ディーププレーンフェイスリフトとは?SMASリフトとの違いと向いている人

ディーププレーンフェイスリフトとは?SMASリフトとの違いと向いている人

ディーププレーンフェイスリフトは、SMASと呼ばれる膜の下に入り、頬を支えるつながりをゆるめて組織ごと引き上げる手術です。SMASリフトとの違いは膜の上か下かだけでなく、膜の下をどこまで剥がし、頬の内側まで動かすかにあります。

向いているのは、頬の下がりと輪郭のたるみが重なり、頬の内側まで組織を動かす必要がある人です。回復期間の中央値が25.5日という報告があり、数週間の休みを取りにくい人は、受ける時期から慎重に考える必要があります1)。

ただし、SMASリフトより誰にでもよい結果が出るとは限りません。ほうれい線は、頬が上がっても皮膚の折れ目として残ることがあります。術式の名前より、悩みのある場所まで動かす計画かどうかで選ぶのが確実です。

この記事を書いた人

百人町アルファクリニック 院長 荻野 和仁

荻野 和仁
百人町アルファクリニック 院長
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医学博士
2014年 日本形成外科学会 専門医取得
日本美容外科学会 会員

【略歴】
獨協医科大学医学部卒業後、岩手医科大学形成外科学講座入局。岩手医科大学大学院卒業博士号取得、2014年に日本形成外科学会専門医取得。大手美容クリニックの院長を経て2017年より百人町アルファクリニックの院長を務める。

百人町アルファクリニックでは、糸を使った切らないリフトアップから、切開部分が目立たないフェイスリフトまで患者様に適した方法をご提案していますが、若返り手術は決して急ぐ必要はありません。

一人ひとりの皮下組織や表情筋の状態に合わせた方法を探し「安全性」と「自然な仕上がり」を第一に心がけているため、画一的な手術をすぐにはいどうぞ、と勧めることはしていません。

毎回手術前の診断と計画立案に時間をかけすぎるため、とにかく安く、早くこの施術をして欲しいという方には適したクリニックではありません。それでも、リフトアップの施術を年間300件行っている実績から、患者様同士の口コミや他のドクターからのご紹介を通じ、全国から多くの患者様に当院を選んでいただいています。

このサイトでは、フェイスリフトやたるみに関する情報を詳しく掲載しています。どうか焦らず、十分に勉強した上で、ご自身に合ったクリニックをお選びください。もちろん、ご質問やご相談があれば、いつでもお気軽にお問い合わせいただければ幸いです。

目次

ディーププレーンフェイスリフトは頬を深いところから動かす手術

ディーププレーン法の特徴は、SMASの下へ入り、頬を固定しているつながりの一部をゆるめて組織を動かす点です。皮膚の表面を強く引くだけでなく、下がった頬を支える組織ごと位置を調整します。

SMASの下へ入ると動かす相手が変わる

SMASは、皮膚と脂肪の下で表情筋を包む膜状の組織で、日本語では表在性筋膜と呼ばれます。顔の表面側から順に、おおまかには皮膚、皮膚の下の脂肪、SMASが重なっています。ただし、膜の厚さや周囲とのつながり方は、顔の場所ごとにさまざまです。

ディーププレーン法では、この膜の下を剥がして、頬の組織を動かしやすくします。SMASがどんな膜で、フェイスリフトでどう扱われるかは、SMASとフェイスリフトの関係で詳しく紹介しています。

操作する深さ主に動かす組織違いを見るときの注意
皮膚のすぐ下主に皮膚膜にも手を加えるかで内容が変わる
SMASの表面主に膜(縫い縮めるなどして動かす)膜の下を広く剥がす方法とは別
SMASの下膜と、その上につながる組織頬のどこまで剥がすかで範囲が変わる

頬を支えるつながりをゆるめて引き上げる

顔の組織は、じん帯と呼ばれる丈夫な線維の束で深いところにつながっています。この支えがあるため、耳に近い場所を引いただけでは頬の内側まで同じように動くとは限りません。

ディーププレーン法は、こうしたつながりの一部をゆるめて頬の内側の組織も動けるようにし、そのうえで引き上げて位置を保つように固定する方法です。ただし、どのつながりをどこまでゆるめるかは、たるみの場所と手術の方法によって変わります。

皮膚と膜を一体で動かす意味

頬の一部で皮膚とSMASのつながりを保つと、膜を引く力が、その上に重なる脂肪や皮膚にも伝わります。

反対に、皮膚と膜を切り離して持ち上げると、膜を引く力は皮膚まで伝わりにくいと考えられています。ディーププレーン法でも皮膚を剥がす部分はあり、その広さは手術ごとにさまざまです。頬のどの部分を一体で動かすかは術式の名前だけでは分からないため、説明の中で確かめてください。

