フェイスリフト(切開リフト)後の皮膚壊死は、手術でいったん浮かせた皮膚の端まで血液が十分に届かず、皮膚の一部が傷む合併症です。起きやすいのは耳の前と耳の後ろで、喫煙、皮膚にかかる強い引っ張り、皮膚の下に血がたまる血腫が血流を減らします。
報告されている皮膚壊死の頻度は、手術の方法によって0.1%〜1.6%ほどで、多い合併症ではありません1)。手術の4週間以上前からの禁煙、皮膚に無理な力をかけない手術、術後の圧迫や血圧の管理で、さらに起こりにくくできます。
もし起きても、皮膚の色の変化や水ぶくれといった早いサインの段階で連絡すれば、バンドを緩めるなどの手当を早く始められます。
医学博士
2014年 日本形成外科学会 専門医取得
日本美容外科学会 会員
【略歴】
獨協医科大学医学部卒業後、岩手医科大学形成外科学講座入局。岩手医科大学大学院卒業博士号取得、2014年に日本形成外科学会専門医取得。大手美容クリニックの院長を経て2017年より百人町アルファクリニックの院長を務める。
百人町アルファクリニックでは、糸を使った切らないリフトアップから、切開部分が目立たないフェイスリフトまで患者様に適した方法をご提案していますが、若返り手術は決して急ぐ必要はありません。
一人ひとりの皮下組織や表情筋の状態に合わせた方法を探し「安全性」と「自然な仕上がり」を第一に心がけているため、画一的な手術をすぐにはいどうぞ、と勧めることはしていません。
毎回手術前の診断と計画立案に時間をかけすぎるため、とにかく安く、早くこの施術をして欲しいという方には適したクリニックではありません。それでも、リフトアップの施術を年間300件行っている実績から、患者様同士の口コミや他のドクターからのご紹介を通じ、全国から多くの患者様に当院を選んでいただいています。
このサイトでは、フェイスリフトやたるみに関する情報を詳しく掲載しています。どうか焦らず、十分に勉強した上で、ご自身に合ったクリニックをお選びください。もちろん、ご質問やご相談があれば、いつでもお気軽にお問い合わせいただければ幸いです。
フェイスリフト後の皮膚壊死はどの深さまで傷むのか
フェイスリフト後の皮膚壊死とは、手術で持ち上げた皮膚の一部に血液が届きにくくなり、皮膚の組織が傷んでしまう状態のことです。傷む深さによって治るまでの期間や傷あとの残り方が大きく変わります。
浅い表皮剥離と深い壊死の違い
手術後に「皮膚が黒くなった」「皮がむけた」と心配されるケースには、浅い表面だけの変化が多く含まれます。皮膚は外側の「表皮」と奥の「真皮」に分かれていて、経過を分けるのは、どちらまで血流が不足したかです。
外側の薄い表皮だけがむける状態は、表皮剥離(ひょうひはくり)と呼ばれます。日焼けのあとに皮がむけるのと似ていて、すぐ下の真皮が生きていれば新しい皮膚が張り、へこみや白い傷あとは残りにくい傷です。
一方、奥の「真皮」や皮下脂肪まで血液が途絶える状態が深い皮膚壊死です。硬く黒いかさぶた(黒色壊死組織)ができ、周りの健康な皮膚から新しい組織が伸びて傷を埋めるため、ふさがるまでの目安は1〜3か月ほどです。
| 状態の分類 | 傷んでいる皮膚の深さ | 治るまでの目安と傷あとの経過 |
|---|---|---|
| 一時的なうっ血・血流低下 | まだ組織は傷んでいない段階 | 早めの処置で血流が戻れば数日〜1週間で元の肌色へ回復する |
| 浅い変化(表皮剥離) | 一番外側の薄い表皮のみ | かさぶたが取れたあと、2〜3週間で新しい皮膚が張り傷あとは残りにくい |
| 深い皮膚壊死(全層壊死) | 真皮から皮下脂肪までの深い部分 | 新しい皮膚が周りから伸びるまで1〜3か月かかり、白い傷あとが残ることがある |
実際に起こる頻度はどれくらい?
