年齢とともに気になるお顔のシワやたるみ。鏡を見るたびに、ため息をついてしまう方もいらっしゃるかもしれません。
この記事では、シワやたるみがなぜできるのか、その原因を解説するとともに、ご自宅でできる基本的なたるみケアから、生活習慣の見直し、さらに美容クリニックで受けられる専門的なたるみ治療まで、幅広くご紹介します。
シワ・たるみの改善を目指す全ての方へ、ご自身に合った方法を見つけるための一助となれば幸いです。
医学博士 日本形成外科学会 専門医
日本美容外科学会 会員
【略歴】
獨協医科大学医学部卒業後、岩手医科大学形成外科学講座入局。岩手医科大学大学院卒業博士号取得、2014年に日本形成外科学会専門医取得。大手美容クリニックの院長を経て2017年より百人町アルファクリニックの院長を務める。
百人町アルファクリニックでは、糸を使った切らないリフトアップから、切開部分が目立たないフェイスリフトまで患者様に適した方法をご提案していますが、若返り手術は決して急ぐ必要はありません。
一人ひとりの皮下組織や表情筋の状態に合わせた方法を探し「安全性」と「自然な仕上がり」を第一に心がけているため、画一的な手術をすぐにはいどうぞ、と勧めることはしていません。
毎回手術前の診断と計画立案に時間をかけすぎるため、とにかく安く、早くこの施術をして欲しいという方には適したクリニックではありません。それでも、リフトアップの施術を年間300件行っている実績から、患者様同士の口コミや他のドクターからのご紹介を通じ、全国から多くの患者様に当院を選んでいただいています。
このサイトでは、フェイスリフトやたるみに関する情報を詳しく掲載しています。どうか焦らず、十分に勉強した上で、ご自身に合ったクリニックをお選びください。もちろん、ご質問やご相談があれば、いつでもお気軽にお問い合わせいただければ幸いです。
シワとたるみが発生する主な原因
シワやたるみは、様々な要因が複合的に絡み合って発生します。主な原因を知ることは、効果的な対策への第一歩です。
加齢による肌の変化
年齢を重ねると、肌のハリや弾力を保つコラーゲンやエラスチンといった成分が自然に減少していきます。また、これらの線維を生成する線維芽細胞の働きも衰えます。
さらに、皮下脂肪の減少や移動、骨格の変化などもたるみを引き起こす要因となります。
加齢に伴う肌内部の変化
変化する要素 | 内容 | 肌への影響 |
---|---|---|
コラーゲン | 減少・変性 | ハリ・弾力の低下 |
エラスチン | 減少・変性 | 弾力性の低下 |
線維芽細胞 | 機能低下 | コラーゲン等の生成力低下 |
紫外線の影響
紫外線、特にUVA(紫外線A波)は、肌の奥深く(真皮層)まで到達し、コラーゲンやエラスチンを破壊・変性させます。
これが光老化と呼ばれる現象で、長年にわたる紫外線ダメージの蓄積は、深いシワやたるみの大きな原因となります。
生活習慣と肌の関係
喫煙、睡眠不足、栄養バランスの偏り、過度なストレスなどの生活習慣も、肌の老化を加速させる要因です。
喫煙は血行を悪化させ、肌に必要な栄養や酸素の供給を妨げます。
睡眠不足は肌のターンオーバーを乱し、栄養バランスの偏りは肌を作る材料の不足につながります。
肌に影響を与える生活習慣
生活習慣 | 肌への主な影響 |
---|---|
喫煙 | 血行不良、ビタミンC破壊 |
睡眠不足 | ターンオーバーの乱れ |
栄養の偏り | 肌細胞の材料不足 |
ストレス | 活性酸素増加、ホルモンバランスの乱れ |
乾燥による小ジワ
肌の表面(角質層)の水分量が不足すると、乾燥による小ジワ(ちりめんジワ)が発生しやすくなります。
これは初期のシワであり、放置すると深いシワへと進行する可能性があります。適切な保湿ケアは、小ジワの予防と改善に重要です。
自宅でできるシワ・たるみケアの基本
