持病があってもフェイスリフトは受けられる?高血圧・糖尿病の人が手術前に確認すること

持病があってもフェイスリフトは受けられる?高血圧・糖尿病の人が手術前に確認すること

持病があっても、フェイスリフトを受けられる場合があります。決め手は高血圧や糖尿病という病名ではなく、いまの病状が治療で落ち着いているか、手術の前後も体調を管理できるかです。

気をつけたい点は3つです。血圧の上昇は皮膚の下に血がたまる血腫に、血糖の乱れは感染や傷の治りに関わります。もう1つが、普段使っている薬の扱いです。

手術に備えて薬を自分で減らしたり止めたりすると、かえって持病が不安定になるおそれがあります。薬の扱いを決めるのは、処方元と手術担当者です。診察には、家で測った血圧の記録と日付の入った検査結果を持っていくと、話が早く進みます。

この記事を書いた人

百人町アルファクリニック 院長 荻野 和仁

荻野 和仁
百人町アルファクリニック 院長
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医学博士
2014年 日本形成外科学会 専門医取得
日本美容外科学会 会員

【略歴】
獨協医科大学医学部卒業後、岩手医科大学形成外科学講座入局。岩手医科大学大学院卒業博士号取得、2014年に日本形成外科学会専門医取得。大手美容クリニックの院長を経て2017年より百人町アルファクリニックの院長を務める。

百人町アルファクリニックでは、糸を使った切らないリフトアップから、切開部分が目立たないフェイスリフトまで患者様に適した方法をご提案していますが、若返り手術は決して急ぐ必要はありません。

一人ひとりの皮下組織や表情筋の状態に合わせた方法を探し「安全性」と「自然な仕上がり」を第一に心がけているため、画一的な手術をすぐにはいどうぞ、と勧めることはしていません。

毎回手術前の診断と計画立案に時間をかけすぎるため、とにかく安く、早くこの施術をして欲しいという方には適したクリニックではありません。それでも、リフトアップの施術を年間300件行っている実績から、患者様同士の口コミや他のドクターからのご紹介を通じ、全国から多くの患者様に当院を選んでいただいています。

このサイトでは、フェイスリフトやたるみに関する情報を詳しく掲載しています。どうか焦らず、十分に勉強した上で、ご自身に合ったクリニックをお選びください。もちろん、ご質問やご相談があれば、いつでもお気軽にお問い合わせいただければ幸いです。

目次

持病があってもフェイスリフトは相談できる

持病があること自体で、手術をあきらめる必要はありません。病状が落ち着いているか、出血や感染に備えられるかを確かめたうえで、受けられるかどうかが決まります。

受けられるかは、病状が治療で落ち着いているかで決まる

高血圧でも薬で安定している人と、高い値が続いたまま治療が途切れている人とでは、手術前の準備が違います。前者は普段の治療を続けたまま進められますが、後者はまず治療を立て直すのが先です。糖尿病なら、診断された時期だけでなく、いまの血糖と治療内容も見ます。

米国でフェイスリフトを受けた11,300人のうち、2.7%は糖尿病のある人でした1)。自分が受けられる状態かどうかは、いまの血糖やほかの病気を調べて確かめます。

診察では「持病があります」で終わらせず、治療を続けているか、最近薬が変わったかまで話してください。

持病が重なるときは体全体の負担も確かめる

血圧や血糖だけでなく、心臓や腎臓の病気も、手術中の管理や薬の扱いに関わります。たとえば腎臓の働きが落ちている人では、薬が体から抜ける速さも調べます。

確認すること診察で役立つ情報
持病の治療は続いていますか?通院先と受診時期、最近の薬の変更
普段の体調に変化はありますか?息切れやむくみ、体調を崩した時期
過去の治療で困ったことはありますか?出血が止まりにくかった経験、傷が治りにくかった経験

持病が複数ある人は、体全体への影響も確かめます。美容手術を受けた成人女性では、持病などから出す5項目の点数が高いほど、出血や感染などの合併症が多い傾向でした。

持病の治療が順調でも、合併症は起こりうる

フェイスリフトには、出血や感染のほか、傷あとや感覚の変化などのリスクがあります。持病の治療が順調でも、これらが起こる可能性は残ります。

手術後30日以内に救急受診や入院、再手術が必要になった重い合併症は、米国の11,300人の集団で1.8%でした1)。自分の持病や手術の範囲で注意点がどう変わるかは、診察で直接聞くのが確実です。

持病に加えて年齢も気になる場合は、切開リフトを受ける年齢の目安と期待できる変化の記事が参考になります。

高血圧のフェイスリフトで血腫が心配なとき

普段の血圧が落ち着いていても、手術前後の上昇には備えが要ります。血圧の上昇や大きな変動が、皮膚の下に血液がたまる血腫と関わるためです。

皮膚の下の出血には血圧の上昇が関わる

フェイスリフトでは皮膚の下を剥がして組織を動かすため、細い血管からの出血を止めながら手術が進みます。その後に血圧が上がると、止血した部分から再び出血しやすくなります。