フェイスリフト後に何らかの合併症が起きるのは5.1%ほどで、多いのは皮膚の下に血がたまる血腫(けっしゅ)と感染です2)。米国でフェイスリフトを受けた1万3346人を調べた数字です。
皮膚壊死だけを見ると、皮膚の下のSMAS(顔の筋膜の層)を皮膚と別にはがす方法で平均1.57%でした3)。皮膚と筋膜を一緒に動かすディーププレーン法では、表皮剥離が1.2%、皮膚壊死は0.1%と報告されています1)。いずれも、100人に2人に満たない割合です。
耳の前と耳の後ろに変化が集まりやすい理由
血流不足が起きやすいのは、耳の前と、耳の後ろから髪の生え際にかけてです。フェイスリフトでは耳の周りを切開し、そこから顔の中央に向かって皮膚を浮かせます。縫い合わせる耳周りの皮膚は、はがしていない部分から一番遠い「皮膚の先端」で、血液が届きにくい場所です。
とくに耳の後ろは、首のたるみを引き上げるために皮膚をはがす距離が長くなりやすく、皮膚も薄い部分です。髪や耳の陰に隠れて自分では見えにくいため、変化を見落としやすい場所でもあります。
耳の前や後ろで皮膚の血流が足りなくなる原因
強い力で皮膚が引かれたり、皮膚の下に血がたまって内側から押されたりすると、細い血管がつぶれて血液が流れにくくなります。フェイスリフトで血流が落ちる背景には、皮膚をはがす深さや張力、術後の血腫や圧迫が関わっています。
皮膚をはがす深さと範囲で残る血管の量が変わる
耳の前の皮膚へ血液を送っているのは、主に顔を横に走る「横顔面動脈」から皮膚へ向かう細い枝です。脂肪の浅い層で皮膚だけを薄く広くはがす方法では、深いところから皮膚へ立ち上がる血管の枝が途中で途切れやすくなります。
手術の方法で比べると、SMASを皮膚と別にはがして引き上げる方法は、折りたたんで縫い縮める方法より皮膚壊死が起こりやすく、約2.3倍(オッズ比2.29)でした3)。反対に、皮膚とSMASを一続きで動かすディーププレーン法は、皮膚の裏の血管が保たれやすい方法です。
引き上げる力を皮膚にかけすぎると毛細血管がつぶれる
余った皮膚を切り取ったあとに強い力で引っ張りながら縫い合わせると、縫い目の周りの毛細血管が引き伸ばされて細くなります。皮膚がパツパツに張った状態で縫われると、端の皮膚には血液が入っていかなくなります。
そのため、たるみを持ち上げる力は奥にある丈夫なSMAS(筋膜)にかけて固定し、表面の皮膚は引っ張らずに縫い合わせるのが基本です。
院長より:仕上がりは、皮膚と脂肪が下がっている方向を部位ごとに確かめながら引き上げて固定します。SMAS下の操作では顔面神経の損傷に非常に気を付けており、神経刺激装置で確認しながら剥離を進めます。
皮膚の下に血がたまる血腫とバンドによる圧迫
手術後に皮膚の下で出血が続いて血の塊ができる「血腫」も、皮膚壊死の引き金になります。血腫はディーププレーン法で1.22%、SMASを重ねて縫う方法で1.92%ほど見られる合併症です3)。
血がたまると内側から皮膚が強く押し上げられ、細い血管がつぶれて血流が落ちます。たまった血液の成分も、皮膚の血流に悪い影響を与えるとされています。
また、術後に巻くフェイスバンドがきつすぎたり、寝ている間にずれて耳周りに食い込んだりした場合も、外側から血管を圧迫します。内側の血腫と外側の圧迫は、どちらもとくに手術当日から数日のあいだに気をつけたい変化です。
| 血流を減らす要因 | 血管に起きている変化 | 防ぐための手術・ケアのポイント |
|---|---|---|
| 皮膚を薄く広くはがす操作 | 深いところから皮膚へ立ち上がる細い血管の枝が途切れる | 皮膚の厚みを保ってはがす |
| 縫い合わせるときの強い引っ張り | 皮膚が引き伸ばされて毛細血管の通り道が狭くなる | 引き上げの力はSMASにかけ、皮膚は引っ張らずに縫う |
| 皮下の血腫やバンドの食い込み | 内側または外側からの圧力で血管が押しつぶされる | 手術中の止血と、きつすぎないバンドの巻き方 |