毎日のセルフケアは、シワやたるみの進行を緩やかにし、肌の健康を保つために大切です。基本的な「たるみ ケア」を見直してみましょう。
正しいスキンケア方法
スキンケアの基本は、洗浄、保湿、紫外線対策です。
洗顔時は肌を擦らず、優しく汚れを落とします。洗顔後はすぐに化粧水で水分を補給し、乳液やクリームで油分を補い、水分の蒸発を防ぎます。
自分の肌質に合った製品を選ぶことが大切です。
基本的なスキンケア手順
手順 | 目的 | ポイント |
---|---|---|
クレンジング・洗顔 | 汚れ・メイク除去 | 摩擦を避ける、ぬるま湯で |
保湿(化粧水) | 水分補給 | 洗顔後すぐ、優しくなじませる |
保湿(乳液・クリーム) | 油分補給・水分蒸発防止 | 適量を塗布、乾燥しやすい部分は重ね付け |
バランスの取れた食事
肌は体の中から作られます。タンパク質(コラーゲンの材料)、ビタミン(A、C、Eなど)、ミネラルといった栄養素をバランス良く摂取することが健やかな肌を保つために必要です。
特に、抗酸化作用のある食品を積極的に取り入れると良いでしょう。
肌の健康に役立つ栄養素
- タンパク質(肉、魚、大豆製品、卵)
- ビタミンC(果物、野菜)
- ビタミンE(ナッツ類、植物油)
- β-カロテン(緑黄色野菜)
質の高い睡眠の重要性
睡眠中には成長ホルモンが分泌され、肌の修復や再生が行われます。
十分な睡眠時間を確保し、質の高い睡眠をとることは美肌作りに欠かせません。寝る前のカフェイン摂取やスマートフォンの使用は避け、リラックスできる環境を整えましょう。
表情筋トレーニングの効果
顔の筋肉(表情筋)を鍛えることで、皮膚を支える力が向上し、たるみの予防につながる可能性があります。
ただし、間違った方法で行うと逆効果になることもあるため、正しい方法を学び、無理のない範囲で継続することが大切です。
シワ・たるみ改善のための生活習慣の見直し
日々の生活習慣を見直すことも、シワ・たるみの改善には重要です。肌に悪影響を与える習慣を改め、良い習慣を取り入れましょう。
紫外線対策の徹底
紫外線は一年中降り注いでいます。季節や天候に関わらず、日焼け止めを塗る、帽子や日傘を利用するなどの紫外線対策を習慣化しましょう。
SPFやPAの表示を確認し、シーンに合わせて適切なものを選び、こまめに塗り直すことがポイントです。
紫外線対策のポイント
対策方法 | ポイント |
---|---|
日焼け止め | 毎日使用、こまめな塗り直し、適切なSPF/PA値 |
帽子・日傘 | 物理的に紫外線を遮断、つばの広い帽子が効果的 |
衣服 | 長袖やUVカット素材の活用 |
禁煙と節度ある飲酒
喫煙は肌の老化を著しく早めるため、禁煙はシワ・たるみの改善を目指す上で非常に重要です。
また、過度な飲酒は脱水を引き起こし、肌の乾燥につながる可能性があります。飲酒は適量を心がけましょう。
ストレス管理の方法
過度なストレスは活性酸素を増やし、ホルモンバランスを乱すなど、肌に悪影響を与えます。自分に合ったリラックス方法を見つけ、ストレスを溜め込まないようにすることが大切です。
趣味の時間を持つ、軽い運動をする、十分な休息をとるなどが有効です。
美容クリニックでのたるみ治療の種類
セルフケアだけでは改善が難しいシワやたるみに対しては、美容クリニックでの専門的なたるみ治療が有効な選択肢となります。様々な治療法があり、症状や希望に合わせて選択できます。
注入治療(ヒアルロン酸・ボツリヌス毒素)
ヒアルロン酸注入は、シワやくぼみに注入することで肌を持ち上げ、ボリュームを補います。ほうれい線やマリオネットラインなどに用いられます。
ボツリヌス毒素注射は、筋肉の働きを弱めることで表情ジワ(眉間、額、目尻など)を改善します。
主な注入治療
治療法 | 主な効果 | 適した部位 |
---|---|---|
ヒアルロン酸注入 | ボリュームアップ、シワ埋め | ほうれい線、マリオネットライン、頬など |