血腫は、にじんだ血液が皮膚の下にたまり、かたまりになった状態です。大きくなると周囲の組織を圧迫し、傷の回復を妨げるおそれがあります。そのため、程度によっては血液を取り除く処置や再手術が必要です。

術後の血腫を防ぐため、血圧だけでなく、痛みや吐き気にも早めに対処します。

家で測った血圧の記録を持っていく

診察室では緊張で血圧が上がる人もいるため、家で測った記録があると普段の値が分かります。反対に、家でも高い値が続くなら緊張のせいにせず、かかりつけ医に治療を見直してもらうのが先です。

記録に添えること分かること
測った日時と血圧の値高い値が続くか、時間帯で変わるか
薬を飲んだ時刻薬を飲む前後の血圧の違い
体調や普段と違う出来事痛みや体調不良と血圧の関係

家庭で測るときは、かかりつけ医から案内された方法を続けると、値の変化を比べやすくなります。低かった日だけでなく、高かった日の値もそのまま記録して持っていきます。手術前だけ薬を増やして数値を下げる対応は、血圧が下がりすぎるおそれがあるため避けてください。

手術前後の血圧の管理と、当日の薬の飲み方を確かめる

手術前後の血圧管理には、上の血圧である収縮期血圧を140mmHg未満に保つ方針などが報告されています2)。ただし、140mmHg未満なら誰でも手術を受けられるわけではありません。

手術後の血圧を厳しく管理するようにしてから血腫が減った502例の報告があります3)。手術中の血圧の揺れと手術直後の血圧の高さが、血腫の起こりやすさの目印になった118例の分析もあります4)。

準備としては、普段の治療を続けたまま、手術当日の薬の飲み方と術後に血圧が上がったときの対応を、事前の診察で確かめておきます。

糖尿病のフェイスリフトは何を確かめる?

糖尿病の診断名だけでは、傷がどの程度治りにくいかは決まりません。手術前には、最近の血糖とHbA1cに加え、感染の有無や食事が減ったときの薬の扱いまで確かめます。

高い血糖が続くと傷の回復にも負担がかかる

血糖が高い状態が続くと、細菌から体を守る働きや、傷を治す働きが弱まりやすくなります。糖尿病で血の巡りが悪くなっている人では、傷へ届く酸素や栄養も減りがちです。

手術後の傷の治りやすさは、血糖の値だけでなく、病気の経過や体全体の状態とも関係します。とくに以前に傷の治りが長引いた経験や、いま治療中の感染があれば、診察で伝えます。見た目には小さな皮膚の炎症でも、切る予定の場所にあるなら手術前に診てもらってください。

美容手術を受けた129,007人では、重い合併症が糖尿病のある人で3.1%、ない人で1.9%でした5)。感染も糖尿病のある人に多くみられています。

HbA1cと当日の血糖は見ている期間が違う

HbA1cは、過去1〜2か月の平均的な血糖の状態を反映する検査値です。

数値についての疑問読み取る内容
血糖値はいつの状態を表しますか?測った時点の血液中の糖の量(食事や薬で変わる)
HbA1cはいつの状態を表しますか?過去1〜2か月の血糖の平均的な状態
過去の検査値からは何が分かりますか?値が安定しているか、上がりつつあるか、改善しつつあるか

当日の血糖が落ち着いていても、それだけで最近の管理状態までは判断しにくいところです。逆に、HbA1cは平均的な値なので、低血糖と高血糖の大きな波が隠れる場合もあります。採血結果には日付を添え、血糖は食前か食後かも分かるようにしておくと読み取りやすくなります。

一般外科手術の大規模な分析でも、糖尿病のある人ではHbA1cが高いほど合併症が増える傾向がみられました。ただ、フェイスリフトを受けられるHbA1cの線引きは決まっていません。

食事が減る日の低血糖にも備える

血糖は、高すぎるだけでなく、下がりすぎても問題になります。

食事量が減る一方で、薬の作用が普段どおりに続くと、血糖が下がりすぎる低血糖が起こることがあります。冷や汗や手の震え、動悸などの経験があれば、手術前の相談で伝えてください。意識がぼんやりしたことまであるなら、薬の扱いを決めるうえで、なおさら大事です。

糖尿病の飲み薬や、血糖を下げるインスリン注射は、食事の予定と合わせて手術前後の指示が決まります。とくにインスリンを使う人は、自己判断でまとめて止めず、どの薬をいつ使うかの具体的な説明を受ける必要があります。