たばこは細い血管を縮めて皮膚の酸素を奪う
たばこに含まれるニコチンと一酸化炭素は、手術で浮かせた皮膚に届く血液と酸素を減らし、皮膚壊死を起こしやすくする要因の一つです。
ニコチンと一酸化炭素が招く皮膚の酸欠状態
ニコチンが体に入ると交感神経が刺激され、全身の細い血管が収縮します。手術で浮かせて血流がぎりぎりになっている耳周りの皮膚では、この収縮で血液がさらに届きにくくなります。
さらに、煙に含まれる一酸化炭素はヘモグロビン(血液中で酸素を運ぶ成分)と強く結びつき、血液が運べる酸素を減らします。ニコチンには血小板を固まりやすくする作用もあり、細い血管の流れをいっそう悪くする原因です。
喫煙で傷のトラブルが増える報告
顔の手術やけがの後の傷を調べた研究では、たばこを吸う人は吸わない人に比べて、傷の合併症が1.8〜12倍起こりやすいと報告されています4)。多かったのは皮膚壊死や感染、傷が開くことで、とくに皮膚をはがして動かす手術(皮弁)で関連が強く出ていました。
腹部や乳房の形成外科手術では、喫煙で合併症がはっきり増えます。フェイスリフトだけで見ると増える傾向はあるものの、研究ごとの差が大きく、統計的にははっきりしていません。
一方、現在の喫煙は、フェイスリフトの合併症の起こりやすさと関係する要因の一つに挙げられています。
加熱式たばこやニコチン製品も控える
加熱式たばこにも紙巻きたばこと同じくニコチンが含まれており、皮膚の毛細血管を縮める作用は変わりません。ベイプ(電子たばこ)でも、ニコチン入りのリキッドを使っていれば同じように血管が縮みます。
禁煙補助のニコチンパッチやガムにもニコチンが含まれるため、手術が近い時期の使い方は主治医と相談して決めるのが確実です。周りの人が吸うたばこの煙でも、ニコチンや一酸化炭素は体に入ります。
手術前にやめる時期と術後に再開できる時期は、切開リフト後のタバコとお酒で詳しく紹介しています。
- 紙巻きたばこ(ニコチンによる血管収縮と一酸化炭素による酸欠の両方が傷の治りを妨げる)
- 加熱式たばこ・ニコチン入りベイプ(煙やにおいが少なくても、ニコチンで毛細血管が縮む)
- ニコチンガム・ニコチンパッチ(禁煙補助薬でもニコチンを含む。手術が近い時期の使い方は主治医と相談)
- 周りの人のたばこの煙(同居する家族が吸う、たばこを吸える飲食店で過ごすなど。煙を吸い込めばニコチンや一酸化炭素が体に入る)
フェイスリフトの4週間前から始める皮膚壊死を防ぐ準備
手術の4週間以上前から禁煙し、術後の血圧や圧迫に気をつけることで、皮膚壊死は起こりにくくできます。手術の直前に慌ててやめるだけでは、縮みやすくなった血管の働きが戻るには時間が足りません。
禁煙は遅くとも手術の4週間前から始める
たばこを吸っている人が禁煙を始めるのは、遅くとも手術の4週間前、できれば4〜8週間前が目安です。がんの手術を調べた24件の研究のまとめでは、手術前4週間以内まで吸っていた人は、4週間以上前にやめた人より合併症が多くなっていました(オッズ比1.31)5)。
手術前の禁煙支援を調べた13件の試験のまとめでは、手術の4〜8週間前から毎週の面談とニコチン代替療法を行う手厚い支援で、手術後の合併症全体が減り(リスク比0.42)、傷の合併症も約3分の1(リスク比0.31)になりました6)。
1人でやめるのが難しいときは、医療機関の禁煙の支援を受けながら早めに始めると確実です。ニコチンパッチやガムを使う場合は、いつまで使ってよいかを主治医に確認してください。
当院では、禁煙は全身麻酔で手術の2週間前から、それ以外で1週間前からを最低限お願いしています。早く始められるなら、そのほうが安心です。
術前診察で共有しておきたい薬やサプリメント
血腫を防ぐには、普段飲んでいる薬やサプリメントを術前診察ですべて共有しておくことが大切です。血液をサラサラにする処方薬だけでなく、市販の頭痛薬やサプリメント(イチョウ葉エキス、高用量ビタミンE、EPA・DHAなど)も出血しやすくすることがあります。