ボツリヌス毒素注射 | 表情ジワの改善 | 眉間、額、目尻など |
照射治療(HIFU・レーザー・高周波)
HIFU(ハイフ)は、超音波エネルギーを肌の深層部(SMAS筋膜など)に照射し、熱凝固を起こすことでリフトアップ効果を狙います。
レーザーや高周波(RF)治療は真皮層に熱エネルギーを与え、コラーゲン生成を促進し、肌の引き締めやハリ感アップを目指します。
主な照射治療
- HIFU(高密度焦点式超音波)
- レーザーフェイシャル
- 高周波(RF)治療
糸リフト(スレッドリフト)
医療用の特殊な糸を皮下に挿入し、物理的にたるんだ皮膚を引き上げる治療法です。
糸についたコグ(とげ)が組織に引っかかることでリフトアップ効果を発揮します。使用する糸の種類や挿入方法によって効果や持続期間が異なります。

外科手術(フェイスリフト)
たるんだ皮膚や皮下組織(SMAS筋膜など)を引き上げ、余分な皮膚を切除する外科手術です。
他の治療法に比べて効果が高く、持続期間も長いのが特徴ですが、ダウンタイムが必要となります。たるみの程度が重度の場合に適応されることが多い治療法です。

フェイスリフト手術によるたるみ改善
様々なたるみ治療の中でも、フェイスリフト手術は根本的な改善が期待できる方法の一つです。手術内容や効果について詳しく見ていきましょう。
フェイスリフト手術とは
フェイスリフト手術は、主に耳の前後などの目立ちにくい部分の皮膚を切開し、たるみの原因となっている皮膚やSMAS筋膜と呼ばれる表情筋の膜を引き上げ、余分な皮膚を切除して縫合する手術です。
顔全体の若返り効果が期待できます。
手術のメリットと期待できる効果
最大のメリットは、たるみに対する効果の高さと持続性です。
頬のたるみ、ほうれい線、マリオネットライン、フェイスラインのもたつき、首のたるみなど、広範囲の悩みを一度に改善することが可能です。
見た目の印象が大きく若返る効果が期待できます。
フェイスリフトで期待できる改善点
改善が期待できる悩み | 詳細 |
---|---|
頬のたるみ | 下がった頬の位置を引き上げる |
ほうれい線・マリオネットライン | 口元の深いシワを目立たなくする |
フェイスラインのもたつき | シャープな輪郭を取り戻す |
首のたるみ・シワ | 首元の若々しさを取り戻す |
ダウンタイムと術後の注意点
手術後は、腫れや内出血、痛みなどが一定期間生じます。これらをダウンタイムと呼びます。
通常、大きな腫れは1~2週間程度で落ち着きますが、完全な回復には数ヶ月かかることもあります。術後は医師の指示に従い、安静にし、患部を清潔に保つことが重要です。抜糸や定期的な検診も必要です。
術後の一般的な経過(目安)
- 腫れ・内出血のピーク:術後数日~1週間
- 抜糸:約1週間後
- 社会復帰:1~2週間後(個人差あり)
- 完成:3~6ヶ月後
手術に適した方の特徴
フェイスリフト手術は、以下のような方に適していると考えられます。
- 加齢による顔全体のたるみが顕著な方
- 他の治療法では満足な効果が得られなかった方
- たるみを根本的に改善し、長期的な効果を望む方
- ダウンタイムを受け入れることができる方
ただし、健康状態や肌の状態によっては手術が適さない場合もあります。必ず医師による診察とカウンセリングを受ける必要があります。
クリニック選びとカウンセリングの重要性
満足のいく「たるみ 治療」を受けるためには、信頼できるクリニックを選び、十分なカウンセリングを受けることが非常に重要です。
信頼できるクリニックの見分け方
クリニックを選ぶ際は、医師の経歴や実績、専門性、所属学会などを確認しましょう。また、治療に関する説明が丁寧で分かりやすいか、リスクや副作用についてもきちんと説明してくれるかどうかも重要なポイントです。
実際にカウンセリングを受けて、院内の雰囲気やスタッフの対応なども確認すると良いでしょう。