SMASを扱う方法のほうが、皮膚だけを引く方法より大きく持ち上がったという、献体(研究のために提供されたご遺体)での計測結果もあります。

SMASリフトとの違いは、頬の内側まで動かすかどうか

「SMASリフトは膜の上、ディーププレーン法は膜の下」という分け方だけでは不十分です。SMASリフトにも膜の下を剥がす方法があるからです。比べるなら、頬を支えるつながりをゆるめて内側まで動かすか、皮膚と膜をつなげたまま持ち上げるかまで見る必要があります。

SMASリフトにも複数の方法がある

SMASを表面から縫い縮める方法は、膜のゆるみを折りたたむようにして引き上げる手術です。一方、膜の下を剥がしてから引き上げる方法も、SMASリフトに含まれます。後者には、剥がす範囲を広げる拡大SMAS法などがあります。

つまり比較する相手が縫い縮める方法なのか、膜の下を広く剥がす方法なのかによって、ディーププレーン法との差は変わります。どちらの方法を指しているかは術式名だけでは分からないため、相談では「SMASをどう扱いますか」と尋ねてみてください。

比べる点SMASリフトディーププレーン法
膜への操作表面を縫い縮める方法と、下を剥がす方法がある膜の下を剥がして動かす
頬の内側への広がり縫う場所や剥がす範囲しだい支えるつながりをゆるめ、内側まで動かす
皮膚との関係皮膚と膜を別々に扱う方法など頬の一部で皮膚と膜をつなげたまま動かす

深く広く剥がせば効果も増える?

広く剥がすほど希望する場所がよく変わる、とは単純にいえないのが実情です。頬を支える強いつながりより内側まで剥がすと、組織は動かしやすくなります。ただ、それで見た目や持ちに大きな差が出るかを比べたデータは、まだ少ない状態です。

SMASを扱うどの方法でも輪郭が整うことはありますが、内側まで剥がすほうが優れるかは十分に確かめられていません。効果がないのではなく、その利点が誰にでも出るとは言えないという意味です。見るべきなのは、剥がす範囲が悩みの場所と合っているかです。

満足度はどちらの方法でも高く報告されている

満足度は、顔がどれだけ変わったかに加え、術前の希望と結果がどれだけ合ったかにも左右されます。

21研究、2896人をまとめた解析では、ディーププレーン法とSMAS法の両方で高い満足度が報告されています2)。優劣はこの数字では決まらず、合う方法は頬の状態しだいです。

相談では、頬の位置を上げたいのか、輪郭のだぶつきを減らしたいのかを先に伝えます。そのうえで、変わる見込みのある部位と残りそうな悩みを、同じ説明の中で聞いておきます。

頬の位置とほうれい線は同じように変わる?

頬が上がっても、ほうれい線は一部が残る場合があります。ほうれい線には頬の下がりのほかに、皮膚の折れ目や骨格、脂肪のつき方も関わるためです。

中顔面は頬の高い位置まで含む

中顔面は、目の下から頬の高い位置にかけての領域です。輪郭の下側のたるみが気になる人と、中顔面の下がりが気になる人とでは、動かしたい場所が違います。頬の高い位置を変えたい場合は、予定する手術の範囲がその場所まで及ぶかを確かめると、期待のずれを減らせます。

ディーププレーン法を受けても、目の下から口元までが同じ程度に変わるとは限りません。目の下に近い部分の悩みが中心なら、中顔面リフトも選択肢になります。詳しくは、中顔面リフトの効果と回復の見通しで紹介しています。

頬の上がり方は人によって大きく違う

皮膚とSMASを一体で動かす方法のほうが、両者を別々に動かす方法より中顔面が上がったという、写真計測の報告があります。各35人を術後平均18か月で比べた結果で、上がり方を示す指標は前者11.7%、後者5.5%でした3)。

ただし、一体で動かした人の中でも0.1〜32.3%と幅があり、同じ手術でも変わり方は人によってさまざまです。

ほうれい線は薄くなっても残ることがある

ほうれい線の上にある頬が下がって溝の影を濃くしている場合は、頬の位置が戻れば影も薄くなる見込みがあります。一方、皮膚に刻まれた折れ目や骨格も関わっている場合は、頬を持ち上げても線の一部が残ることがあります。

どの手術がほうれい線を長く目立たなくするかは、剥がす深さや範囲、評価の仕方が研究ごとにばらばらで、十分に確かめられていません。「線を完全に消したい」より「口元のこの影を薄くしたい」と伝えると、その影が手術でどこまで薄くなりそうかを聞けます。