食事がとれないときの連絡先と、低血糖の症状が出たときの対処を前もって決めておけば、家に帰ってから慌てずにすみます。

いつもの薬は中止する前に処方元へ相談を

薬は、自分の判断で止めないことが基本です。出血を減らすために止めても、薬が防いでいた血栓、つまり血管の中にできる血のかたまりの危険が高まることがあります。

「血をさらさらにする薬」は名前と目的を伝える

「血をさらさらにする薬」という呼び方には、血液を固まりにくくする抗凝固薬と、血を固める血小板の働きを抑える抗血小板薬が含まれます。どちらも出血に関わりますが、使う理由や手術前後の扱いが異なる薬です。

薬の分類と例伝えたいこと
抗凝固薬(ワルファリン、直接経口抗凝固薬と呼ばれる飲み薬など)薬の名前と処方された理由(脈が乱れる不整脈、血栓の治療など)
抗血小板薬(アスピリン、クロピドグレルなど)薬の名前と、心臓や脳の病気で治療を受けた時期
血圧や糖尿病の薬(これらも手術前後の指示あり)飲み薬に加え、注射薬の名前と使用日

同じ薬でも、血栓ができた直後の人と長く安定している人とでは、薬を止めたときに血栓ができる危険が違います。そのため、手術担当者には薬の名前だけでなく、処方元と病気の経過も伝えます。お薬手帳があれば、名前を覚えきれていなくても大丈夫です。

出血と血栓の両方を見て服薬予定が決まる

抗凝固薬や抗血小板薬の扱いは、薬の種類、手術で出血する危険、薬を止めたときの血栓の危険を合わせて決まります。

直接経口抗凝固薬を小さな皮膚の手術のために予定どおり休んだ人でも、血栓による合併症が起きた記録があります。休んでいる間も、血栓への注意は欠かせないということです。

抗血小板薬を続けるか止めるかについては、どちらがよいかまだはっきりしていません。フェイスリフトの前に薬を止めるかどうかは、自分で決めないでください。

薬を止めるかどうか、止めるならいつ再開するかは、処方元と手術担当者の両方が確かめてから決まります。薬の調整による負担が大きい場合には、手術を延期することもあります。

市販薬やサプリメントも申告に含める

申告する薬は、病院で処方されたものだけに限りません。市販の痛み止めやサプリメントにも、出血や処方薬の作用に関わる成分が含まれることがあります。

毎日使うものに加え、頭痛のときだけ飲む薬や、最近やめた薬も、名前と最後に使った時期を書き出しておきます。成分が分からない商品は、容器や成分表示の写真を見せれば確かめてもらえます。手術の相談後に新しい薬を処方されたら、一覧を更新して手術担当者へ伝えてください。

手術中の麻酔が心配な人に向けて、フェイスリフトで使う麻酔の種類とリスクの記事を用意しています。

診察に持参する記録が手術の相談を具体的にする

診察に持っていくのは、薬の一覧と検査結果、家庭での測定記録です。「治療中で落ち着いている」という説明に数値や経過が加わると、追加で確かめる内容が絞られます。

検査結果は日付とともに持参する

検査値は、何を測ったかだけでなく、いつ測ったかによって意味が変わります。薬の変更前の結果なら、現在の状態とずれている場合があるためです。

  • お薬手帳や薬の一覧には、実際にどう飲んでいるかも書き添えます。
  • 血液検査の結果は、検査日が分かる状態で持参します。
  • 家庭で測った血圧や血糖は、普段の値の移り変わりが分かる記録を持っていきます。
  • 過去の入院や手術、薬のアレルギーも、診察で伝えます。

資料がそろっていない段階でも、相談から始められます。ただし、手術の判断には追加の検査や紹介状が必要になる場合があります。予約時に持病と服薬を伝えて、当日の持ち物も確認してください。

かかりつけ医には予定する手術の内容を伝える

持病の治療を担当するかかりつけ医に伝えたいのは、顔を切開する手術を検討していることと、予定時期です。

「美容の施術を受けたい」だけでは、出血の危険や食事制限の有無が伝わりにくい場合があります。手術担当者の説明書や問い合わせの文書があれば、かかりつけ医も薬の調整を決めやすくなります。紹介状は、口で伝えきれない治療内容や最近の経過を、医師から医師へ渡す手紙です。

手術の計画は、かかりつけ医の意見と、手術担当者が考える手術の範囲や回復中の管理がそろって決まります。百人町アルファクリニックに相談するときも、持病があれば予約や診察の段階で伝えてください。

当日の薬と帰宅後の連絡先を言葉にして確かめる

手術前の説明では、「いつもの薬はどうするか」を薬ごとに確かめると、飲み間違いを防ぎやすくなります。止める薬があれば、いつ再開するのか、その指示を誰から受けるのかも確認します。

