔が切れた後に痛みや圧迫感、違和感を感じる場合があります。顔全体が引き締まっているような感覚や、切開部位を中心に腫れと内出血が出やすいです。

医師からは傷口のケアや痛み止めの使用方法などが案内されるので、指示に従って対応します。

術後初期に起こりやすい症状

• 軽度から中程度の痛み
• 腫れやむくみ
• 内出血
• 表情が動かしにくい感覚

1週間から2週間まで

切開リフトによる施術後のダウンタイムは、1週間から2週間の間に大きな山場を迎えることが多いです。

多くの方は1週間前後で抜糸を行い、腫れや内出血も徐々に収まります。ただし個人差があるため、まだ違和感が残る可能性は十分にあります。

ダウンタイム中期に起こりやすい経過

時期	主な症状	ケアの方法
術後1週間前後	抜糸が行われる	シャワーのみで様子をみる
術後2週間前後	腫れや内出血が軽減してくる	軽い運動やストレッチを再開する

1か月以降の変化

1か月を過ぎると、大まかな腫れは落ち着き、フェイスラインが引き締まってきた状態を実感しやすくなります。傷あとも徐々に目立ちにくくなり、内出血の痕が消える場合も多いです。

ただし、完全に安定するまでには3か月から6か月ほどかかることが一般的です。

• 傷あとは耳の後ろや髪の生え際に隠れるため、日常生活でも目立ちにくい
• 周囲にバレるリスクが徐々に下がる
• 皮膚の感覚が戻り始める

術後の過ごし方と副作用のリスク

切開リフトによるダウンタイムを上手に乗り越えるためには、術後の生活習慣やケア方法が重要です。また、起こりうる副作用を理解し、トラブルを未然に防ぐことも大切です。

術後の生活上の注意点

手術後は血行が促進される行為を控える必要があります。たとえば長時間の入浴やサウナ、激しい運動などは腫れや内出血を悪化させる原因になる可能性があります。

食事面では刺激が強いスパイスやアルコールなどを控え、体内の炎症を抑えるよう心がけるとよいでしょう。

術後の過ごし方

• 入浴はシャワーで短時間済ませる
• 顔を強くこすらない
• うつ伏せ寝は避けて、なるべく仰向けで眠る
• アルコールや辛い食品は控え、体調を整える

起こりうる副作用とトラブル

切開リフトでは、腫れや内出血のほかにもまれに感染症や血腫、神経麻痺などのリスクが生じる可能性があります。症状が重い場合や長引く場合には、すぐに医師に連絡して適切な処置を受けることが不可欠です。

また、施術後のケアを怠ると、傷あとが予想よりも目立つ場合があります。

切開リフトで想定されるリスク

リスク	起こる可能性がある症状	予防・対応策
感染症	傷口の赤みや膿、熱感	早期の受診と抗生剤の使用
血腫	大きな内出血による腫れや痛み	直後の圧迫固定と安静が大切
神経麻痺	一時的な知覚鈍化、表情の違和感	時間経過とともに回復することが多い
傷あとの肥厚化	傷口が赤く盛り上がる	保湿やテーピング、医師の処方薬など

トラブルを回避するための対策

トラブルを防ぐためには、医師の指示に従った術後ケアが重要です。患部を清潔に保ち、定期的にクリニックを受診して経過をチェックしてもらうと安心です。

早めに気になる症状を相談することで、悪化を防ぎやすくなります。

• 定期検診を欠かさず受ける
• 傷口の赤みや痛みが強いと感じたら早めに相談する
• 指示された期間はテープ固定やサポーターなどをしっかり行う

ダウンタイムを短くするためのポイント

切開リフトのダウンタイムは個人差があるとはいえ、できるだけ短くしたいと考える方が多いでしょう。ここでは回復を促進し、生活への影響を軽減するために実践しやすい方法を紹介します。

回復を促進する生活習慣

ダウンタイムを短くするためには、体の免疫力と治癒力を高める生活習慣を心がける必要があります。睡眠をしっかりとることや、バランスの良い食事をとることはとても大切です。