気になる変化手術で目指すこと残り得る悩み
頬が下がって見える下がった組織の位置を整えるもともとの骨格や組織量の影響
口元の横に影ができる頬の位置を戻して影を和らげる皮膚に刻まれた折れ目
輪郭がぼやける口元からあごにかけてのたるみを引き上げる手術の範囲に入れなかった首のたるみ

ディーププレーンフェイスリフトが向いている人

頬から輪郭にかけて組織が下がり、頬の内側まで組織ごと持ち上げたい人では、ディーププレーン法が候補になります。向き不向きは年齢だけでは決まらず、変えたい場所に手術が届くかと、その負担を受け入れられるかの2点が目安です。

頬の下がりと輪郭のたるみを一緒に整えたい

頬が下がった印象と、口元の横からあごにかけてのだぶつきが重なっている場合は、組織をどこまで動かす計画なのかを確かめたいところです。希望する部位が複数あっても、それぞれ同じ程度に変わるとは限らないため、どこを優先するかを先に決めておきましょう。

たとえば「ほうれい線だけを消したい」人と「頬が下がって四角く見える輪郭を和らげたい」人とでは、変えたいものが違います。前者は口元の線、後者は下がった組織の位置で、後者ならディーププレーン法を含む引き上げ手術を比べる意味があります。自分で頬を引いて見せると希望は伝わりますが、術後の顔がその形になるわけではありません。

  • 頬の高い位置と輪郭は、別々の悩みとして話します。
  • 悩みが複数あるときは、いちばん変えたいものから順に伝えます。
  • 残っても受け入れられる悩みがあれば、それも言っておきます。

向き不向きは頬の下がり方や皮膚の伸びで決まる

年齢は目安の1つで、同じ年代でも皮膚の余り方や頬の組織量は人それぞれです。

手術を受けた人は38〜75歳だったという報告があります4)。実際の判断で見るのは、頬の下がり方や皮膚の伸び、過去の手術の影響などです。

頬のボリューム不足が中心なら、引き上げるだけでは希望するふくらみまで届かない場合があります。悩みが「下がり」か「やせて見えること」かで手術で変えられる範囲が違うため、診察ではまずそこを確かめます。

軽いたるみや短い休みしか取れない場合は慎重に

変えたい部分が小さい場合は、広く組織を動かす利点が手術の負担に見合うかを、よく考えたいところです。また、休みを数日しか取れない場合や近く大事な予定がある場合は、手術の時期から相談します。

過去の手術で組織が硬くつながっている場合は、剥がしやすさや必要な操作も変わります。これまでにかかった病気や飲んでいる薬も手術の可否に関わるため、診察では手術歴と合わせて伝えてください。迷いが残る場合は、希望する変化と休める期間が合うまで日程を決めずに考えることも選択肢です。

腫れが落ち着くまでの予定と手術の負担を確かめる

術後の回復には数週間単位の余裕を見込み、仕事に戻る日と、見た目が落ち着く日を別々に予定へ入れておきます。手術時間も回復の速さも、術式名だけでなく操作する範囲や個人の経過で変わります。

手術時間は剥がす範囲や追加する操作で変わる

ディーププレーン法には、膜の下を剥がし、支えるつながりをゆるめ、組織を固定する操作があります。縫い縮めるだけの方法より操作が増える場合はありますが、所要時間は首への処置や過去の手術の影響でも変わるため、自分が受ける範囲で何時間かかるかを確かめてください。

また、当日は手術の時間に加えて、麻酔の準備や術後の観察の時間もかかります。帰宅できる条件と、付き添いが必要かどうかも、当日の移動や家族の予定を決める前に聞いておきます。

仕事に戻る日と、見た目が落ち着く日をそれぞれ見込む

ダウンタイムは、腫れや内出血などによって普段の生活に制限が出る期間です。内出血は、皮膚の下の出血によって青紫色などに見える状態です。人に会う仕事では、在宅での作業と違って、腫れや内出血の目立ち方も復帰の目安に入ります。

166人を追った比較では、回復期間の中央値はディーププレーン法25.5日、SMASを縫い縮める方法30日で、統計的に意味のある差はなかったと報告されています1)。中央値は、かかった日数を短い順に並べたときの真ん中の値なので、全員がその日数で回復するわけではありません。

予定を立てる場面確かめたいこと
仕事への復帰仕事の内容と腫れの目立ち方に合わせた復帰の目安
人前に出る予定化粧や髪で隠しきれない時期がいつまで続くか
仕上がりの評価腫れや硬さが残る時期と、結果を判断できる時期