また、過去の美容施術の履歴も伝えておきたい情報です。切開リフトや糸リフト、脂肪吸引やHIFUを繰り返していると皮下に硬い瘢痕(はんこん)ができていることがあり、事前に分かれば皮膚の厚みを保って血流不足を抑えた手術計画が立てられます。
当院では、内出血しやすい方、貧血や持病のある方、全身麻酔の方に術前の採血(凝固・肝機能・腎機能)をお願いしており、6か月以内の結果があれば省けます。
手術後の3日間は血圧の上昇と冷やしすぎを避ける
手術後3日ほどは、浮かせた皮膚の血流がまだ安定していない時期です。頭を心臓より少し高くして休み、重い荷物を持つ、頭を下げて洗髪する、強くいきむ、長風呂といった動作は、血圧が上がって再出血のきっかけになるため控えてください。過ごし方は主治医の指示が優先です。
また、保冷剤や氷を直接耳周りに当てて冷やしすぎると、血管が冷えて縮み、血流不足を招きます。フェイスバンドはきつすぎないかを確かめ、耳たぶや耳の後ろに縁が食い込んでいないかを朝と夜に鏡で見ておきます。
| 時期 | ご自身で取り組む予防ケア | 皮膚の血流を守るうえでの狙い |
|---|---|---|
| 手術の4〜8週間前 | 紙巻きたばこ・加熱式たばこ・ニコチン製品の完全な中止 | 毛細血管の収縮を解き、血液が酸素を運ぶ力を回復させる |
| 手術の前(指示された時期) | 出血しやすくするサプリメントの中止。処方薬は自己判断で止めず確認 | 手術後の皮下出血(血腫)による内側からの皮膚圧迫を防ぐ |
| 手術当日〜術後3日間 | 頭を高くして安静に過ごし、強い冷却やバンドの締めすぎを避ける | 急な血圧上昇による再出血と、冷気や圧迫による血流低下を防ぐ |
当院では、ドレーン(管)を術後3日目まで入れ、フェイスバンドは1か月、着けられる時間だけでかまいません。
肌の色や腫れのサインに早く気づく
皮膚の血流不足は、いきなり真っ黒な壊死になるより、先に色の変化や痛みとして現れることが多い合併症です。手術後数日のうちにこうした変化に気づいて連絡すれば、バンドを緩めるなどの対応を早く始められます。
肌の色が白っぽい・青紫色に変わる初期のサイン
血流不足の皮膚には2つの色の変化が現れます。1つ目は動脈の血が入ってこない「蒼白(そうはく)」で、耳周りの皮膚が不自然に白っぽく冷たくなる状態です。フェイスバンドの締めすぎでも見られます。
2つ目は、静脈から血が戻れず古い血液がたまる「うっ血」で、濃い赤紫色〜青紫色や暗い網目模様に変わります。通常の内出血(あざ)が首の下へ広がるのに対し、うっ血は縫い目に近い皮膚の端に集中し、進むと小さな水ぶくれや皮むけを伴います。
| 観察する項目 | 通常の術後経過(内出血・腫れ) | 血流不足や血腫を疑うサイン |
|---|---|---|
| 皮膚の色合い | 赤紫〜黄色へと日を追って薄くなり周囲へ広がる | 耳の前や後ろの一部だけが真っ白、または濃い青紫色〜黒っぽく変化する |
| 表面の質感 | 全体的に張りがあるが表面は乾いて落ち着いている | 色が暗い場所の上に水ぶくれができる、または薄皮がむけて湿ってくる |
| 腫れと痛み | 左右ほぼ同じくらい腫れ、痛み止めが効いて少しずつ和らぐ | 片側だけが急に大きく膨らみ、ズキズキと脈打つような強い痛みが続く |
片側だけの急な腫れや強い痛みは血腫を疑う
手術当日の夜から翌日にかけてとくに気をつけたいのが「血腫」のサインです。そのままにすると、たまった血が内側から皮膚を押して血流を妨げます。
典型的なサインは、左右の片側だけが急にぷっくり腫れ上がり、ボールのように硬く張る状態です。痛み止めが効かない強い痛みや、傷口からの出血を伴うこともあります。
一方、数日たってから赤く腫れて熱を持つ場合は、感染の可能性もあります。感染の見分け方は切開リフト後の感染の兆候にまとめてあるので、あわせて確かめてください。
次の検診日を待たずにクリニックへ連絡する基準