普段より血圧が高いときや、食事がとれず血糖が心配なときに、連絡先がはっきりしていれば落ち着いて動けます。持病の相談はかかりつけ医、傷の相談は手術を受けた施設が基本です。どちらに連絡すべきか迷うときの最初の窓口と、夜間や休診日の連絡方法も聞いておきます。

服薬の指示は口頭の記憶だけに頼らず、薬名と日付が分かる書面で受け取ると、自宅でも読み返せます。

手術を急がず、回復中まで続けられる準備を

病状が不安定な場合は、持病の治療を整えるのが先です。手術日までに数値を整えるだけでなく、帰宅後も食事や服薬を続けられるように予定を組んでおくのも準備のうちです。

延期になったら、整える目標と相談し直す時期を聞く

血圧が高い状態が続く、血糖が大きく変動する、感染が治療中であるといった場合には、手術の延期が検討されます。胸の痛みや、これまでなかった息切れがあるときは、美容手術の相談より先に、持病やその症状の診察を受けてください。

延期になったら、何を改善し、どの検査や診察で確かめてから相談し直すのかを聞いておくと、次の目標がはっきりします。HbA1cは1〜2か月の平均を映す値なので、直前の数日で大きくは変わりません。予定日に合わせた無理な食事制限より、普段の治療を続けるのが基本です。

手術の相談をし直す時期は、持病の改善経過と検査結果に応じて変わります。

帰宅後も測定と服薬が続けられる予定を組む

普段から血圧や血糖を測っている人は、手術後にどのくらいの頻度で測り、どの値になったら連絡するのかを事前に確かめておくと安心です。連絡するかどうかは、個別に案内された値と、そのときの症状をもとに決めます。

  • 服薬や測定に使う物は、帰宅後に取り出しやすい場所へ用意してください。
  • 食事がとれない場合の薬の扱いと連絡先も、事前に確かめておきます。
  • 再診日と急な受診時の移動方法が決まっていると、受診が必要なときに動きやすくなります。

薬を切らさないよう、手元の残りの量を確かめておくのも準備の1つです。手術後の受診と持病の定期受診が重なるときは、両方の予約日を双方の医療機関に伝えておくと調整しやすくなります。体調の記録には数値だけでなく食事量も残しておくと、血糖の変化を相談するときに説明しやすいです。

生活習慣と傷の治りの関係は、切開リフト前後の喫煙と傷の回復の記事にまとめています。

片側だけの急な腫れや強まる痛みは早く連絡する

手術後の腫れのなかでも、片側だけ急に膨らむ、強い張りとともに痛みが増すといった変化は、血腫などの確認が必要な症状です。血圧の記録が落ち着いていても、傷の変化を優先して手術施設へ連絡してください。

赤みが広がる、熱っぽさが強まる、傷から膿が出るなどの変化は、感染を疑うきっかけになります。また、冷や汗や意識の変化は、血糖の異常など、体調が崩れているサインです。とくに意識がはっきりしない、呼吸が苦しい場合は救急対応が必要です。

持病のある人は、手術を受けられるかを確かめるだけでなく、受けたあとに体調が変わったときの連絡先と対処まで決めておくと良いでしょう。

よくある質問

フェイスリフトは、高血圧の薬を飲んでいても受けられますか?

薬で血圧が安定していれば、手術を検討できる場合があります。判断には家庭と診察時の血圧、心臓や腎臓の状態なども関わります。確かめるのは、薬を飲んでいるかどうかより、治療で血圧がどの程度落ち着いているかです。

手術当日に飲む薬は、事前に受けた個別の指示に従ってください。

フェイスリフトは、HbA1cがいくつなら受けられますか?

この値なら誰でも受けられる、というHbA1cの共通の基準はありません。最近の血糖の変動や低血糖の経験、感染の有無などと合わせ、施設ごとの体制も含めて判断します。検査結果は日付の分かるものを持参し、必要な管理目標を相談してください。

フェイスリフトは、インスリン注射を使っていても相談できますか?

相談できます。ただし、糖尿病の状態と手術前後の食事、注射の調整方法を確かめたうえで、受けられるかが決まります。注射を自己判断で止めると血糖が大きく乱れるおそれがあるため、薬名と使用量、使う時刻を伝えてください。

フェイスリフトの前は、血をさらさらにする薬を休むほうがよいですか?

休むかどうかは、薬の種類と処方された理由、出血と血栓の危険を合わせて決まります。薬の中止によって脳の血管が詰まる脳梗塞などの危険が高まる場合があるため、処方元と手術担当者の確認が必要です。

別の処置で休薬した経験があっても、そのときの指示を今回にそのまま当てはめず、再開まで含めた予定を確認してください。

参考文献

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