カウンセリングで確認すべきこと
カウンセリングでは、ご自身の悩みや希望を具体的に伝え、医師の診察を受けます。
その上で、提案された治療法の詳細、期待できる効果、リスクや副作用、ダウンタイム、費用などについて、納得いくまで質問しましょう。
複数の治療法を提案された場合は、それぞれのメリット・デメリットを比較検討することが大切です。
カウンセリングでの確認事項
確認項目 | 具体的な内容 |
---|---|
治療法の詳細 | どのような治療を行うのか、手順は? |
効果と持続期間 | どの程度の改善が見込めるか、効果はいつまで続くか? |
リスク・副作用 | 起こりうる合併症や副作用は? |
ダウンタイム | 腫れや痛みの期間、日常生活への影響は? |
費用 | 総額はいくらか、追加費用は発生するか? |
治療費用の目安と内訳
たるみ治療の費用は、治療法や範囲、使用する薬剤や機器、クリニックによって大きく異なります。一般的に注入治療や照射治療は比較的安価ですが、効果の持続期間が限られるため、定期的な施術が必要になる場合があります。
糸リフトやフェイスリフト手術は費用が高額になりますが、効果の持続期間が長い傾向にあります。
費用には、診察料、施術料、麻酔代、薬代などが含まれるかを確認しましょう。
治療法別 費用感の比較(一般的な目安)
治療法 | 費用感 | 特徴 |
---|---|---|
注入治療 | 比較的安価~中程度 | 手軽、定期的な施術が必要な場合あり |
照射治療 | 中程度 | ダウンタイム少なめ、複数回推奨の場合あり |
糸リフト | 中程度~高価 | 即時効果あり、ダウンタイムあり |
フェイスリフト | 高価 | 効果大、持続性高い、ダウンタイム長い |
シワ・たるみ治療に関するよくある質問
ここでは、シワやたるみの治療に関して、患者様からよく寄せられる質問とその回答をまとめました。
- 治療の痛みはどの程度ですか?
-
治療法によって痛みの程度は異なります。注入治療では針を刺す痛み、照射治療では熱感や軽い痛みを感じることがあります。
フェイスリフト手術は麻酔を使用するため、手術中の痛みはありませんが、術後に痛みが出ることがあります。
多くのクリニックでは、麻酔クリームや局所麻酔、静脈麻酔などを用いて、痛みを最小限に抑える工夫をしています。痛みに不安がある場合は、カウンセリング時に遠慮なく相談しましょう。
- 効果はどのくらい持続しますか?
-
効果の持続期間も治療法によって大きく異なります。ヒアルロン酸注入は約半年~1年、ボツリヌス毒素注射は約3~6ヶ月が目安です。
照射治療は効果の現れ方や持続期間に個人差がありますが、定期的なメンテナンスが推奨されることが多いです。
糸リフトは約1~2年、フェイスリフト手術は5~10年程度効果が持続すると言われていますが、個人の体質や生活習慣、老化の進行度によって変わります。
- 治療後に気をつけることはありますか?
-
治療後の注意点は、受けた治療によって異なります。一般的には、血行が良くなるような激しい運動、長時間の入浴、飲酒などは、腫れや内出血を助長する可能性があるため、一定期間控えるように指示されることが多いです。
また、紫外線対策や保湿といった基本的なスキンケアは、治療効果を持続させるためにも重要です。フェイスリフト手術後は、特に安静期間や患部のケアに関する指示をしっかり守る必要があります。
- 自分に合った治療法がわかりません
-
シワやたるみの状態、原因、ご自身のライフスタイル、予算、どの程度の改善を望むかによって、適した治療法は異なります。まずはセルフケアや生活習慣の見直しから始めてみるのも良いでしょう。
より積極的な改善を望む場合は、美容クリニックで専門医の診察を受け、カウンセリングを通じて相談することをおすすめします。
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