ビタミンCやたんぱく質を積極的に摂取することで、皮膚の回復を促す助けになります。

回復を促す食材

食材	効果	摂取のポイント
ビタミンC豊富な果物	コラーゲン生成をサポート	キウイやいちご、柑橘類を適度に取り入れる
タンパク質豊富な肉	傷の修復に必要なアミノ酸	赤身肉や鶏肉のささみ、魚介類などをバランスよく
大豆製品	植物性たんぱく質を補給	豆腐や納豆、豆乳などを食事に取り入れる
緑黄色野菜	ビタミンやミネラルを補給	ピーマン、ブロッコリー、ホウレンソウなどを活用

痛みや腫れに対するケア方法

痛みや腫れを和らげるには、氷や冷却パックで冷やすと効果的です。ただし長時間冷やすと血行が悪くなり、治りが遅れる可能性もあるため、適度な時間で行いましょう。

痛み止めの服用も医師の指示に合わせて行うと安心です。また、頭を少し高めにして寝ることで腫れやむくみが軽減しやすくなります。

• 氷や保冷剤はガーゼに包んで直接肌に当てない
• 冷やしすぎないように注意し、適度な間隔で行う
• 痛み止めは処方されたタイミングを守る
• むくみ防止のため、就寝時に頭の位置を少し高くする

クリニックとの連携とアフターケア

ダウンタイムをうまく乗り越えるためには、クリニックのアドバイスが大きな助けになります。術後のチェックや処方薬の使い方など、定期的に連絡を取りながら状況を伝えることが大切です。

少しでも異常を感じたら、遠慮せずに医師に連絡して早期対応を心がけましょう。

アフターケアにおける連携ポイント

連携項目	内容
定期健診	術後1週間、1か月、3か月などのタイミング
処方薬や塗り薬の使用法	傷あとの回復を促すクリームや抗生物質の使用
リハビリやマッサージ方法	フェイスラインを整える筋肉のケア
ライフスタイル指導	喫煙や飲酒、睡眠や食生活のアドバイス

費用やクリニック選びの考え方

切開リフトを検討するとき、手術費用やクリニック選びも重要なポイントです。費用は施術範囲やクリニックの設備によって変動しますし、医師の技術力も仕上がりを左右する要素となります。

料金の目安と費用項目

切開リフトの費用はおおむね数十万円から百万円を超えることもあります。費用項目には手術代のほか、麻酔費用や術後のケア代、通院費などが含まれます。

カウンセリング時には、すべて合わせた合計額を明確にしてもらい、追加費用の有無などを確認しておくと安心です。

費用の主な内訳

• 手術費（執刀料）
• 麻酔費用
• 術後診察・フォローアップ費用
• 検査費用（血液検査など）
• お薬代（痛み止めや軟膏、消毒液など）

カウンセリングで確認しておきたいこと

カウンセリングでは、担当医師の経験や実績のほか、前後の症例写真を見せてもらうことも大切です。実際の仕上がりのイメージを共有できるかどうかが成功のカギになります。

さらに、術後のアフターケアが充実しているかを確認し、疑問点は遠慮なく質問する姿勢を持つと納得のいく選択につながりやすいです。

カウンセリングで意識したい質問

• 「この方法を選ぶメリットとデメリットは何ですか？」
• 「自分の症状でどの程度のリフトアップが期待できますか？」
• 「腫れや痛みが強い場合、どのように対処してくれますか？」
• 「アフターケアは何回くらい通院できますか？」

適切なクリニックの選び方

クリニックを選ぶ際は、医師の技術力やアフターケア体制、費用面など複数の視点で検討するとよいでしょう。一見安価に感じても、術後のサポートが不十分だとトラブルに発展する可能性があります。

信頼できるクリニックほど、患者の安全と満足を第一に考え、丁寧な説明を行います。

• 手術件数や医師の経歴を確認する
• 前後の症例写真を複数見せてもらう
• 実際にクリニックに足を運んで雰囲気を確かめる
• 値段だけでなく、アフターケアや口コミを総合的に判断する

以上のポイントを踏まえてクリニック選びを行うと、納得のいく施術につながりやすいです。費用やダウンタイム、医師との相性など、自分に合った条件をきちんと整理してから最終決定すると良いでしょう。