血流不足や血腫は、対応が早いほど傷が深くなるのを防ぎやすくなります。耳周りが不自然に白い・暗い青紫色になっている、または片側が急に腫れて強く痛むときは、予約日を待たずにすぐクリニックへ連絡してください。
連絡するときに明るい場所で撮った患部の写真を送れると、急いで診る必要があるかをクリニックが判断しやすくなります。
- 片側の頬や耳の後ろが急に大きく腫れ、痛み止めが効かない強い痛みがあるとき
- 耳の前や後ろの皮膚が周囲と比べて真っ白、または濃い青紫色〜黒っぽく見えるとき
- 縫い目の近くの皮膚に水ぶくれができたり、皮がめくれて液体がにじんだりしているとき
- フェイスバンドを緩めても、耳の周りの締めつけ感や冷たさが取れないとき
当院では、夜間や休診日(水曜)のご連絡はメールで受けており、手術当日は深夜帯までメールを確認しています。
皮膚壊死が起きたときの処置と傷あとが落ち着くまでの経過
皮膚壊死が起きた場合は、軟膏などで傷を保護しながら、周りから新しい皮膚が伸びて傷がふさがるのを待つ治療(保存的治療)が基本です。傷んだ直後に切り取って縫い直す手術は、ふつう行いません。
早い段階なら圧迫を緩めて血流の回復を促す
まだ組織が傷みきっていない初期段階なら、血管を圧迫している原因をすぐに取り除きます。フェイスバンドを緩め、皮下に血腫があれば縫い目を一部開けて血の塊を取り除きます。縫い目の引っ張りが強いときに、一部の糸を早めに抜いて緊張を緩めるのも、この段階の処置です。
血管を広げる薬を使う方法もあります。フェイスリフトを受けた40人の報告では、早いサインが出た人にナイアシン(ビタミンB3の一種)の飲み薬とニトログリセリンの塗り薬を使い、3〜7日で改善していました7)。皮膚が一部はがれた1人も、18日で傷がふさがっています。
かさぶたや傷ができたときの軟膏ケアと治る期間
皮膚の一部が黒いかさぶた(壊死組織)になった場合は、傷口が乾かないよう軟膏で保護する「湿潤環境を保つケア」を行います。軟膏で適度な潤いを保つほうが、周りから新しい皮膚(上皮)が伸びるスピードが速く、治ったあとも平らになりやすいためです。
かさぶたの下で新しい赤い組織(肉芽)が育ってきたら、通院時に浮き上がった古い組織だけを少しずつ取り除きます。自分でかさぶたをはがすと新しい皮膚まで傷つくため、自宅では軟膏とガーゼの交換だけを続けてください。
傷が閉じるまでの目安は、表皮だけの浅い傷で2〜3週間、真皮まで傷んだ場合で1〜3か月ほどです。傷の広さや場所によって前後します。
傷あとの修正は半年以降に検討
深い皮膚壊死が治ったあとは、赤みや色素沈着を経て、数か月かけて白っぽく平らな傷あと(成熟瘢痕)へ変化します。耳の前後の溝に近い場所なら、半年〜1年ほどで目立ちにくい線に落ち着くことも多くあります。この間は日焼け止めやテープで紫外線を防ぎましょう。
半年〜1年たっても傷あとの幅や、生え際の毛がない部分が気になる場合は、傷あとを縫い直す瘢痕形成術やレーザー治療を検討できます。傷が閉じた直後は皮膚が硬く血流も安定していないため、十分に柔らかくなるのを待ってから相談します。
| 手術からの時期 | 皮膚の状態と行われる処置 | ご自宅での注意点 |
|---|---|---|
| 術後1〜7日目(初期サイン) | バンドの調整、血腫の除去、必要に応じた一部の抜糸、血流を促す外用ケア | 患部を冷やしすぎず、指定された診察日に必ず経過を見せる |
| 術後2週間〜3か月目(治癒期) | 軟膏で傷の潤いを保ち、浮いてきた古い組織を診察室で少しずつ整理する | かさぶたを自分でむかず、指示どおりの洗浄と軟膏での保護を続ける |
| 術後6か月〜1年以降(成熟期) | 赤みが引いて白い傷あとへ落ち着く時期。希望があれば傷あとの修正治療を検討 | 日焼け止めやテープで紫外線を防ぎ、皮膚が柔らかくなるのを待つ |
よくある質問
- フェイスリフト後の皮膚壊死は、たばこを吸わない人でも起こりますか?