休みの日数を決めるときは、通院の日と、傷を縫った糸を外す抜糸の日も入れて数えてください。

血腫や傷あとも含めて負担を比べる

主なリスクには、皮膚の下に血液がたまる血腫や感染、傷あとが盛り上がる肥厚性瘢痕があります。手術に伴う望ましくない症状は合併症と呼ばれ、体液がたまる漿液腫や、皮膚への血流が悪くなって組織が傷む壊死なども含みます。

膜の下を扱う場所には、表情を動かす神経の枝が近くを通る部分があります。神経が傷つくと一時的または永続的に顔を動かしにくくなるおそれがあり、このリスクについても手術前の説明が必要です。

血腫は、47研究をまとめた解析でディーププレーン法3%、SMAS法2%と集計されています5)。ただ、この差だけでどちらがより安全かは決めにくいところです。

ディーププレーン法の合併症は、45研究をまとめた別の解析で全体の6.6%でした6)。割合の数字より、どんな症状が起こり、どう回復するのかを手術前に聞いておくのが確実です。急に片側が腫れる、痛みが強まるなどの変化があれば、次の診察日を待たずに手術を受けた医療機関へ連絡してください。

長持ちへの期待と手術前にそろえたい情報

手術による変化が長く保たれることはありますが、ディーププレーン法がSMASリフトより何年長持ちするかは、十分に確かめられていません。手術を決めるときに頼りにしたいのは、年数の宣伝よりも、自分の悩みがどう変わり、どんな負担があるかの具体的な説明です。

2回目の手術は、顔の変化と希望に合わせて考える

ディーププレーン法で2回目の手術を受けた93件では、初回からの間隔が平均10.9年でした7)。

再手術の時期を左右するのは、顔の変化に加え、本人の希望や生活上の事情です。効果がどのくらい続き、2回目をいつ考えるかは、フェイスリフトの持続期間と2回目を受ける時期で詳しく紹介しています。

頬のどこが変わり、何が残るかを確かめる

引き上げられる場所だけでなく、変化が限られる場所まで説明を受けてから決めると、手術後の「思っていたのと違う」を減らせます。

たとえば「頬の下がりは変わるが、ほうれい線の折れ目は残る」という説明なら、希望と照らし合わせやすくなります。逆に「深いのでよく上がる」という説明だけでは、変わる場所も負担の大きさも分かりにくいままです。同じ悩みに対して各方法が何を目指すのかを並べて聞き、名前の印象では選ばないようにします。

  • SMASを剥がす範囲が頬のどこまで及ぶかを確かめてください。
  • 頬の位置とほうれい線が、それぞれどこまで変わりそうかを尋ねます。
  • 手術時間と必要な休みの日数は、自分が受ける処置の範囲で見積もってもらいます。
  • 術後に困ったときの連絡先と、予定外でも受診すべき症状を聞いておきます。

変えたい部分と受け入れられる負担をそろえる

術式が合っているかは、改善したい部位と手術で動かせる範囲が重なるかで判断します。そのうえで、休める期間や通院の予定と合わせて、いつ受けるかを決めます。

説明を聞いても変化を想像しにくい場合は、気になる場所を鏡で示しながら再度相談してください。受けるか迷っている段階でも、どう変わりたいかを言葉にしておけば、相談でそのまま伝えられます。ディーププレーン法かSMASリフトかは、名前の印象より、悩みに合うかと負担に見合うかで考えるのが基本です。

よくある質問

ディーププレーンフェイスリフトはSMASリフトより効果が高いですか?

ディーププレーン法のほうが誰にでも効果が高いと言えるだけの比較データは、まだ乏しい状況です。

SMASリフトにも縫い縮める方法と膜の下を剥がす方法があり、どちらと比べるかで違いも変わります。比べるときの目安は、希望する部位まで動かす計画になっているかどうかです。

ディーププレーンフェイスリフトでほうれい線は消えますか?

頬の下がりが作る影は和らぐことがありますが、皮膚に刻まれた折れ目や骨格の影響で線が残る場合もあります。頬が上がった量とほうれい線の変化は一致しないため、線を丸ごと消すより、気になる部分がどこまで和らぐかを確かめておくほうが現実的です。

ディーププレーンフェイスリフトは何歳から向いていますか?

何歳からという決まりはなく、向いているかどうかは頬の下がり方や皮膚の余り、希望する変化で決まります。若い人なら負担に見合う変化が得られるか、年齢が高い人なら健康状態も含めて、一人ひとり確かめます。

ディーププレーンフェイスリフトはSMASリフトより早く仕事に戻れますか?

術式の違いだけで早く戻れるとはいえず、両者の回復期間を比べた結果でも、統計的に意味のある差はなかったと報告されています。

腫れや内出血の程度、仕事中に人と会う頻度でも復帰の目安は変わるため、仕事内容と取れる休みを伝えて予定を相談してください。

参考文献

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