-
たばこを吸わない方でも、確率はゼロではありません。皮膚を薄く広くはがしたことによる血流低下、縫合時の強い引っ張り、術後の血腫、フェイスバンドの強い圧迫も原因になります。これらが重なると、耳周りなどの皮膚の先端で血流が足りなくなります。
ただ、皮膚壊死そのものが多い合併症ではなく、報告されている頻度は手術の方法によって0.1%〜1.6%ほどです1)。皮膚に無理な力をかけない手術と、術後の安静やバンドの巻き方を守ることで、起こりにくくできます。
- フェイスリフト後の皮膚壊死と、通常の内出血(あざ)はどう見分ければよいですか?
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皮膚壊死の前ぶれとなる血流不足は、耳の前や後ろの「縫い目に近い皮膚の端」に集中します。周囲に比べて真っ白になるか、濃い青紫色〜黒っぽい色に変わり、表面に水ぶくれや皮むけを伴うのが特徴です。
一方、通常の内出血は重力に従って頬や首の下へ広くにじみ、赤紫から緑や黄色へと1〜2週間ほどかけて薄くなります。血流不足は日が経つほど色が濃くなり境界がはっきりするため、見分けがつかないときは写真を撮ってクリニックへ相談してください。
- フェイスリフト後の皮膚壊死を防ぐために、患部を氷でしっかり冷やしたほうがよいですか?
-
耳周りや頬を氷や保冷剤で強く冷やすのは逆効果になるため控えてください。冷気で皮膚の細い血管が縮み、皮膚の先端への血流がさらに減ってしまうほか、術後は感覚が鈍いため凍傷にも気づきにくくなります。
腫れを和らげたい場合は頭を少し高くして休む姿勢を心がけ、冷却はクリニックから指示された範囲と方法だけにとどめましょう。
- フェイスリフト後の皮膚壊死で黒いかさぶたができた場合、すぐに縫い直す手術になりますか?
-
黒いかさぶたができても、すぐに切り取って縫い直す手術は、ふつう選ばれません。傷んだばかりの皮膚の周りは血管の働きが不安定であり、無理に引っ張って縫い直すとさらに広い範囲が傷んでしまうためです。
まずは軟膏で潤いを保ち、新しい皮膚が再生して傷が閉じるのを待ちます。修正処置を考えるのは、半年〜1年たって周囲の皮膚が十分に柔らかくなり、白い傷あとが気になる場合です。
- 過去に切開リフトを受けたことがありますが、2回目の手術ではフェイスリフト後の皮膚壊死は起きやすくなりますか?
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2回目以降の手術では、皮膚の下に前回の瘢痕(硬い組織)があるため、はがす操作により注意が要ります。2回目だから必ず起きやすくなるというものではなく、前回の手術の範囲に合わせて、皮膚の厚みを保ちながら進めます。
前回の手術の時期や範囲によって安全なはがし方が変わるため、事前の診察で、前回の手術の内容をできるだけ詳しく伝えてください。
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